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一年外国にいたら

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第二章

「一年の間にですよ」
「変わったか」
「はい」
 会社で上司の部長に話した、彼は課長である。
「これが」
「そうなんだな」
「何かとです」
「戸惑っているか」
「はい、姪が来て女房がリウマチになって」 
 そうしてというのだ。
「その他にもです」
「変わっているか」
「一年の間に、そんなのちょっとと思っていたが」
 これがというのだ。
「かなりです」
「ちょっとじゃないだろ、一年は」
 部長は雄に真顔で言った。
「やっぱり長いぞ」
「だからですか」
「その間にな」
「何かと変わりますか」
「これまでもそうだったんじゃないか?」
「家にいる間も」
「その一年の間に」
 暮らしているうちにというのだ。
「変わっていっただろ」
「そうですか」
「だからな」
 それでというのだ。
「こうしたことはな」
「もうですか」
「ああ、変わっていて当然だってな」
「思うことですか」
「それで受け入れるしかないさ、私なんて一年タイにいる間に」
 その間にというのだ。
「娘が結婚して子供が出来たんだ」
「一年で」
「そうもなるからな」
「一年あればですね」
「何かと変わるんだ」
「そうなんですね」
「気付かなくてもな」
 こう雄に話した、雄もその言葉にそうなのかと思った。それで変わってしまった家で過ごしていったが。
 やがて慣れた、それで一家四人で夕食を食べる時に言った。
「馴染んだな」
「お家が変わっても」
「うん、変わっても家だからな」
 自分のというのだ。
「馴染むな」
「そうなのね」
「じゃあ四人で仲よくな」
 妻に真央を見つつ話した。
「暮らしていこうな」
「そうしましょう」
「今日のおかず私と綾ちゃんで作ったの」
 真央は笑顔で言ってきた。
「ハンバーグね」
「そうなのか」
「美味しい?」
「ああ、美味しいよ」
 姪に笑顔で答えた。
「とてもね」
「それは何よりよ、じゃあこれからもね」
「宜しくな」
「仲よくね」
「変わっても受け入れることね」
 娘も言った。
「いいことなら馴染むから」
「そうだな、よくわかったよ」
 娘の言葉に頷いた、そうしてハンバーグをおかずにご飯を食べた。するとやはり美味く自然と笑顔になった。


一年外国にいたら   完


                    2025・10・19 
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