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星河の覇皇

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第八十七部第三章 港の整備その九

「挑発はしない」
「そうすることですね」
「そうする、そしてだ」
「備えをですね」
「していく、それにはだ」
「私が必要ですか」
「宇宙艦隊司令長官である卿がな」
 まさにというのだ。
「だからだ」
「私は暗黒宙域に出ずに」
「本土にいてもらう、いいな」
「はい」 
 タンホイザーはここまで聞いて頷いて応えた。
「そう言われるなら」
「卿は戦術の天才だ、だがそれだけではない」
 その軍事的才能はというのだ。
「運用や配置もだ」
「優れていますか」
「戦場での天才だけでなくな」
 そうしたこともというのだ。
「優れている、隙のない運用や配置を見せるだけでな」
「敵には脅威になりますね」
「そうしたことも国防だ」
 そのうちの一つだというのだ。
「そしてその国防がだ」
「出来るからですか」
「そうだ」
 それ故にというのだ。
「いいな」
「私は残る」
「本土にな、そして若しだ」
「連合軍が来たならば」
「卿に戦ってもらう」
 やはり宇宙艦隊司令長官としてそうしてもらうというのだ、基幹戦力を率いる者としてそうしてもらうというのだ。
「そのこともありな」
「私はですね」
「本土それも基本はな」
「オリンポス星系にですね」
「いてもらう」
「では暗黒宙域は」
「他のだ」
 タンホイザー以外のというのだ。
「優れた指揮官にな」
「任せますね」
「そうする、我がエウロパには既に人材がいる」
 暗黒宙域進出を任せられる彼等がというのだ。
「コロンブスもバスコ=ダ=ガマもマゼランもカブラルもな」
「あらゆる人材がですね」
「いる、彼等に艦隊を預け」
 そうしてというのだ。
「進出してもらう」
「そして徐々にですね」
「踏破していってもらう」
「まさに大海原に出てもらいますね」
「そうだ、しかも今回はだ」
「犠牲も払わない」
「大航海時代の様に甚大な、な」 
 モンサルヴァートはタンホイザーに答えた。
「そして犠牲も出ないしだ、予算もだ」 
「そちらもまた」
「確かに多くかかるが」
 それでもというのだ。
「こちらも大航海時代よりもな」
「少なく済みますね」
「既に航路はわかっていてだ」
「犠牲も少ないですから」
「それだけにだ」
「予算も少なく済みますね」
「その結果な、大航海時代は多くの船を造り食料を詰め込みな」
「人を集めていました」
 そこまでの手間暇が既にかかっていたのだ。 
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