首の後ろを咥えて
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第二章
「本当にね」
「いい子達なのね」
「大変な目に遭ったけれど」
育児放棄を受けたがというのだ。
「けれどね」
「とてもいい子達ね」
「誰よりもね」
こう話した、そして自分達のところに来た五匹と一匹の頭を撫でた。それぞれ尻尾を振り喉を鳴らしとても幸せそうだった。
その話を聞いたトルコの消防署員メフメット=アンカラ若く整った外見の彼は目の前の光景を見つつ同僚にその話を思い出して話した。
「アメリカでもだよ」
「そんな話があるんだ」
「そうなんだよ」
「面白いね、犬が猫を助ける」
「種族が違っても」
生きもののそれがというのだ。
「それでもだよ」
「助けるんだね」
「そうした子達がいるんだ」
「そして我が国でも」
同僚は言った。
「そうだね」
「この通りね」
「ワン」
「ワンワン」
「ニャア」
見ればだった、二匹の茶色の犬がだった。
一匹の黒色と白の毛の猫と共に濡れそぼっていて身体を大きく振っていた。そうして水を払っている。
その光景を見てだ、同僚はアンカラに話した。
「猫が池に落ちて」
「犬達が助けたんだ」
「そうしたんだな」
「通報されて来たら」
アンカラは自分達がと話した、
「そうしたらだよ」
「犬達がその池に飛び込んで」
「そうしてだよ」
そのうえでというのだ。
「助けたんだよ」
「そうなんだな」
「僕達が助けるよりも」
それより先にというのだ。
「助けるんだからね」
「犬は凄いね」
「彼等も同じ助け方だったしね」
「猫の首根っこを咥えてね」
「そしてだよ」
そのうえでというのだ。
「助けたね」
「猫の首根っこは」
そこはというと。
「面白いね」
「そうだね」
笑顔で家族で話した、そしてだった。
二人で犬達と猫を拭いてやった、そして地域犬であり地域猫である彼等にご飯もあげた。アンカラはまずは二匹の雄犬の名を呼んだ。
「ケマル、バイバルスよくやったな」
「ワン」
「ワンワン」
二匹は尻尾を振って応えた、そして。
次は雌猫の彼女にだ、声をかけた。
「マハラム助かってよかったな」
「ニャア」
猫は喉を鳴らして応えた、彼等は寄り添い合っていた。そこには種族を越えた絆が確かに存在していた。
首の後ろを咥えて 完
2024・8・22
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