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【KOF】怒チーム短編集

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怒チーム オールキャラ
  Shall we dance?

「やれやれ……どうしてうちのお姫様は、あんたみたいな女らしさとは無縁なのかねえ?」

 試合が始まる直前、ラルフは対戦相手の麻宮アテナに愚痴をこぼした。
 アテナは透き通ったアメジストのような瞳を光らせ、探るようにラルフの目を覗き込む。

「ラルフさん……ひょっとして、レオナさんのことを言ってますか?」
「まあ、そうなんだが……。なあ、超能力を持ってるあんたなら、レオナが一向に女らしくならない理由がわかるんじゃないか?」
「ええ、超能力を使わなくてもわかりますけど……。正直に答えても構いませんか?」
「構わん。遠慮せずズバっと言ってくれ! レオナはショックを受けるかもしれねえが、はっきり伝えたほうが本人のためだ」

 ラルフは覚悟を決めてアテナに頼み込んだ。
 同じく覚悟を決めたかのようにアテナは深く頷き、おもむろに口を開いた。

「じゃあ、はっきり言いますけど……レオナさんがなかなか女性らしくなれないのは、たぶん、周囲の大人達のせいだと思いますよ」
「な、何だってぇぇぇ!?」

 アテナの返答に強い衝撃を受けたラルフは思わず目を剥き、大声で叫んでしまった。

「つまり、クラークや教官のせいでああなっちまったってことか!?」
「ちょっと! どうしてラルフさん自身がその中に入っていないんですか!? 一番の原因なのに!」

 アテナが怒り半分、呆れ半分といった表情で抗議してきた。
 てっきり自分のことを『問題のある大人達』の範疇外だと思っていたラルフは、頭の中にクエスチョンマークを浮かべた。

「……は? 俺が一番悪ぃのかよ!?」
「そうですよ! ラルフさんがレオナさんに格闘技や銃の扱い方ばかり仕込んで、男同士のノリで会話をしてるから、余計に女性らしくなくなっちゃうんです。それなのに、レオナさんにばっかり女性らしさを求めるだなんて、筋違いですよ」

 アテナに問題点をはっきりと指摘され、ラルフはごもっともだと頷くしかなかった。

「ああ……あんたの言う通りだ。じゃあどうすりゃいいんだ? 解決策を教えてくれ」
「口先だけでお姫様なんて言ってないで、実際にお姫様扱いしてあげてください。いくら美人でスタイルのいいレオナさんだって、周りの男性から全くレディ扱いされずに戦場ばかり駆け回っていたら、いつまで経っても女性らしさが芽生えませんよ」
「お姫様扱い、か……。了解。今回の任務が終わったら作戦を練ってみるぜ」

 アテナのアドバイスのおかげで、レオナを女らしくさせるための解決策が見えてきた。
 一筋の光明を見出したラルフは、晴れ晴れとした気分で試合に臨むことができた。



 KOF大会終了後、入院していたレオナの回復を確認したラルフは、クラークとウィップを会議室に呼んで緊急の作戦会議を開いた。

「よし、集合したな。これから作戦会議を始める。本日の議題はこれだ」

 ラルフはボードマーカーを手に取り、ホワイトボードにささっと議題を書いた。

「レオナを女らしくさせるためには、どうすればいいか……?」

 声に出して議題を読み上げたウィップが溜め息をつき、半眼でラルフを眺める。

「……大佐。これは任務ではなく、あなたの個人的な願望なのではないですか?」
「まあそう言わずに聞け。この議題についてはお前が指摘した通り、俺の個人的願望も多少は含まれている。だが、これは教官殿の希望でもあるんだ」
「教官の?」
「そうだ。教官はこう嘆いておられた。娘は傭兵としては一人前になったが、レディとしては半人前以下だ。それもこれも全て私の教育のせいだ……と。そこで俺はこう言った。今からでも遅くはありません。なんなら俺が彼女を一人前のレディにしてみせますよ! とな」

 ラルフは自身の胸板を拳で叩き、腰に手を当てて胸を張った。

「ろくに女性をレディ扱いできないくせに、よくそんな大きなことを言えましたねぇ」

 呆れたように言ったウィップがふっと鼻で笑う。
 ラルフは彼女をぎろりと睨みつけ、

「おい、ムチ子。できないくせに、とは何だ? 上官に対して使う言葉じゃねえだろ」
「お言葉ですが、そういう細かいことでいちいち突っかかってくるような器の小さい男性はモテませんよ」
「うるせえ! 俺はなぁ、お前が思ってるよりはずっとモテてるし、結婚したことだってあるんだぞ」
「ふーん、そうなんですか。物好きな女性がいるものですね」
「ムチ子! てめえ――」
「話が脱線しすぎですよ! 本題に戻りましょう」

