金木犀の許嫁
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第三十五話 大阪でのデートその二
「今度の日曜ね」
「デート行こうか」
「そうしましょう」
「織田作さんの名所巡りをね」
「二人でしましょう」
是非にというのだった。
「今度の日曜ね」
「ええ、それで先にどっちに行こうかしら」
行く日が決まってからだ、夜空はあらためて言った。
「難波と上本町に」
「電車ですぐの距離で」
「歩こうと思ったらね」
「行ける場所だけれど」
「やっぱり電車で行った方がね」
その方がというのだ。
「いいからね」
「ええ、先にどっちに行くか」
「そのことも問題だね」
「難波か上本町か」
「どちらを先に行こうか」
「そうね」
腕を組んで首をやや右に傾げさせて考えてだ、夜空は言った。
「お昼は決まってるから」
「自由軒だね」
「あそこでいただくし」
「夫婦善哉も行くね」
「法善寺横丁のね」
「そうするから」
「だからね」
それでというのだ。
「最初はね」
「難波かな」
「大阪に行く時間次第だけれど」
「早いうちに行く?」
佐京はこう提案した。
「大阪に」
「朝早くなの」
「うん、そうしない?」
こう夜空に申し出た。
「それで上本町の方はお店行かないね」
「口縄坂とか生国魂神社とかだから」
「お店じゃないね」
「何時でも行ける場所ね」
「朝早くでもいいね」
「ええ、そうね」
夜空は確かにと頷いて答えた。
「確かに」
「じゃあ先にね」
「上本町に行って」
「そうして」
「難波に行くのね」
「それでお昼はね」
その時はというのだ。
「難波でね」
「食べるんだね」
「自由軒でカレーを食べて」
そうしてというのだ。
「ちょっと歩いて法善寺横丁まで行って」
「夫婦善哉を食べる」
「そうして」
そのうえでというのだ。
「デートする?」
「そうね」
佐京の提案を聞いてだ、夜空は再び考えだした。そうしてこう答えたのだった。
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