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星河の覇皇

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第八十七部第一章 シャイターンの復活その四十

「あっちは死ぬのが誇りでな」
「ジハードでも進んで死ぬなとは言わないですしね」
「イスラム教はそこまで言わないしな」
 連合のイスラムではそうである、ただサハラでは時折そうしたことを主張する者がいない訳ではない。
「けれどな」
「エウロパだとですね」
「北欧の信仰がそうでな」
 北欧神話の神々へのそれはというのだ。
「軍人なら死んでな」
「天国に行け、ですね」
「それが理想だって言うな」
「馬鹿な話ですよね」
 兵士は思わずこの言葉を出した。
「本当に」
「俺達から見たらな」
「全くですよ」
「人間死んでもだよ」
「それでどうなるかですよね」
「そりゃ誰だって死ぬけれどな」
 このことは絶対だ、命あるものは必ず死ぬ。
「何でも終わりはあって壊れるしな」
「それで死にますね」
「そうだけれどな」
「それでも無駄に死ぬとかはないですね」
「人間天寿を全うしてだよ」
 曹長はカードを二枚交換した、すると二十一より遥かに多くなり内心舌打ちした。そこで今度は一枚交換することにした。
 だがそんな感情を顔には出さずだ、兵士に言った。
「そうしてこそな」
「いいですよね」
「そりゃ戦争になったら戦死はどうしてもあるけれどな」
「進んで死ぬことはないですね」
「ああ」
 絶対にというのだ。
「本当にな」
「そうですよね」
「あの連中はそんなのばかりだな」
「誇りだの何だので」
「それしかないな」
「馬鹿みたいな連中ですね」
「馬鹿みたいじゃなくて馬鹿なんだよ」
 兵士にカードを交換しつつ答えた、カードは二十になったのでこれでいいとした。これならまず勝てると思ってだ。
「連中はな」
「やっぱりそうですか」
「だから階級なんてあってな」
「その階級の上に胡座かいてですね」
「座ってるんだよ」
 そうしているというのだ。
「貴族連中はな」
「それで戦いになるとですね」
「そこで死ぬのが理想だの誇りだのな」
 その様にというのだ。
「言うんだよ」
「そういうことですね」
「そうだよ、馬鹿だからだよ」
 ここで兵士が止めてきた、それでだった。
 カードを見せ合った、すると兵士は二十一でまた負けた。だが曹長内心の舌打ちを隠して兵士に言った。
「やっぱりお前強いな」
「そうですか」
「ギャンブルの才能あるな」
「それならですね」
「店で働け」
 そうした店でというのだ。 
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