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スーパーヒーロー戦記

作者:sibugaki
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第11話 集いし力

喫茶店アミーゴ。
本郷猛の行き着けの店であり其処のマスターである立花籐兵衛は猛のバイクのコーチでもあり良き理解者でもある人だ。
普段は喫茶店らしく明るい雰囲気の店なのだが今は何処か空気が重い。
それもその筈、喫茶店の席の一角で兄の恭也と姉の美由紀に板挟み状態にされたなのはが一人肩身が狭い思いをしていた。
そんななのはを遠目から見守るおやっさん事立花さん。

「さぁなのは。説明して貰おうか? 何故此処まで来たんだ?」
「流石のお姉ちゃんも今回はフォロー出来そうにないよ」

恭也と美由紀がなのはを睨みながら尋ねた。
原因は勿論なのはが無断で此処まで来た事についてである。
まだ幼い少女が此処まで来るなど危険極まりない行為なのだ。
故に心配だったのか二人はなのはに事情を聞いていたのだ。

「御免なさい…でも、どうしても本郷さんが心配だったの」
「理由は分かる。だけどなぁ、それでもしお前まであんなショッカーとか言う組織に捕まったらどうするんだ? あの時はその仮面ライダーとか言う変な奴が助けに来てくれたお陰でどうにかなったようだが。次はそうはいかないかも知れないんだぞ!」

恭也も美由紀も本郷が仮面ライダーだとは知らない。
知れば二人も巻き込まれてしまうからだ。
だが、この二人も既にショッカーの怪人を見てしまった。
恐らく次の標的になるのは否めない。
が、それは当分なさそうだ。何故なら、彼等の第一の狙いは本郷となのはだからだ。

「ま、そんな訳だからさ、さっさと帰るよなのは」
「え? でも本郷さんにまだ会ってないし…」
「なのは!」
「…はい」

渋々なのはは頷いた。
席を立つと恭也に手を握られてそのまま店の出口まで歩いていく。

「それじゃおやっさん、お騒がせしました」
「おぅ、また何時でも来いよ」

ニコやかに言いながら三人は店を出て行った。
そうなると再び店はガランとなってしまった。
立花は毎度の事だと慣れた様にコーヒーカップを綺麗に磨いていた。
すると、今度は社員用の扉から本郷が現れた。

「なのはちゃん達は帰りましたか」
「あぁ、しかし最後の別れの時位会ってやれば良かったじゃねぇか」
「おやっさん、それは出来ないんですよ」

立花の言い分に本郷は渋い顔で言った。
そんな本郷を見てか立花の表情も曇りだす。

「それで、本郷…お前本当なのか?」
「えぇ、今の俺の体はショッカーの奴等に改造されて既に人間じゃないんです。本来なら、奴等の閲兵として人々を苦しめる悪魔になる筈でした」

窓に映る青空を眺めながら本郷は語る。
今、空には青空と白い雲が浮かんでおりその下では大勢の人々が平和そのものと言った具合に楽しそうに歩いているのが見える。

「ですが、そんな俺を救ってくれたのが緑川博士だったんです」
「だが、その緑川博士も殺されちまって、ルリ子ちゃんはお前が緑川博士殺しの犯人だと勘違いしてるってんだろ?」
「はい、正直辛いですよ」
「確かになぁ、何時までも誤解されたまんまじゃなぁ…とりあえず暫くは彼女からは身を隠した方が良いな。下手に近づくと揉め事になるかも知れんし」
「えぇ、そうします」

そう言うと立花は本郷の為に一杯のコーヒーを煎れて本郷の前に差し出した。
本郷はそれを手に取りクイッと口の中に注ぎ込み口の中全体でその味を味わった後に、飲み込んだ。

「うん、美味い!」




     ***




「うん、美味しい!」

リンディ艦長は差し出された緑茶に砂糖を大匙数杯入れた後、口の中に含む。
この飲み方は彼女しか飲めない。
その隣ではお茶うけにと羊羹を差し出すエイミィの姿もあった。

「結局、ジュエルシードは見つからないわねぇ」
「そうですね。甲児君は学校だし、ハヤタさんは今宇宙パイロット養成の為にパリに行っちゃってますし、なのはちゃんも同じで学校ですし。ユーノ君一人で頑張ろうとしてますけど、無理ですしねぇ」

