決戦前夜
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第二章
「そうね」
「そうだったのね」
「それがよ」
そう思っていたのがというのだ。
「勝ってね」
「ファイナル進出したわね」
「巨人と戦うことになったわ」
「そこで負けると思ってたのね」
今度は高山茜が言ってきた。
「そうだったのね」
「そう、絶対にここでね」
「負けると思ってたの」
「だって向こうは優勝したから」
その為にというのだ。
「一勝アドバンテージあるし」
「やっぱり大きいわね」
「その一勝がね」
「それでよね」
「そう、それでね」
そうであってというのだ。
「その一勝とこの前まで四位だったチームがね」
「優勝したチームと戦うと」
「勝てる筈がないってね」
その様にというのだ。
「思っていたのよ」
「そうだったのね」
「勝てない、もう諦めて」
最初からというのだ。
「観ることにしてたのよ」
「さばさばしてたのね」
「ファイナルまで行けただけでももうけもの」
明日夢は達観した様に言った。
「あの暗黒時代のことを思えばね」
「いいっていうのね」
「もうね、そう思ってね」
「ファイナル観てたのね」
「そうだったのが」
それがというのだ。
「もうね」
「三連勝したわ」
「最初にね、一勝目はね」
この時はとだ、茜に答えた。
「まあよかった、よ」
「一勝して」
「全敗しなくてね」
それでというのだ。
「よかったってね」
「思ったのね」
「ええ、それでね」
「満足したの」
「これで負けても恰好がつくってね」
「一勝で」
「よかったって思ってたわ」
そうだったというのだ。
「もうね」
「いつものあんたもっと強気なのに」
「棚ぼたで何で強気になれるのよ」
茜に冷静な声で返した。
「一体」
「そういうことね」
「だからね」
そうした状況だったからだというのだ。
「一勝してよかった」
「そう思ったのね」
「そう、それで連勝して」
次の試合も勝ってというのだ。
「優勢になったけれど」
「まだだったのね」
「そう、これでもっと恰好がついたってね」
その様にというのだ。
「思ったわ」
「二勝して」
「この後三連敗して終わりかもってね」
そうなりというのだ。
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