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悪夢のプロデューサー

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第一章

               悪夢のプロデューサー
 森形期はとある映画会社の社員である、背は一六五位で黒髪をショートにしていて度の強い眼鏡をかけている。
 今はとあるテレビの特撮番組のプロデューサーを務めている、彼は根っからの特撮好きでありその制作に妥協はなかった、それも一切。
「最高の番組にするんだ」
「何から何まで完璧の作品にしよう」
「全力で努力するんだ」
「一点のk森もない作品にするぞ」
 こう言ってだった、作品を統括し。
 実際に隅から隅まで見た、現場にもいつも顔を出して指示を出した、そうして彼は面白い番組を制作しファン達からの評判はよかったが。
 現場はだ、彼に困惑していた。
「監督みたいに指導しているな」
「撮影にもな」
「あれじゃあ総監督だな」
「メイン撮影だな」
「脚本は指摘ばかりで」
「赤ペン先生みたいだし」
 彼等は困った顔で話すばかりだった。
「脚本も実際メインだな」
「シリーズ構成も実質で」
「演技指導もするし」
「もうあれこれ口出すから撮影遅れるし」
「いつも作品納期ギリギリだよ」
「しかもお金かけまくるし」
「この前セット燃やしたの凄かったな」
 今度は番組の予算の話になった。
「団子一つで本場から飛行機で直輸入とかな」
「スタッフが作るのに」
「着ぐるみもやたら高くしてな」
「予算普通の番組の倍は使ってるぞ」
「しかもスポンサーの意向無視するしな」
「それも全く」
「スポンサーにおもねるのも駄目だけれどな」
 それでもというのだ。
「日本は資本主義だしな」
「番組にはスポンサーが必要だよ」
「スポンサーだって利益必要なんだよ」
「社員さんと家族のことがあるからな」
「そういうの一切無視してな」
「番組作るからな」
「いい番組作りたくても」
 それでもというのだった。
「ここまで無茶苦茶だとな」
「困るな」
「ああ、しかもあの人不眠不休だしな」
「疲れなんて知らずに働くからな」 
 だから困るとだ、現場は頭を抱えていた。俳優達は自分達の意向を聞いてくれるので喜んでいたが。
 他のスタッフ達は森のやり方に困惑していた、彼が不眠不休で全て仕切りあれこれ口を出し納期は進まず作品のストーリーの進展も同じでだ。 
 予算は過剰でスポンサーの意向も無視する、兎角彼が思うままに最高の番組を目指していて除水の言うこともだった。
 一切聞かなかった、それで番組に好意的な原作者も不安を感じて社長に尋ねた。 
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