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金木犀の許嫁

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第三十一話 不倫をする位ならその十三

「そして一六一四年にです」
「大坂に入りましたね」
「そうなりましたので」
 だからだというのだ。
「実質はです」
「十三年よりもですか」
「短かったかも知れません」
 そうだったというのだ。
「正確には」
「そうでしたか」
「そしてまた大坂に入られ」
「戦われましたね」
「そして武運拙くです」
「秀頼さんをお護りして」
「十勇士と共にです」
 そうしてというのだ。
「薩摩までです」
「逃れたんですね」
「そしてその地で一生を終えられました」
「そうでしたね」
「こうして見ますと本当に幸村公と十勇士の方々は」
「大坂に、ですね」
「縁が深いです」
「そうですね」
「そしてです」
 幸雄はさらに話した。
「今こうしてです」
「私達もですね」
「大阪にいます」
「そうですね」
「はい」
 まさにというのだ。
「今は。ただ」
「ただ?」
「神戸ですね、住んでいるのは」 
 幸雄は笑ってこうも言った。
「そうですね」
「私達は」
「大阪に近いですが」
 それでもというのだ。
「それでもです」
「大阪ではないですね」
「はい、ですが」
 それでもというのだ。
「こうしてです」
「大阪に来てですね」
「私達の実家がありますし」
 幸雄に姉妹で応えた。
「そうですね」
「普通に来られますね」
「いいことですね」
 笑顔で姉妹に言った。
「そうですね」
「はい、そうですね」
「大阪いいところですし」
「いい街です」
 大阪はというのだ。
「まことに。では」
「はい、これからですね」
「お昼食べてますし」
「それからどうするか考えましょう」 
 神戸に帰えるまでとだ、こう話して五人で串カツに飲みものを楽しんだ。彼等にとって大阪は実にいい街だった。


第三十一話   完


                   2024・6・23 
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