 ラルフとウィップの言い合いにクラークが割って入り、冷静にとりなす。
 ウィップに茶化され、ついヒートアップしてしまっていたラルフは頭を冷やした。

「……そうだな。で、レオナを一人前のレディにしてみせますと言ったまではいいが、俺一人で頭を捻ってみても、肝心の手段がさっぱり思いつかなかった。そこでお前達に協力してもらおうと考えたわけだ。女らしさとは無縁のレオナを、少しでも女らしくさせる具体的な方法について提案してもらいたい」
「うーん、そうですねぇ……」

 腕を組んで考え込んだクラークとは対照的に、ウィップが素早く意見を述べる。

「やっぱり、彼女をレディ扱いするところから始まるんじゃないですか? 現状、大佐はほぼ男同士のノリで彼女に接しているのに、彼女にだけ女らしさを求めるのは筋違いだと思いますよ」

 ……アテナが言っていたのと同じ内容だ。
 やはり実際にレオナをレディ扱いしてやらなければ、女らしさが身に着かないようだ。

「そうか……。しかしその『レディ扱いする』っつうのが、俺にとっては非常に難しいというか、具体的に何をすりゃいいのかよくわからねえんだ。ムチ子、何かいい案はあるか?」
「レディ扱いする具体的な方法、ですか……」

 数秒の間を置いて、ウィップが何かを思いついたかのように目を見開き、隣のクラークに視線を転じた。

「そうだわ! 中尉、いつだったか士官学校時代のお話をされていましたよね。学校のイベントで、外交官のご令嬢達を相手にダンスパーティーをしたっていう」
「ああ、そんな話もしたな。それがどうかしたか?」
「ダンスパーティーって、レオナをレディ扱いするにはうってつけじゃないですか! 彼女に社交ダンスの特訓を受けさせて、綺麗なドレスを着させて、中尉が礼装をしてお姫様をダンスに誘う王子様役をすればいいんですよ」

 ウィップはきらきらと目を輝かせながら提案した。
 えっ、と戸惑いの声を漏らしたクラークが慌てた様子で手をぶんぶんと振る。

「いやいやいや、勘弁してくれ。俺、ああいうのは苦手なんだよ」
「何言ってるんですか。中尉ならさまになると思いますよ。大佐と違って金髪碧眼のイケメンですし、まさに童話に出てくる王子様! って感じじゃないですか」
「……おい、ムチ子。今、俺の容姿を遠回しにけなしやがったな?」

 ラルフはドスの利いた声で言い、笑顔のウィップを睨め下ろした。

「あっ、わかりましたぁ? 日頃鈍い大佐にしてはめずらしく鋭いですね」
「てめえ、いい加減にしねえと上官に対するパーソナルハラスメントで訴えるぞ!」
「別に構いませんよ。こちらはラルハラの件で訴訟し返しますから。大佐のほうがハラスメントが長期に渡って悪質な分、莫大な賠償金を支払うことになるでしょうね」
「何だと! いちいち可愛げのねえことを言いやがっ――」
「はいはい、二人とも喧嘩はそこまで! 議題に戻りましょう」

 クラークは手を打ち鳴らしながら大声を張り上げ、ラルフとウィップの言い合いを止めた。

「ウィップからダンスパーティーという案が出ましたが……大佐、いかがですか?」
「そうだなぁ……言葉通りお姫様扱いできるっつう点はいいかもしれねえが、レオナにダンスを仕込む手間と、誰が王子様役をやるんだっつう問題点があるよな」
「大佐が『これは上官命令だ!』って言えば、レオナはダンスでも何でも一生懸命練習してくれますよ。王子様役については、中尉が辞退してしまったんですから、大佐がやるしかないんじゃないですか」

 ウィップはラルフを見上げ、意味ありげに含み笑いした。

「えっ……俺がやるのかよ?」

 ラルフは思い切り顔をしかめて不服を表明した。
 そうです、と力強く肯定したウィップの横でクラークがうんうんと深く頷き、

「俺もウィップの意見に賛成です。レオナが女らしさと無縁になってしまった最大の要因が大佐にある以上、あなたが責任を取って王子様役をやるべきですよ」
「……クラーク、自分がその役をやりたくねぇからって俺に押し付けるつもりか?」

 ラルフは眉を顰め、非難の眼差しをクラークに向けた。

「どう捉えていただいても構いませんが、そもそもレオナを女らしくしたいと言い出したのは大佐でしょう? だったらあなたが率先して動く必要があると思いますが」
「そうですよ。企画だけ立ち上げて、実行の部分は丸投げするような無責任な上官のために、部下が喜んで協力すると思いますか?」

