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第41話「第八浮遊大陸」
前書き
ネオ・代表05−1です。第41話「第八浮遊大陸」となります。
どうぞ、ご覧ください。
地球より遥かに離れた一つの星系―――ガミロニア星系に集う、金属体で構成された群れがある。即ち宇宙戦闘艦の群集だ。濃緑色が基調で、主砲らしきものに穴が開いていていることから、無砲身であることが分かる。側面から翼のフィンのようなものがある他、艦首に据えられた黄色い開口部の目玉2つあるのが特徴的だ。
深海魚を想起させるその正体はガミラス軍の第38辺境任務部隊で、艦隊の規模は300隻を軽く超えた。
ガミラス軍の第38辺境任務部隊の編成内容は、だ。
一つは、改ガイデロール級航宙戦艦。
二等航宙戦艦に分類される改ガイデロール級の全長は350mだ。複数の魚雷発射管と標準装備である330mm三連装陽電子ビーム砲塔を備え、高い攻撃力を誇ると同時に、艦橋周囲に近接防御火器を多数配置し艦橋の防御を高めている。
一つは、改ハイゼラード級航宙戦艦。
一等航宙戦艦に分類される改ハイゼラード級の全長は390mだ。改ガイデロール級の後継型・継承型として設計・建造された戦艦で、艦首や艦尾、砲塔の形状を除けば瓜二つともいえる。火力でも防御面において、前級よりも向上している。本艦隊の旗艦である。
一つは、改デストリア級航宙重巡洋艦。
二等航宙装甲艦に分類される改デストリア級の全長は270mだ。重巡クラスにしては重武装で、陽電子ビーム艦砲を主体とした打撃力を誇る。
一つは、改メルトリア級航宙巡洋戦艦。
二等航宙装甲艦に分類される改メルトリア級の全長は283mと、二等航宙装甲艦では最大級だ。デストリア級航宙重巡洋艦を拡大発展させたような印象を与え、鋭角的かつ重厚なフォルムを兼ね備えた独特の雰囲気を醸し出している。有砲身の三連装陽電子カノン砲塔を装備しており、三連装陽電子ビーム砲塔よりも高い火力を誇る。
一つは、改ケルカピア級航宙高速巡洋艦。
二等航宙装甲艦に分類される改ケルカピア級の全長は240mだ。三連装陽電子ビーム砲塔はx3と、改デストリア級より少ない数だが、実弾兵装の充実化により総合性能では決して劣るものではない。
一つは、改クリピテラ級航宙駆逐艦。
二等航宙装甲艦に分類される改クリピテラ級の全長は160mと、二等航宙装甲艦の中では最小だ。最も量産されており、雷撃戦が主体の戦闘艦だ。
改ガイデロール級航宙戦艦一隻、改メルトリア級航宙巡洋戦艦三隻が各部隊の中核となり、その周りを改デストリア航宙重巡洋艦や改ケルカピア級航宙高速巡洋艦、改クリピテラ級航宙駆逐艦等の中小艦艇が部隊ごとに綺麗な列を組んでいる。
その艦隊の中に、異彩を放つ艦艇が5隻いた。
漆黒の塗装と白の線で描かれた不思議な紋様のコントラストを纏った巨大戦闘艦―――改ゼルグート級一等航宙戦闘艦が、横列になって艦隊の先頭に立っていた。
亡き元帥主導で建造され、大艦巨砲主義思想を色濃く反映させた艦級でもある。それ故にガミラス艦艇で最大級の全長730mを誇り、それに見合うだけの火力と防御力を備えている。
とはいえ、だ。第38辺境任務部隊にいるこの改ゼルグート級は違う。この改ゼルグート級は装甲突入型と分類される艦で、防御を重視した艦種となる。
漆黒の改ゼルグート級各艦の艦首の前方に、巨大な壁のような盾が付随するように浮かんでいる。三層で一枚として機能している漆黒の盾には、ガミラス国家のシンボルマークが刻まれていた。この盾は”共同作戦”で重要な武器となる代物となる為、装備されているのだ。
「ルーゲンス閣下、間もなく地球艦隊との会合時刻となります。地球艦隊との会合時刻から1分後、ブリリアンスとの会合時刻となります」
「うむ」
改ハイゼラード級航宙戦艦〈ルーゲンス〉艦橋にて。
士官からの報告に、第38辺境任務部隊の司令官を務める男―――ルーゲンスは目を閉じたまま頷いた。階級は中将で、年齢は地球換算で40代後半。強面な容姿と鋭い視線が特徴的だ。
