ハッピークローバー
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第百四十話 ささやかなご馳走その五
「けれどね」
「京都はもっと暑いね」
「しかも大阪冬は暖かいから」
「その分助かるね」
「神戸は夏涼しくて冬寒くて」
自分達の学校があるこの街はというのだ。
「そうなってるけれど」
「大阪とは逆に」
「京都はね」
「夏暑くてね」
「冬寒いから」
「だからね」
それでというのだ。
「そのことがね」
「行きにくいよね」
「春と秋はいいのよ」
この二つの季節はというのだ。
「京都は」
「快適だね」
「けれど盆地で」
「しかも狭いしね」
「もう街がね」
京都市がというのだ。
「ぐるりとなのよね」
「山に囲まれていて」
「狭い盆地だから」
「夏は熱気が籠って」
「それで夏暑くて」
そうなってというのだ。
「冬は冷気がそうなって」
「寒いんだよね」
「その暑さと寒さがね」
京都独特のそれがというのだ。
「本当にね」
「行きにくいね」
「京都はね」
どうしてもというのだ。
「そうなのよね」
「本当にね」
「京都人の考えと」
「気候がね」
「問題よね」
「夏と冬は」
伊東はこの二つの季節について困った顔で話した。
「京都暮らしにくいからね」
「春と秋はいいのに」
「けれどね」
「夏と冬はね」
「そんな風だから」
だからだというのだ。
「僕は大阪がいいよ」
「大阪が一番いいわね」
「そうだよね」
「私達にとってはね」
「夏は暑いけれど」
それでもというのだ。
「冬は暖かいし別に他の街馬鹿にしないし」
「東京は嫌いだけれどね」
「ああ、東京への対抗心は凄いね」
「実際東京合わないわよね」
「僕達にはね。同じ日本なのに」
それでもというのだ。
「行ったことあるけれど」
「合わないわよね」
「うん、食べものだってね」
「お醤油も違うしね」
留奈は刺身のそれを見つつ言った。
「こっちは薄口醤油でね」
「あっちは濃いんだよね」
「味が尖ってるのよね」
「そうそう」
伊東はまさにと話した。
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