現在此処アースラには誰も居ないのだ。
なのはと甲児は普段の学生の本分である学業に性を出している。
確かにジュエルシードも大事なのだが二人は列記とした学生だ。
学生の本分を忘れてはいけないのだ。
そして、ハヤタも今は此処に居なかった。
数刻前に科特隊のムラマツキャップから急ぎの連絡を受けて本部に戻っていったのだ。
その後の話によると、ハヤタは今パリにある国際宇宙機構の新人パイロット養成の為にパリに飛んでいる事が分かった。
他の科特隊メンバーも今は自分達の事で忙しいらしくジュエルシード探しは一先ず置いておく状況でもあった。

「まぁ、明日から長い休みになりますし。その時にまた二人共揃いますよ。多分その頃にはハヤタさんも日本に帰ってる頃でしょうし」
「そうねぇ、それまでは私達がしっかり監視しておかないとね」

リンディがお茶を啜りながら言う。
そんな彼女の前には地球の映像と各都市の映像が映し出されていた。
が、それは表面だけの映像である。
彼女達は知らない。
その表面の都市の遥か地下で強大な悪意が渦巻いている事に…




     ***




「そっか、明日には皆揃うんだね」
「うん、ハヤタさんはパリに行っちゃったし甲児さんも学校だけど明日には皆また揃えるって言ってたよ」

なのはは自宅に戻った後一足先に部屋に戻っていたユーノと話をしていた。
結局あの後家族一丸となってなのはを叱り、その後一日の外出禁止令が出されてしまったのだ。
それについてはしょんぼりするなのは。
まぁ仕方ないと言えば仕方ない。

「ま、まぁ明日までなんだし、これも休暇みたいなものって考えるのも良いと思うよ」
「ふぁ~い、それじゃもう私寝るね。今日は何だか疲れちゃったから」
「うん」

明かりを消し布団に入り眠りに着くなのは。
そんななのはを見てユーノは考え込んだ。

(もう一人の魔法少女、彼女は何故ジュエルシードを集めているんだろう? なのはの言い分からすると悪い子じゃなさそうだけど、油断は出来ないな。でも、一番の問題はショッカーだ。奴等の狙いは多分なのはだ。今もこうしている間になのはを狙っているのかも知れない)

不安に狩られるユーノであった。
彼はショッカーの存在を知らない。
その存在を知っているのは今の所なのはだけなのだ。





丁度その頃、とある町のアパート近くで一人の女性が帰り道を歩いていた。
たった今仕事を終えてアパートの自室に帰ろうとしていた所だったのだ。
そんな時、上空に巨大な羽音が響き渡っていた。
鳥にしては異様な不気味さを感じられる。
背筋が凍りそうになった。
不気味に思った女性は空を見上げた。
其処には月夜に照らされた巨大な影が女性目掛けて落下してきた。
嫌、滑空してきたのだ。

「きゃあああああああああ!」

女性は悲鳴をあげながら逃げようとする。
だが、それよりも早く怪人が女性を捕まえて首筋に牙を突き刺した。
みるみる内に女性の姿が変貌していく。

「ククク、これでお前は俺様の手足も同然だ! 良いかよく聞け! この人間蝙蝠の命令を良く聞くのだ! ある男を殺せ! その男の名は……本郷猛」




     ***




翌朝、本郷は立花のおやっさんと共にモトクロスのレーシングに出場していた。
普段から練習を行ってきたお陰かタイムは上場。
遂にはトップを抜き去り見事一位で戻ってきたのだ。

「良くやったぞ本郷! 日頃のトレーニングが実を結んだな!」
「有難う御座います。おやっさん」

見事優勝出来た本郷を労うおやっさん。
すると其処へ綺麗な花束を持って女性が歩み寄ってきた。

「おめでとう御座います。本郷さん」
「お、有難う」

花束を受け取る本郷。
すると女性は本郷の体に手を回して頬に口付けをしようとしたのだ。
それを見ておやっさんは焼き餅気味なのか口笛を吹いてそっぽを向く。
照れ笑いしながら本郷はふとバイクのサイドミラーを見た。
其処に映ったのは鋭い牙を生やした女性が本郷の首筋に牙を突き刺そうとしている場面であった。

