| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

高卒の知将

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
次ページ > 目次
 

第二章

 令和になってだ、彼は日本ハムの監督新庄剛志を観て言った。
「想像以上に凄いな」
「二年連続最下位だったのに」
「一気に飛躍しましたね」
「その最下位の時もいいところ多かったですし」
「名将ですね」
「頭も冴えてますね」
「うん、やるかもとは聞いてたよ」 
 彼は強い声で言った。
「新庄さんはね」
「しかし予想以上ですね」
「そう言っていいですね」
「選手の起用も育成もよくて」
「采配もいいですね」
「現役時代は監督に向いていないタイプに思われても」
「いや、名将は学歴で決まらなくても」
 かつて野村に言われたことを思い出して言った。
「しかしね」
「それでもですね」
「新庄さんは予想以上ですね」
「高卒とかじゃなくて」
「監督に向いていないとか思われても」
「知識と応用がいいのかな、というか観てるよこの人」
 新庄はというのだ。
「本当にね」
「チームを観てますね」
「選手一人一人まで」
「それで采配執っているから」
「凄いですね」
「そうだよ、本当に監督は」 
 この立場の人物はというのだ。
「知識とその応用だね」
「それで決まりますね」
「よく観てよく学んでよく考える」
「それからですね」
「そうだよ、学歴とかじゃ決まらないんだ」
 周りに強い声で言い切った。
「知将や名将は」
「全くですね」
「いや、新庄さん凄いです」
「何か野村さんを彷彿とさせますね」
「野村さんのところにいましたし」
「全くだよ」
 笑顔で言った、そして新庄の野球を観ていった。その野球には確かに名将の風格が漂っていると彼は感じた。


高卒の知将   完


                 2024・6・21 
次ページ > 目次
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