金木犀の許嫁
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第三十五話 大阪でのデートその九
「馬鹿なこと言わないでよ」
「ほら、お姉ちゃんもじゃない」
「まだ早いわ」
「私と同じこと言うし」
「そういうことは大学を出て就職して」
「それからっていうのよね」
「そうよ、まだまだね」
高校生ではというのだ。
「早いわよ」
「やっぱりそう言うし」
「けれど私もね」
「そうした考えよね」
「誰かとお付き合いしたことないし」
このこともあってというのだ。
「全く知らないしね」
「そうだったのね」
「男の子と手をつないだこともね」
このこともというのだ。
「ないし」
「本当に何もないのね」
「だからね」
それでというのだ。
「そうしたことはね」
「早いのね」
「そう思うわ」
「じゃあ私にも言わないでね」
それならとだ、夜空は真昼に言った。
「ホテルとかね」
「わかったわ、言わないわ」
「そうしてね、それと」
「それと?」
「いづも屋行けたら」
この店にというのだ。
「行ってもいいかしら」
「いいわよ」
真昼はこのことはあっさりとした口調と表情で答えた。
「別に」
「そうなのね」
「食べられたらね」
それならというのだ。
「言ってきたらいいわ」
「高校生のデートで鰻屋さんは」
「いやいや、いいでしょ」
姉はどうかという感じになった妹に笑って述べた。
「別にね」
「高校生だけで鰻屋さん行っても」
「法律で禁止されてないでしょ」
「だったらいいの」
「確かに大人向けのお店だけれどね」
鰻屋はというのだ。
「そうだけれど」
「それでもなのね」
「法律が大事でしょ」
これがというのだ。
「何といっても」
「日本って法治国家だしね」
「だからね」
「法律で行くなってなってないし」
「だからね」
それでというのだ。
「本当にね」
「別になの」
「高校生同士のデートで行っても」
そうしてもというのだ。
「いいでしょ」
「そうなのね」
「そう、そしてね」
真昼はさらに言った。
「行けたら楽しんできたらいいわ」
「鰻丼を食べて」
「そうしてね、あのお店はどうか知らないけれど」
今のいづも屋はというのだ。
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