ルーゲンスは、憤っていた。
管轄下にあったこの某星系の第八浮遊大陸基地が蛮族―――ガトランティスに占領されてしまい、名誉に泥を塗られる形となったが為に、今回の奪還に向けて闘志を燃やしているのだ。
そしてこの作戦に際して、共同戦線を張る為に来援する同盟軍―――地球艦隊とブリリアンス艦隊の到着を待っていた。地球が先で、次にブリリアンス。
かつて地球とは敵対関係にあった。地球とは3年前までは戦争状態で、技術格差によってガミラス優位の内に進んでいた。だが、だ。計り知れない地球人の闘志を反映した宇宙戦艦ヤマトの登場で、状況は一変した。
結果として帝星ガミラスでの本土決戦を機に、本国は講和の道へと舵を切った。
敵対関係にあった地球と手を組み、その地球の艦隊が間もなく現れる。ルーゲンスは思うのだ。本来なら地球人の手を借りなくとも遂行すべき任務ではあるが、上層部の命令であれば従わねばなるまい。
「前方にゲシュ=タム・ジャンプの空間歪曲を多数探知。艦隊規模は270隻」
「目標、ゲシュ=タム・アウト。データ照合―――地球連邦軍の特別編成艦隊です」
「定刻通りだな」
その報告を耳にして、ルーゲンスは目を開いた。ゲシュ=タム・アウト―――地球で言うところのワープ・アウトをした宙域から此方にやって来る、地球連邦軍の特別編成艦隊の姿を目にする。
「我らの役に立ちますかな」
ルーゲンスの傍に控えている副長が口を開く。副長を務める彼は、直接にして地球艦隊と砲火を構えた経験は皆無であり、侮る節が多い。その証拠に、副長は不快を込めた視線を向けていた。
「地球連邦は友好国。友軍には敬意を払いたまえ」
ルーゲンスは、副長に注意する。
「…失礼しました。以後、慎みます」
副長がそれ以上の無駄口を開かぬよう、ルーゲンスは続けるのだった。
地球連邦軍の特別編成艦隊は、ワープ中にて船体に纏わりついていた氷が割れると同時に、ワープアウト直後の氷片を脱ぎ捨て、灰・青系迷彩に塗り分けられた船体が顕わとなった。
地球連邦軍の特別編成艦隊の編成内容は、だ。
一つは、磯風改型宇宙駆逐艦。
全長は80mの磯風改型は、ロケット型の艦体やシュモクザメのような艦首形状が特徴だ。高い機動力と攻撃力を兼ね備えた磯風型突撃宇宙駆逐艦を新型エンジン―――波動機関に換装し、より敏捷な操艦が可能となった。無砲身型の12.7センチ三連装陽電子衝撃砲塔を搭載し、空間魚雷とミサイルが新式となった。
一つは、村雨改型宇宙巡洋艦。
全長は152mの村雨改型は、葉巻型の船体が特徴だ。艦隊の中核を為し、攻守共にバランスのとれた村雨型宇宙巡洋艦を波動機関に換装した。28センチ陽電子衝撃砲を艦首に装備している他、20センチ連装陽電子衝撃砲塔を搭載、魚雷発射管を装備している。
最後の一つは、金剛改型宇宙戦艦。
金剛改型は、再編された地球連邦艦隊の主力戦艦だ。金剛型宇宙戦艦の基本設計を踏襲し、波動機関を搭載している。艦首に固定装備された陽電子衝撃砲は口径が拡大されている他、主砲は大幅に出力を増強された36センチ三連装陽電子衝撃砲を搭載し、新型の空間魚雷を装備している。
以上が、地球連邦軍の特別編成艦隊の編成内容だ。
そして、かの艦隊―――ブリリアンス艦隊が遂に現れた。
周囲に重力波と輝く真紅の粒子を撒き散らしながら現れた灰色の艦隊140隻は、派生を含め楔型の艦のみで統一されていた。全長は516mであり、その楔型の形状は被断面積を最小限としている。
その艦は、ブリリアンスではこう呼ばれている。―――エリスⅠ級駆逐艦Ⅱ型、と。
これで、全ての同盟勢力が揃った。地球・ガミラス・ブリリアンスはデータリンクを開始しつつ、予定通り艦隊を組み直す。連合艦隊は平航する形となり、作戦実行に向けて予めインプットされている陣形へと展開していった。
後書き
さてさていかがだったでしょうか。至らないところもあるかと思いますが、温かい目で観ていただけると嬉しいです。ご意見、ご感想お待ちしております。次回もお楽しみに!
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