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今度こそ、成し遂げてみせる

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第6話「ノイズ対策会議」「あれから2年」

 「これより、会議をここに執り行う。議題は…我々が畏怖する”かの存在”についてだ」
 
 薄暗い会議室の中央に置かれた円卓に座る私が、会議の開始を宣言する。

 会議室内には私を除いた7人の人影…最高幹部であるコピーがおり、彼女らも席に着席している。

 「これを見てくれ」

 ”かの存在”についての報告書は既に手渡している。

 「では改めて…【ノイズ対策会議】をここに執り行う」

 私の合図と共に、”かの存在”についての情報が会議室の大型モニターに事件内容を纏めた情報が提示される。モニターには”かの存在”…”ノイズ”についての情報が提示されている。



 ・【ノイズ】

 ノイズとは13年前の国連総会にて認定された特異災害の総称。人間だけを襲い、接触した人間を炭素分解する存在。

 形状に差異が見られ、一部には兵器のような攻撃手段が備わっているが、 全てのノイズに見られる特徴として…

 人間だけを襲い、接触した人間を炭素転換する。一般的な物理エネルギーの効果を減衰〜無効とする。空間からにじみ出るように突如として発生する。あまりにも謎が多いため、各国を挙げての研究・解明が進められている。



 「ーーー以上が、ノイズについてだ」

 報告書を読み終えると全員が難しい顔をして眉を顰めていた。

 「ノイズ…やはり萌えキャラ扱いするべきでは無いな」

 「第5席、それは当然じゃないか…と後から気づいた私達」

 「いや、萌えキャラ扱いする気持ちは分からんでもない第2席。なんせ同じ”私”であるのだからな」

 「まさか可愛らしい見た目に反してアレほどの能力を保有していたとはな」 

 「人に触れただけで炭素分解とはな……鳥肌が立つ」

 私もだぞ、想像するだけでそれはもう…! …それに、だ。

 「実は大事な話があるのだが…」

 「どうした管理者、深刻そうな顔をして」

 「実はな?二課と行動を共にしているコピーから『この秘密基地の場所がバレたかもしれない』、と報告が」

 『……え?』

 「す、すまない。管理者、聞き間違いか『秘密基地の場所がバレたかも』と聞こえたようなのだが」

 「…更にいえば収容しているノイズについてもバレたかもしれん。+実験」

 『…ハァァァアアア?!!」

 「どういうことだ!?」

 「バレただとっ?」

 「そんなことがあってたまるか!」

 私も同じ気持だちくしょう!

 「私から提案がある。それは、ただちに裏世界へと本拠地を移すことだ」

 「逆世界と言ってもいいだろうがと思う私だがその気持ち分かるぞ第3席!」

 「私もだ。なんせ同一人物なのだからな」

 「またもや秘密道具の出番だな」

 「では逆世界へと本拠地を移す。いいな?」

 『異議なしに決まっている!』

 「ん?しかし我々がいるこの秘密基地はどうなるんだ、管理者?」

 「そのままだな。私達が築いた秘密基地だぞ?簡単に捨てれる訳が無い。それに…」

 『それに?』
 
 「そもそも秘密基地がバレたというのは、あくまでも可能性」
 
 単にそのように強く思い込みをしてしまった、という事もあるしな。

 もしバレたのなら秘密基地へと突入されていてもおかしくはない。ということは、だ…

 『勘違いだな!』

 になる。ホっと安堵の息を漏らす私達。よかったよかった。

 「纏めるぞ。…今後、実験する際は逆世界にて行い、収容しているノイズを逆世界に移送し、本拠地を逆世界に移す方針とする」

 秘密基地に関しては放棄する訳ではない。支部のような扱いとなる。

 「ノイズ対策に関しては逆世界にて行えばいい。ノイズ対策会議は一先ず終了とし、逆世界にて再びノイズ対策会議を開く。実証実験も含めて、な」

 では解散としよう、と付け加えて本会議の区切りとした。

 *コンサート会場での悲劇から二年が経過した今日。

 そういえば二課に所属している【情報部】のコピーは今なにをしているのだろうか…?

