金木犀の許嫁

「まことにです」
「裏とは関わらない様にですか」
「しています、これは八条家の方々もです」
　経営者の一族もというのだ。
「やはりです」
「同じですね」
「はい」
　そうだというのだ。
「裏はアウトローの世界であり」
「ヤクザ屋さんと科の世界ですね」
「非常に独特の世界でして」
　そうであってというのだ。
「それで、です」
「俺達表の世界から見れば」
「とても生きていけない世界でしょう」
「裏の世界は」
「ですから」
　そうした世界だからだというのだ。
「決してです」
「関わってはいけないですね」
「個人もそうであり」
「企業もですね」
「若しヤクザ屋さんに何か頼みますと」
　そうすると、というのだ。
「後々までです」
「たかられますか」
「そうもなります」
「だから危険なんですね」
「はい」
　まさにというのだ。
「あの様な世界は」
「そうですか」
「ですから」
　それでというのだ。
「借金もよくないですが」
「ヤミ金はですね」
「犯罪ですし」
　そもそもというのだ。
「手を出してはです」
「いけないですね」
「確かにその時は助かります」
　危急の金が手に入りだ。
「そうなりますが」
「それでもですね」
「はい」　
　まさにというのだ。
「問題はです」
「その後ですね」
「後先考えねば」
　さもないと、というのだ。
「やはりです」
「駄目ですね」
「ですから」
「借金特にヤミ金はですね」
「しないことです」
「そうですね」
「お金のことはしっかりとです」
　その様にというのだ。
「しておくことです、それだけで違います」
「違いますか」
「人生が。ですから」
　それでというのだ。
「これからもです」
「そのことはですね」
「忘れないで下さい」
「わかりました」
　佐京は確かな声で頷いた、白華も言葉を出さなかったがそれでも頷いた。そうして兄妹間でも話した。
「お金のことはね」
「これからもしっかりしていきましょう」
「お金は借りない」
「特にヤミ金は」
　こう話した、そしてだった。
　五人は朝食を食べ終えると身支度をして学校それに会社に行った、そのうえで一日を過ごすのだった。


第三十四話　　　完


　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　２０２４・７・１５