 逆にクラークとウィップに非難されてしまったラルフは小さく舌打ちをして、

「しょうがねえなぁ……。やりゃあいいんだろ、やりゃあよ」

 と、王子様役を渋々引き受けることにした。

「さすが大佐、可愛いレオナ姫のために引き受けてくださると思っていましたよ。それでは、王子様役は大佐に決定ということで」
「はーあ……礼装してダンスする中尉が見たかったのになぁ。粗野な大佐じゃ王子様感が全っ然無いし」

 ウィップは再び溜め息をつき、露骨に不満そうな顔をした。

「いちいちうるせえぞムチ子。てめえは ”Shall we dance?” とかほざきながらムチでも踊らせてろ」
「大佐、ムキになって言い返すのはやめてください。子どもじゃないんですから。ウィップもいい加減にしてくれ。話が進まなくなって残業になっちまうから」
「……はーい」

 クラークから注意を受けたウィップが膨れっ面で返事をした。
 やれやれとでも言いたげに肩をすくめたクラークが話を続ける。

「では早速、社交ダンスの短期特訓をしてくれる講師を探しましょう。それと、大佐が着る礼服と、レオナが着るドレスも発注しなければなりませんね」

 クラークはモバイルパソコンを開き、太く長い指を器用に動かして操作し始めた。
 ラルフはクラークの右隣の席に座り、画面を覗き込む。社交ダンスのプライベートレッスンをしてくれる講師を検索しているようだ。
 口コミなども参考にしながら数人の講師を比較検討した結果、クラークは一人の男性講師に目を留めた。

「この講師が良さそうですね」
「えっ、おっさんじゃねえか。大丈夫かねぇ、この男とレオナを二人っきりにさせといて」
「大丈夫ですよ。並の男ではレオナに太刀打ちできませんし。それに、社交ダンスは基本的に異性の講師に習うものなんですよ」
「へえ、そうなのか。じゃあ、この講師にレッスンを依頼するか」
「そうしましょう。それより大佐……さっきの言葉、娘を心配する父親みたいでしたよ」
「うるせえ! 部下に何かあったら責任問題になるからああ言っただけだ」
「そうですか。では、そういうことにしておきましょう」

 クラークはにやりと笑い、ダンス教室のサイトにあるメールフォームからプライベートレッスンに関する問い合わせをした。

「これでよし、と。レオナに着させるドレスはどうしましょうか?」
「うーん……こればっかりは俺の一存じゃ決められねえよなぁ。レオナの好みもわからんし、サイズもわからねえもんな」
「じゃあ、私がそれとなくレオナの服のサイズを聞き出してみます。あと、たぶん彼女は青系と白が好きですよ。私服にその色が多いので」

 ウィップの話を聞いて、そう言われてみりゃそうだな、とラルフは納得した。上陸休暇の時に、レオナは青か水色か白の服を着ていることが多いからだ。

「ああ、そうだったな。じゃあ、青いドレスの中から良さげなのを選ぶとするか。サイズ調査のほうはよろしく頼んだぞ、ムチ子」

 ウィップはそっぽを向いて返事をしなかった。『ムチ子』と呼ばれたことに対する無言の抗議なのだろう。

「ちっ、面倒くせえな……。レオナの服のサイズ調査を頼んだぞ、ウィップ」
「了解。今日中に調査を終えてご連絡差し上げます」

 ラルフに『ウィップ』と呼ばれた途端、ウィップは笑顔で返事をした。

「さて、次は大佐に着ていただく礼服についてですが……」

 クラークはなぜかアメリカ陸軍の払い下げ品が掲載されている販売サイトを開き、軍礼服を検索し始めた。
 訝しく思ったラルフは横目でクラークを睨み、

「おい、何でわざわざ陸軍士官の礼服を用意しようとしてんだよ? 普通にタキシードか燕尾服でいいじゃねえか」
「いやー、大佐がこの礼服を着てレオナと踊っているところを見てみたいんですよ。俺もこんなのを着て外交官のご令嬢と踊ったっけなぁなんて、昔のことを思い出して懐かしくなるじゃないですか」
「……てめえ、自分が王子様役から逃れられたからって高みの見物かよ」
「まあまあ、そう仰らずに。ちょうど大佐の身体に合いそうな礼服が放出されていますから、これをポチりましょう」

 クラークは礼服の画像の下にある『カートに入れる』ボタンをポチっと押した。

「あっ、勝手にカートに入れやがって! これは俺の指示じゃねえからな。代金はお前が支払えよ」
「構いませんよ。大した額ではありませんから。ついでにサーベルもポチっておきましょう。これもセットで正装ですからね」

 言いながらクラークはサーベルをカートに入れ、礼服とともに購入手続きを済ませた。

「よかったですね、大佐。これでダンスの衣装はばっちりですよ」
「まさか退役した後にまでこの礼服を着ることになるとは思ってもいなかったが……まあいいだろう。じゃあ、レオナのドレスも見繕っておいてくれ。頼んだぞ」
「任せてください! 彼女に似合うとっておきのドレスを選んでおきますよ」

