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故郷は大空にあり

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第十一話 提督はお酒に弱い?

「みんなー、お疲れー。」

小隊のみんなに向かって、声を掛けた。
普通のミッションよりも多い報酬も入り、
いつもよりか浮かれていた。

「おつかれ、F/A18先輩。」

「いつも以上の手応えでしたねー☆」

「報酬も多いみたいでね。」

「少しヒヤヒヤしたよ…上手くいってよかった。」

小隊のみんなも成果に喜んでるみたいだね。

そうだ

「提督、ありがとねー、提督のおかげだよー」

「AWACSに中継して指示を出すとは思わなかったですね。」

「AWACSのおかげでもあるよ。」

「まぁ、的確な指示で救われたのは変わりありません」

提督にお礼を言うと、返事が返ってくる。
予想していた言葉だけど、やっぱり嬉しい。

「提督~?せっかく集まったんだし、小さい打ち上げでもしていかない?」

「いいのか?」

「賛成する。」

「ここら辺、この時間、空いてないからな…」

「F/A18、あそこは空いてないのか?」

「あの居酒屋、今日は早めに閉めちゃうって言ってたから…」

別のところで食べに行くのもいいけど…

「あ、はーい。なら、折角ですしこの執務室で打ち上げしませんか? スーパーかコンビニで、ご飯やお菓子を持ち寄って」

「良いね。それじゃあ、買い出しどうしよっか? 担当誰にする?」

「んー……あ! そうだ、敢えてみんなでそれぞれ買いに行かない? 各自、好きな食べ物を選んで買って来て、それを交換したり分けあったりするの!」

「いいですねー!普段食べてるようなものだけではなく、珍しいものを買ってくるのもいいかもですー。」

「いいねぇ。各自で使える予算を決めて、それぞれ範囲内で買ってくるのも良さそう。」

「提督も買って来て貰うので良い? 私達も買ってくるから、いくつか交換で」
「良いよ。楽しそうだ」

「ん。決まり」

「それじゃあ、今から大体30分間位の間で各自買ってくる形でいいかな?」

「「「「「はーい♪」」」」」

こうして、おじさんたちは先生を含めて各自打ち上げ用の食事を買いに行った。
 
 ──今思うと、ここで別れて買って来たのがいけなかったのかもしれない。
 
 まさか、あれを買ってくるなんて……
 
 
 ──そうして、30分後。
 
 自分達は全員執務室に戻って来ていた。
 
「みんな、買ってこれた?」

「バッチリー」

「ん、大丈夫」

「沢山買って来ましたー」

「ちょっとEF-2A先輩、予算オーバーしてないですよね!?」

「あはは……私もしっかり買って来ました」

EF-2Aは予算オーバーしてないか心配だけど、
一応みんな予算には収まってるようでよかった。
まあ、浮かれてるから予算多めにしたのもあるか…

「ちなみに、何をみんな買ってきたの?自分はおにぎりを」

「被っちゃったか…私はおにぎりと唐揚げ」

「私はカロリーメイトとお菓子、それからジュース類ですね☆」

「菓子パンですよ~、クリームパンなどもあります!」

「カップラーメン、たまには別のものもいいよね。」

「私は惣菜・野菜類!バランスも考えないとね~」
いい感じにバラけていたのか~。被ったのは、私と提督だけか
この雑多感が逆に盛り上がってきたよ

「それじゃあ、みんなで分けようか。配分はどうしようか?」

「んーと、みんな好きなものを取って食べる形でいいんじゃないかなー」

「そうですね。とりあえず机を真ん中に寄せて、中心に食べ物をまとめておく形でいいでしょうか?」
 
「あ、そうだ。それなら、これだけ提督に先に渡しておくね」

「ん?」

そう言って、EF-2Aちゃんは提督にだけ先に缶ジュースをいくつか渡していた。
 あれって、まさか……
 
「EF-2A、まさかこれって……」
 
「ん。お酒」
 
「お酒!? 買って来ちゃったの!?」

意外だ。SU30とかがお酒を買ってくるとは思ってたけど、
EF-2Aちゃんがお酒を買ってくるとは…
確かに、それは提督に渡さないとダメだね。
度数の高そうなお酒だし。

