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優しい犬に懐いた子猫

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第二章

「うちと似てるな」
「そうね」 
 妻は夫の言葉に頷いた。
「お話を聞くとね」
「そうだな」
「うちもね」
「ニャア」
 家の中にいる一匹の茶色の雄猫を見て話した。
「マーリンがね」
「一緒だな」
「ええ、家族に迎えたら」
「この子達といつも一緒にいてな」 
 ストーブの傍にいる五匹の犬達を見て言った。黒い大型犬にだ。
 ダークブラウンの中型犬、ダッグスフント、黒いむく犬、茶色の垂れ耳の犬とだ。合わせて五匹いる。
「そうしてな」
「それでよね」
「もうな」 
 それこそというのだ。
「すっかりな」
「犬みたいね」
「水も怖がらずに」
 そうであってというのだ。
「泳ぐし」
「近くの運河で」
「そしてな」 
 夫はさらに話した。
「仕草も」
「犬みたいね」
「喉は鳴らしても」
「それでもね」
「ベスともな」
 黒犬を見て言った。
「仲良しで」
「この前ベスと一緒に寝てたわね」
 ダークブラウンの中型犬を見て妻は言った。
「仲良く」
「トミーと一緒にご飯を食べていたぞ」
 ダッグスフントを見て話した。
「並んでな」
「ロンと泳いで」
 今度は黒いむく犬だった。
「楽しくね」
「マリーに舐めてもらっていたぞ」
 唯一の雌犬は茶色の垂れ耳の犬だった。
「身体をな」
「兎に角犬と仲良しで」
「犬みたいになってるな」
「猫でもね」
「家族で」 
 マーリンと五匹の犬達はというのだ。
「言うなら兄弟だ」
「私達が親で」
「だからな」
「仕草も似てるわね」
「マーリンは自分を猫じゃないと思ってるかもな」
 夫はこうも言った。
「犬と思ってるのかもな」
「そうかも知れないのね」
「ああ、もうな」 
 その実はというのだ。
「猫はいつも一緒にいる相手と自分を同じと思うからな」
「それでなのね」
「マーリンもな」
「自分を犬と思っているのかもね」
「そうかもな、それだけな」 
 マーリンはというのだ。
「ベス達に大事にしてもらっていてな」
「懐いているのね」
「ああ、悪いことじゃないよな」
 夫は妻に問うた。
「そうなっても」
「そうね、凄く仲がいいし」
「それならな」
 夫は笑顔で言った、その目の前では。
「ニャア」
「ワン」
「ワンワン」
「ワォン」
「ワフゥ」
「ワンッ」
 マーリンは五匹の犬達と一緒に遊んでいた、観れば彼は犬達ととても幸せそうに遊んでいる。その仕草は猫というより犬を思わせるものが所々あった。


優しい犬に懐いた猫   完


                   2024・6・21 
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