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金木犀の許嫁

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第二十六話 里帰りをしてその九

「特にバッシングを受けたお二人は今現在に至るまで」
「そうした役をされていないですか」
「いじめ役は」
「トラウマになっているので」
「小公女は極端ですが」
 そのバッシングはというのだ。
「ですが」
「それでもですか」
「いじめ役には付きものです」
「バッシングは」
「その演技がよけばよい程」
「バッシング受けるんですね」
「左様です」
 まさにというのだ、実際にドラマでのいじめ役は好演すればする程バッシングを受ける傾向があるのだ。
「そうです」
「それは大変ですね」
「私ではとてもです」
 それこそというのだ。
「我慢出来ません」
「耐えきれなくて」
「小公女ではなかったですが」
 この作品ではというのだ。
「中には石を投げられる人もです」
「特撮の悪役でもありましたね」
「石を投げられますと」
 その場合はというのだ。
「若し当たってです」
「実際にですね」
「当たりどころが悪いなら」
「命に関わりますね」
「そうなりますから」 
 だからだというのだ。
「とてもです」
「出来ないですか」
「いじめ役は」
「石投げるのは流石に駄目ですね」
 真昼もそれはと応えた。
「怪我しますし」
「当たりどころが悪いならです」
「本当に命に関わりますね」
「そうなります」
 実際にというのだ。
「それで演じようとは」
「思えなくて」
「ですから」
 それでというのだ。
「役者さんだとしても」
「いじめ役は無理ですか」
「嫌われる位ならいいですが」
 しかしというのだ。
「バッシングはです」
「受けたくないですね」
「あまり酷いものを受けますと」
「アニメの小公女の時の様に」
「そうなりますと」
「もたないので」
「演じたくないです、一年間演じきった方々にはです」
 その人達にはというと。
「尊敬の念しかありません」
「そうですか」
「はい、大変だったことが」
 このことがというのだ。
「よくわかるので」
「それで、ですね」
「尊敬します」
「それで尊敬の念しかですね」
「持っていません」
 そうだというのだ。
「まことに」
「いじめ役も大変ってことは事実なんですね」
 真昼は幸雄の言葉を聞いて心から思った。
「本当に」
「はい、ただ悪い人に徹していればいいか」
「そうじゃないんですね」
「その役の背景もありますし」
 そうであってというのだ。 
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