「ちょ!? EF-2Aちゃん!?、何買って来ちゃってんですか!?」

「あわわ、あの、成人確認はされなかったんですか……?」

「大丈夫。覆面被ってたから」

「あはは。なら大丈夫ですねー」

「いやー、だいじょばないよSU30ちゃん」

全くEF-2Aちゃんったらー。
 提督も困ったように渡された缶ジュースを見つめていた。
 
「いやー、これどうしようか……」

「ん? 普通に提督が飲んだらいい。そのために買って来たし。提督がお酒を飲んだところ、見た事ないから」

「いや、そりゃあ勤務中にお酒飲んだらダメでしょ」

「でも、今はただの打ち上げ。提督も勤務時間って訳じゃない、そうでしょ?」

「いやでも、だからって…生徒のような関係の前で飲むのは……」

「別に飲んでもいいんじゃない? みんなもそう思うでしょ?」

「まあ、私は気にしないけどさー」

「別にいいですよー」

「まあ、別にいいんじゃない」

「あはは……まあ、提督にもそんな時があってもよろしいかと」
 
 おじさんも含め、提督がお酒を飲む事を反対する人はこの中にはいなかった。
 それでも、提督は難しい顔をし続けたまま。

「いやー…だって度数高いやつばっかだし」

「もしかして…提督お酒苦手な方だった?」

「そういう訳では…ないんだけど、記憶が飛んじゃって…曖昧になっちゃうからさ?
あんまり飲まないようにしてるんだけど…」

まあ、まえ提督と居酒屋に行った時もそうだったよ。

「ひょっとして、暴れちゃったり愚痴言っちゃったりするんですかー?」

「いや、一緒に飲んだ人(F/A18)に聞いたところによると、なんかボーッとしてるって。基本上の空らしい」

「ふーん……ちょっと見てみたいわね、それ」

「ええ!? F15Cちゃん!?」

「だっていつもしっかりしてる先生の、とぼけた顔よ! 興味ない?」

「それは……確かに」

「見世物じゃないんだけどなあ」

「あー…じゃあ、ご飯食べ終えたら、少しだけね?」

「ん、分かった。」
__________________________________________

「……………………」
 
 提督は、出来上がっていた。
 事前の申告通り、上の空の状態でボーッとしていた。
 
「ん、珍しい表情」

「そうですねー。ちょっと幼い感じがしますー☆」

「へー……提督こんな感じになるんだ」

「はー……新鮮な気分です」
 
 そうだねー。いっつもみんなを遠くから見つめている提督が、逆にどこか遠くを見続けているような感じだよー。
 いつものしっかりものの提督とは思えない感じ。
 
「提督、私の事分かる?」

「…………んー…………?」

「ん。ダメっぽい」

「そんなに? 提督そんなにお酒飲んでたっけ?」

「ええと、缶ビールの半分くらいですね……」

「なるほど、お酒にすごーく弱いんですね、提督」

色々な問いかけにも、反応すらしない始末。
提督、居酒屋の時はお酒強かったのに…まさか、大将が見分けてノンアルにしてくれたとか?
私は知らない間に提督に近ずいてしまった…

──思えば、ここが最後の分岐点だったのかもしれない───


「…………あ。桃だ」
 
「……へ?」
 
 
 そんな事を呟いた提督。その直後に……
 
 
「──頂きます」
 
 
 ────私の唇が奪われていた。
 
 
「……っ!?」
 
「っえ?」

「はい?」

「……なっ!?」

「……ええっ!?」

 私は……衝撃で何も考えられなくて。
 
 
「んー……ちゅぅーっ……」
 
「──っ。────っ!」
 
提督に、口の中を吸われていく。
口内の水分を、提督に味わうように飲まれていく!
私はそれがすごく恥ずかしくなって……
 
「──っ!。──っ!!」
 
口が塞がれているから、声が出せない。
なんとか逃れようと体を動かし始めるが、下手に力を入れすぎると、常人の提督に大怪我させてしまうかもしれない。
そう思って、あんまり派手な抵抗が出来なかった。

うぐぅ…!?
意識が…遠くから無くなってくる
もう何がなんだか…分からない…な
 
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