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ハッピークローバー

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第百三十一話 悪魔がいないその十二

「どうにもならないわね」
「生きているだけでね」
 留奈はまさにと言った。
「害よね」
「周りにとってね」
「吸血鬼じゃなくても」
「餓鬼はね」
「むしろ吸血鬼より酷くない?」
「卑しいからね」
 かな恵も言った。
「もう常に餓えと渇きに苦しんでるし」
「そうなりたくないわね」
「その人今行方不明でしょ」
「誰からも匙を投げられて」
 誰が何をしても感謝しない、行いをあらためないでは当然のことだ。まして文句ばかり言うなら尚更のことだ。
「居場所なくなってね」
「そうなるのも当然よね」
「大体ね、学歴も職歴もないのよね」
「資格もね。お家お金持ちでも立場もないし」
「何もふんぞり返る要素ないのに」
「何でも長男さんだったらしいのよ」
 かな恵はその輩の生まれの話をした。
「何でもね」
「それがどうしたのよ、うちのお兄ちゃんとお父さん長男だけれど」
「全然威張ってないわね」
「長男でもね」
 そうであってもというのだ。
「問題はね」
「その人がどうかよね」
「長男だからってね」
「決まるわけじゃないわよね」
「その人よくしてくれた叔母さんが老人ホーム入っても会いに行ったことなくて」
「献血の一回もしたことなくて」
「生きていて誰の為にするとか」
 それこそというのだ。
「全くなかったのよね」
「そんなつもり自体微塵もね」
「何が偉いのよ」
「私もさっぱりわからないけれど」
 かな恵は留奈にそれでもと話した。
「お仕事しないでお家でずっと紐でいて」
「奥さんに食べさせてもらって」
「離婚してからも働かなくて」
「お家にいて勝手に思い込んだのね」
「そうらしいわ、この世で一番偉いってね」
 その様にというのだ。
「何処がどう偉いのか私本当にわからないけれど」
「自分振り返って思える?」
「振り返らないと出来るんじゃない?」
「反省しない人だったのね」
「そうよね」
 かな恵も確かにと頷いた。
「だからそう思い込めたのね」
「人間そうはなりたくないわね」  
 心からだ、留奈は思って言った。
「本当に」
「そうよね」
「人間の屑いや人間のバケモノね」
 理虹も実に嫌そうな顔で言った。
「そうした人こそ」
「餓鬼よね」
「心がね」
「心がバケモノなら」
 かな恵はそれならと言った。
「もうね」
「それでバケモノよね」
「今お話してる人なんて」
「親戚にいたら最悪よね」
「もうお家に来たら」
 かな恵は理虹に実際にかなり嫌そうな顔で話した、想像しただけでそうした顔になってしまったのである。 
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