お母さんライオンの優しい愛情
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第二章
やはり首の後ろを咥えて連れて行った、モスはその様子も見てまた観光客に話した。
「ここでもです」
「さっきとは別のライオンですね」
「はい、ですが」
それでもというのだ。
「あの通りです」
「子供には愛情深いですね」
「母親のライオンは子供が生まれますと」
モスはライオンの習性の話もした。
「一時群れから離れまして」
「子育てをしますか」
「子供が群れで普通に暮らせる様になるまで」
「自分だけで育てますか」
「そしてその育て方は」
「あの通りですね」
「愛情深いものです」
こう話した。
「非常に」
「そうなのですね」
「はい、そして」
モスは話を続けた。
「間違っても谷に突き落とす」
「自分の子供を」
「そこから這い上がってきた子だけを育てるという」
「とんでもないことはしないですね」
「そもそもそんなことをする生きものはいません」
モスは笑って話した。
「人でもやれば」
「立派な虐待ですね」
「そんなことをする本人をです」
「谷から突き落とすべきですね」
「そうです、ですがライオンは決してです」
「そんなことをせず」
「ああしてです」
今日見た様にというのだ。
「心優しいです」
「そうした生きものですね」
「そのことを覚えてくれますか」
「是非」
笑顔でだ、観光客は頷いて答えた。
「そうさせて頂きます」
「そうしてくれると何よりです」
モスはその返答に笑顔になった、そうしてだった。
ジープを他の場所に向かわせた、二人は車中で楽しい時間を過ごした。ライオンの優しさを知って語ったので。
お母さんライオンの優しい愛情 完
2024・6・20
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