金木犀の許嫁
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第二十二話 里帰りの準備その十
「神戸といいますと」
「しかしです」
「それがですか」
「そうした妖怪も存在していまして」
「吸血鬼で」
「来日しまして」
そうしてというのだ。
「そのうえで、です」
「神戸にいるのですか」
「そんな噂を聞きました」
「吸血鬼ですか」
「そしてもう誰かが倒したとも」
その様にもというのだ。
「聞いています」
「あっ、倒されたのですか」
「そうもです」
幸雄は白華に話した。
「聞いています」
「倒されていたらいいです」
白華は心から思って言った。
「本当に」
「左様ですね、どうも人を襲うそうで」
そうした妖怪でというのだ。
「若し本当に来ていてです」
「倒されていたならですね」
「何よりです」
「そうですね」
白華はそうであって欲しいと思いつつ頷いた。
「まことに」
「はい、妖怪も人も色々で」
「中には人を襲う妖怪もいて」
「それで、です」
「そうした妖怪はですね」
「いないに越したことはありません」
幸雄は心から思って言った。
「まことに」
「そうですよね」
「はい」
それでというのだ。
「倒されているのなら」
「いいですね」
「日本は世界中から人が来て」
「妖怪もですね」
「世界中から来るので」
そうした国だからだというのだ。
「危険な妖怪もです」
「来ますね」
「そうなのです」
「八条学園は妖怪のお話多いですが」
真昼が言ってきた、自分達が通っている学園のことを。
「いい妖怪ばかりですね」
「実はあの学園は結界が張られています」
「そうなんですか」
「それも二重三重に」
そう言っていいレベルでというのだ。
「複雑にです」
「張られていて」
「そしてです」
そうなっていてというのだ。
「悪い妖怪や幽霊はです」
「入られないんですね」
「最初から」
「そうなっていますか」
「ですから安心出来ます」
八条学園の中はというのだ。
「妖怪はです」
「幽霊もですね」
「悪いものはいません、吸血鬼もです」
「入られないですか」
「結界により。ですが」
それでもというのだ。
「神戸の街はです」
「結界は、ですか」
「ありましても」
「弱いですか」
「京都や東京の様にです」
「ああした街はですね」
「極めて厳重に」
そう言っていいまでにというのだ。
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