「止めろ!」

咄嗟に女性を突き飛ばす。
すると女性は魂の抜けた人形の様にその場に倒れてしまった。
やがて女性の姿は元に戻りはしたが同時に息を引き取ってしまった。

「死んだ……だが、今のは一体何だ?」
「本郷、もしやまたあのショッカーとか言う連中の仕業なのか?」
「そうかも知れません」

本郷は嫌な予感がした。
ショッカーはまた新たな怪人を送り込んできたのだ。
蝙蝠の様な牙を生やし獲物に気づかれずに忍び寄り鋭い牙で突き刺す。
そんな恐ろしい怪人が現れたのだ。
そして、その怪人の狙いと言えば……

「まさか!」
「どうした本郷!」
「すぐに海鳴市に向います!」
「何ぃ! どうしてだ?」
「奴等の狙いが分かったんです。これは多分実験の筈です。恐らく奴等の狙いは俺となのはちゃんの抹殺です!」




     ***




その頃、なのはは学校で1学期最後の終業式を終えて帰宅途中であった。
明日から長い夏休みに入る。
そうすれば甲児やハヤタにまた会えるのだ。
更に本郷とも知り合いになれたし嬉しい事が多くあった。
しかしその中には不思議な少女との出会いもあったが今は余り気にしないで置く事にする。
ともかく今は家に帰りアースラとの連絡をするのが先決でもあった。
友達と別れて普段から行きなれた帰り道を急ぐなのは。
やがて自宅が経営する店にまでやってきた。
元気良く店の扉を叩こうと近づいた時、勝手に扉が開いたのだ。
中から出てきたのは全身分厚いコートで身を包んだ可笑しな人であった。
コートのせいで男か女の判別がつけられない。
そんな人が店から出て行きそのまま町の中へと消えて行ったのだ。

「変な人。こんな暑い時期にあんな格好してるなんて?」

なのははそう思えた。
普通なら絶対しない格好だ。
あんな格好今の時期したら汗だくになってしまうのは必然だ。
だが、そんな事気にしないでなのはは店の中に入った。

「ただいま~」

元気良くそう言った。
だが、変だった。
声を発したのに返答が返って来ないのだ。
おかしい。
普通なら店を切り盛りしている家族が元気良く出迎えてくれる筈なのに。
疑問に思ったなのはは店の中を見回した。
今の時期店には客が沢山入っている。
勿論用意されたテーブルも皆客で埋まっている。
だが、その客の殆どがテーブルに頭をつけて倒れていたのだ。
料理をそこらへんにぶちまけており明らかに只事じゃない事は理解出来た。

「え? 何、何が起こったって言うの?」

己が目を疑いながらなのはは呟いた。
普通じゃ有り得ない光景だ。
一体何があったと言うのだろうか?

「そ、そうだ! お父さんやお兄ちゃん達は?」

客がこの状態なのだ。
従業員である家族が黙ってる訳ない。
そう思いなのはは店の中へと入った。
其処で見たのは、同じように倒れている父と母、そして姉の姿だった。
一瞬嫌な予感が頭の中を過ぎった。
急いで近くに居た父に近づく。
そっと触れるとまだ熱はあり脈もあった。
どうやら気絶しているだけのようだ。
にしても変だ。
父士郎は名の知れた剣術家だ。
家には道場もあり門下生が門を叩く程の腕前を持っている。
そんな父をこんなにも容易く倒せる相手など居るのだろうか?
そんな事を考えていた時、目の前で父や母、そして姉の三人がゆっくりと起き上がったのだ。
良かった、無事だったんだ。
そう思い三人の顔を見た途端、なのはは凍りついた。
其処に居たのは鋭い牙を生やし邪悪な目つきをした3人が居たのだ。
そして、ゆっくりとなのはに向かい手を伸ばしてきた。

「い……いやぁぁ!」

恐怖に駆られたなのはがすぐに従業員室を出た。
だが、店の中はもっと大変な事になっていた。
先ほどまで倒れていた客の殆どが起き上がっていたのだ。
それも、同じように口から鋭い牙を生やし邪悪な目つきでこちらに向かい手を伸ばしている。
カウンターテーブルを挟んでなのはは取り囲まれてしまった。
恐怖で顔が青ざめる。
鋭い牙を突き出してなのはに向かい手を一斉に伸ばしてくる。
声など挙げられなかった。
恐怖で喉が潰れてしまったのだ。
目からは涙が滲み出てきた。
足が震えて逃げる事すら出来ない。
そんななのはに向かい邪悪な手が押し寄せてきた。