 

 

 皆の者、こんにちは。私はヒルデ。二課に所属しているコピーである。

 二課に所属している私であるが実は管理局の情報部に所属する者なのだ!…誰に言っているのだろか。

 ゴホンっ……二課に所属している理由として収容違反発生の出来事を隠し通す為。2年の月日が経った今日においても変わらない。

 この2年で色々な事があった。

 その内の一つが天羽 奏がシンフォギア装者より退いた事。理由としては自身のシンフォギア【ガングニール】が酷い損傷を受けた為。

 シンフォギアについておさらいしておくと…聖遺物の欠片から生み出された【FG式回天特機装束】の名称。変身する際は聖遺物の欠片が必要。聖遺物の欠片は翼と奏が常に身につけている赤いペンダントを指す。

 このシンフォギアシステムを運用する者を装者と呼称。身に纏う者の感情や想いに共振・共鳴し、旋律を奏でる機構が内蔵されているのが最大の特徴。その旋律に合わせて装者が歌唱することにより、シンフォギアはバトルポテンシャルを相乗発揮していく。…だったか?

 そんなシンフォギアの一つ、【ガングニール】が先の通り酷い損傷を負った。その損傷はシンフォギアシステム開発者である『櫻井了子』でも完全に直せない程。

 櫻井了子…シンフォギアを初めとする異端技術【聖遺物】を動作させる櫻井理論の提唱者である。年齢は34歳。

 シンフォギア適合者達のメディカルチェックに加え、聖遺物の管理や二課本部の防衛システム構築など、特異災害対策機動部二課の主要技術を一手に引き受ける。
 
 呑気でマイペースな性格だが【出来る女】や【天才考古学者】を自称する自信家としての一面を覗かせる。私が悪役眼鏡女と常に内心で思っている人物。

 そんな彼女でさえも直せないという事実に奏含む二課の面々はショックを受けた。私もよr…悲しんだ。

 そんな奏であるが気持ちを入れ替えたのか、前を向いて二課の職員として働いている。

 ちなみに二課の面々との関係は良好である。特に翼と奏。

 今後も仲良くせねばなるまい。後ろから通り魔の如くグサッと刺されたくない。

 そんな私は今日、朝の日課でもあるランニングをしていた。

 服装は動きやすい体操服にジャージ。

 ランニングは楽しい。

 日常にあるストレスを忘れ、好きな音楽を聞き、誰に邪魔されることなく、時間も場所も選ばずに自分のペースで気持ちよく汗をかける。

 ランニング時間は人にはよるだろうが私は1時間やっている。二度言うがランニングは楽しい。本当に。

 「もう時間か」

 腕時計からタイマーが鳴ったことで、ランニングは終わりを迎えた。

 私はランニングで出た汗をハンドタオルで拭き取り、その後は自販機に立ち寄り水分補給をしていた最中…、

 「おはようございます!ヒルデさ〜ん!」

 「おはようございます、ヒルデさん」

 顔なじみのある声が私の耳に入ってきた。私は振り返った。そこには…、

 学生服を着た2人の少女がいた。この2人は『立花 響』と『小日向 未来』。リディアン学院に通う女子高生だ。

 本来なら他人であった筈が【ある事】を堺に他人では無くなった。

 ある時、気分転換に外に出かけていた時だった。なんと路地裏にて傷つけられている響と捕まっている未来を目撃したのがきっかけ。

 無論、私は助けた。救いの手を差し伸ばすということは綺麗は心を持っている証拠だ!、と思いつつ。

 響と未来を路地裏から出した後、何故こんなことをしているのかを聞くが……正直さっぱり分からなかった。

 それだけの理由で?っと私は呆気に取られた。ナイフを向けられた時も呆気に取られた。……ひぇ。

 ナイフを向けられた私は何か武器はないかと胸ポケットを手探りで探っていると、音を立てて何かが足元へと落ちた。

 レプリカの人の手だ。それも、”血まみれ”のレプリカの手。本物の人間の手のようなレプリカの手。

 こんなもん何の役に立つのかと笑っていたら、悲鳴を上げながら散らすよう奴らは逃げていった。

 そんなに驚くことは無いだろうに、と私は思っていた。血では無いというのに。…地味にショックだった。

 その後は響と未来と回数を重ねる内に親睦を深め、今に至る。

 しかし、お前達…学校はどうした?

 「学校はどうした?」(これから学校でしょう、早く行かないと遅刻しちゃうんじゃない?)

 「そうだった!」

 「響、急がなきゃ!」

 2人は顔を青くした。どうやら登校時間ギリギリのようだ。

 「ではまた今度お会いしましょう!」
 
 「し、失礼しましたー!」
 
 2人は慌てて学校へと走っていった。それを見送る私。

 「…では、私も帰るとしようか」

 私は空となったペットボトルをゴミ箱に捨て、自宅へと戻ったのだった。帰ったらシャワーを浴びよう。 
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