 ウィップは胸元に手を当て、自信に満ちた表情をしながら言った。

「何だかんだで乗り気だな、ムチ子」
「えっ、わかります? お姫様のように着飾ったレオナと、王子様に扮した大佐がダンスをするだなんて、想像しただけでも面白いじゃないですか。絵面的に。だから張り切って準備しようと思いまして」
「おま……俺は見世物じゃねえんだぞ!」

 ラルフは声を荒らげ、机を拳で叩いた。



 ダンスパーティー当日、会場として借り切ったダンスホールの更衣室で、ラルフは軍礼服に着替えていた。

 ――まったく、何でこんなものを着なきゃならねえんだ……。

 心の中で文句を言いつつ着替えを済ませる。それから鏡に向かい、ポマードで髪をきっちりと撫でつけ、腰にサーベルを下げた。
 準備を済ませて一息ついた時、ドアをノックする音が聞こえてきた。
 どうぞ、と返事をすると静かにドアが開き、タキシード姿のクラークが入ってきた。

「大佐、とてもお似合いじゃないですか。胸板が厚くて上背もあるから、軍礼服を着てもさまになりますねぇ」

 めずらしく褒め言葉を口にしたクラークが、これでもかと白い歯を見せつけてくる。
 ラルフは白々しいお世辞を言ったクラークをぎろりと睨み、

「クラーク! てめえ、俺にはこんな軍人コスプレみてえな格好させといて、自分はちゃっかりタキシードを着てきたのかよ!?」
「まあまあ……これには理由がありましてね」

 クラークは手のひらを肩の辺りまで上げ、どうか落ち着いてくださいとジェスチャーで示している。
 それを見てラルフは怒りを収め、事情を聞くことにした。

「お前もレオナと踊るつもりなのか? ダンスは勘弁してくれっつって俺に王子様役を押し付けたのによ」
「いえ、そうではなく……ウィップが急に『私もダンスしてみたいです!』なんて言い出したもんですから、彼女のダンスパートナーになるために、急遽礼服を用意したんですよ」
「ああ、そういうことだったのか。ところでムチ子の奴、社交ダンスなんか踊れたっけか?」
「レオナと一緒に、こっそり特訓を受けていたみたいですよ」

 クラークの話を聞いて、ラルフは思わずにやりと笑った。
 レオナをお姫様扱いする企画に積極的に関わっていたウィップの真の目的が、クラークとダンスをすることにあったと気づいたからだ。

「ははあ、なるほど……。だからやけに乗り気で準備を進めてたんだな」
「何か仰いましたか、大佐?」
「いいや、何も。さあ、そろそろ行こうぜ」

 ラルフはクラークの背中をぽんと叩き、更衣室をあとにした。

 隣にあるダンスホールに入り、辺りを見回す。
 どこぞの宮殿かと見紛うほど高級感あふれる内装で、天井には大きなシャンデリアが煌めいている。お姫様とダンスをするにはもってこいの場所だ。

 ホールの奥に設置されているCDプレイヤーにワルツ名曲集のCDをセットし、クラークと一緒に二人の姫君を待つ。
 しばらくすると、ドレス姿のレオナとウィップがやって来た。
 軍礼服を纏ったラルフを見た途端、ウィップがくすくすと笑い出した。
 その横でレオナがわずかに目を見開き、驚いたような表情をしている。
 無理もない。正規の軍人でない者が軍礼服を着ていたら、ただの軍人コスプレにしか過ぎないのだから。

 こんなことならタキシードを用意しときゃよかったな……と思いつつ、ラルフは楚々と歩くレオナに目を移す。
 青い髪をすっきりとシニヨンにまとめ、上品な化粧を施している。
 飾り気のないロイヤルブルーのドレスを纏っているが、かえってそれがレオナの生来の美しさを際立たせていた。
 本物のお姫様も霞むほど華麗なレオナを前にして、普段から女らしい格好をしてりゃ男が放っておかないだろうに……と溜め息をつくラルフであった。

 レオナとともに壁際に並んだウィップが微笑し、ラルフとクラークに目配せをする。
 ラルフは頷き、レオナのもとに歩み寄って軽くお辞儀をした。
 レオナは無表情のまま頭を横に傾けるようにして頷き、ダンスの誘いを承諾した。
 本来であればここで女性が笑顔を見せるものだが、彼女にそこまで望むのは無理だろう。
 ラルフはレオナが差し伸べてきた手を取り、手袋をしている甲に軽くキスをする仕草をした。

 折り曲げた右腕を差し出すと、レオナが腕を組ませてきた。
 そのまま彼女を伴ってダンスフロアへ向かい、ワルツの曲に合わせて踊り始める。
 ドレスの裾を翻し、軽やかにステップを踏むレオナの姿は、まるで本物のお姫様のように見えた。 
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