「なのは、こっちだ!」
「お兄ちゃん!」

その時、裏口から兄の恭也がやってきた。
彼はなんともなかったようだ。
客を何人か突き飛ばしなのはを抱えて店の外に出た。
外の空気を吸ってどうにか気を落ち着かせるなのは。

「大丈夫か? なのは」
「うん、お兄ちゃん、お兄ちゃんは大丈夫だったの?」
「あぁ、偶々食材運びをしていたからな」

どうやら恭也は無事のようだ。
それを聞いて安堵したなのは。

「それにしても、皆どうしちゃったんだろう? まるで蝙蝠みたいな牙を生やしてたよ」
「俺にも分からない。何せ見たらなのはが襲われそうになってたしな」
「うん、でもお父さん達はこれからどうなるんだろう? それにお客さん達だってあのままじゃ…」
「なぁに、心配ないさ、なのは」

突如、恭也の口調が変わった。
それだけじゃない。
自分を抱き抱えている腕に力が篭る。
それもかなりの力だ。
幼いなのはでは引き剥がす事など出来ない。

「痛い、痛いよお兄ちゃん。離して……」

見上げたなのはの目に映ったのは同じように牙を生やした恭也であった。

「何故ならお前も俺たちの仲間になるんだからなぁ!」

そう言って鋭く尖った牙をなのはの首筋目掛けて突き刺そうとした。

「よせ、恭也!」

だが、背後からの当身を食らい恭也は倒れた。
その際になのはの拘束も解けて自由になれた。

「大丈夫かい? なのはちゃん」
「本郷さん!」

助けてくれたのは本郷であった。
間一髪と言った感じで本郷が助けてくれたのだ。
後少し遅かったら今頃なのはもあの人達の仲間入りであった。

「本郷さん、あれは一体なんですか?」
「恐らくショッカーの仕業だ。奴等がまた新たな怪人を送り込んできたんだ」
「その通りだ! 本郷猛」
「むっ!」

上の方から声がした。
見上げると其処に居たのは巨大な蝙蝠の姿をした怪人であった。
ベルトのバックルにはショッカーを表す絵が彫られている。

「お前は何者だ!」
「ショッカー怪人の人間蝙蝠! 貴様等二人を地獄に叩き落す為に派遣された怪人だ!」
「やはりショッカーの仕業だったのか?」
「その通りよ! 本郷猛! 我等ショッカーは裏切り者を容赦せん! だが、その娘と共に我等ショッカーの軍門に下ると言うのであればこいつらを元に戻してやるぞ」
「卑怯な奴め!」

本郷が愚痴る。
その上で人間蝙蝠が勝ち誇ったかの様に笑っていたのだ。
今コイツに逆らえば感染した恭也達の治療法が見つからなくなってしまう。
かと言って奴等の言いなりになればきっと本郷は脳改造をされなのはも改造される。
苦渋の選択であった。

「ねぇ、本当に治せるんですか? もしそうなら証拠を見せて下さいよ」
「何?」

そんな時、なのはが人間蝙蝠に声を放った。
それを聞いた人間蝙蝠が眉を顰める。

「本当に治すことが出来るって言うんでしたら証拠を見せて下さいよ。でないと私達も貴方の言う事を聞く事なんて出来ませんよ!」
「ふん、生意気な小娘だ。良かろう、丁度其処に居る奴で試してやる」

なのはの言う通りになった人間蝙蝠が恭也の前に降り立つ。

「さぁ、立ち上がり我が翼の棘を自らの体に突き刺すのだ!」

人間蝙蝠が念じるようにそう言う。
すると恭也が一人でに立ち上がり人間蝙蝠の翼の棘に自分の腕を突き刺した。
すると恭也は糸の切れた人形の様にその場に倒れる。
顔に生えていた牙もなくなり顔色も元通りになっていた。

「成る程、その翼の棘さえあれば良いのか。そうと分かればこっちの物よ!」

言うなり本郷が人間蝙蝠の側に近づき主室に羽を毟り取ってしまった。

「ギャハッ! おのれ卑怯だぞ! それでもヒーローか貴様!」
「ヒーローだって偶には卑怯な事だってしますよ! ね、本郷さん」
「え? あ、あぁ……時と場合によるかな」

なのはの言い分に本郷は困った顔をした。
幼い子にどうやって答えれば良いのか返答に困ったのだ。
下手に答えると後で恭也に怒られるからだ。

「とにかく、この人間蝙蝠は俺が相手をする。なのはちゃんはその間にこの棘で彼等を元に戻しててくれ」
「分かりました」

そう言いなのはは本郷から人間蝙蝠の棘を受け取る。
一瞬嫌そうな顔をしたがそんな事言っていられないのが現状だ。
さっさと店の中に入っていった。

「おのれ本郷猛! こうなったら貴様一人でも地獄へ叩き落してくれる! やれぃ!」


人間蝙蝠が叫ぶと戦闘員達が一斉に現れて本郷を取り囲んできた。

「行くぞ、ショッカー!」
「イー!」

奇声をあげながら戦闘員達が襲い掛かってきた。
しかし、それらを物ともせず次々と薙ぎ倒していく。
残るは人間蝙蝠唯一人となった。

「おのれぃ! だが、俺様にはまだ切り札があるのだ!」
「強がりを言うな!」
「強がりではない! 見ろ!」

人間蝙蝠が指差す。
其処は海鳴市から見える海岸であった。
其処の海の一角が突如持ち上がると、その中から巨大なロボットが現れたのだ。

「あれは、機械獣!」
「その通り! 我等が首領はDr.ヘルと手を組んだのだ! 本郷猛よ、これでもまだ我々に歯向かうつもりか?」
「ぐっ…」

本郷は歯噛みした。
如何に改造された改造人間と言えども20mを越す機械獣が相手では分が悪すぎる。
その時、唸りを上げて機械獣目掛けて巨大な拳が飛んでいったのだ。
その拳は機械獣を吹き飛ばすと主の下へと帰っていく。

「な、何だ!?」
「あれは?」

人間蝙蝠と本郷は腕の戻っていく方向を見た。
其処には腕を放ったマジンガーZが居た。

「どうやら間に合ったみたいだぜ」

甲児はそう呟き町を飛び越えて機械獣の目の前に降り立つ。

「やい機械獣! てめぇの相手は俺でぃ!」

マジンガーZが両手を挙げて構える。
それを見て機械獣も奇声を上げながら両手を振り上げた。

「甲児君、援護するぞ!」
「サンキュー! ハヤタさん」

上空からはハヤタの操るジェットビートルが援護をしてくれる。
2対1と言う不利な状況の為か機械獣はおされ気味になってしまっていた。

「おのれぃ、このままではZが悪いか」
「逃がさんぞ、人間蝙蝠!」
「ほざけ、こうなれば貴様だけでも道連れにして死んでやるわ!」

思い切り腕を広げて本郷に掴みかかろうとする。
だが、その瞬間上空へと飛翔して避ける。
その際に強烈な風のエネルギーをベルトのバックルに受ける事により本郷の姿は緑の仮面を被ったヒーロー【仮面ライダー】へと変身したのだ。

「人間蝙蝠! 人々の体と心を操り人々を苦しめるその悪行。決して許さん!」
「貴様に許される必要などない! 今日此処で死ね、仮面ライダー!」
「死ぬのは貴様だ! トゥッ!」

叫びと共に上空へ飛び上がり一回転し、急降下キックの体勢を取る。

「トドメだ、ライダーキック!」

渾身のキックが蝙蝠男に命中する。
蝙蝠男はそのまま吹き飛び地面に倒れる。
するとその体は泡となり全て溶けて消え去ってしまった。
そして、海岸でも戦いは終わりを迎えていた。

「これでトドメだ! 光子力ビーム!」

マジンガーZの目から放たれた光子力ビームが機械獣の装甲を貫き動力部を打ち抜く。
其処を中心に爆発し、機械獣は残骸と化してしまったのだ。

「終わったか、それにしても彼等は一体…」
「本郷さん、皆元通りになったよ……わぁ、甲児さんもハヤタさんも皆来てくれたんだ!」

なのはの目の前にはマジンガーZ、ジェットビートル、そして仮面ライダーの一同がそろい踏みであった。
今、4人のヒーローが此処に集結したのだ。
これから、この先どの様な戦いが待っているのか?
その結末を見届けるのは、貴方かも知れない。




     つづく 
 

 
後書き
次回予告

侵略者は地球だけではない。
遥かな宇宙から人類に迫る魔の手。
だが、宇宙から来るのは侵略者だけではない。


次回「見えない侵略者」


お楽しみに 
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