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偽マフティーとなってしまった。

作者:連邦士官
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8話

 湖をフラミンゴが飛び、フラミンゴが白鳥となり、宇宙に登り、月面都市フォン・ブラウンに姿を変える。ひどいメドレーだ。

 目を覚ますとたったの十分後だ。神経が苛立って深く眠れないらしい。白鳥が飛ぶ夢を見たがジャックとのアヒルの子がそんなに意識残っていたのか?起き上がるとツヴァイがなにかさせて‥‥。
「もっと真剣に踊れ!マンハンターが!」
マンハンターの親玉がマンハンターの格好をしてかぼちゃを被ってるやつに銃で脅されながらマフティーダンスを踊っていた。この世に顕現した地獄の描写か?

「マフティー・ツヴァイ、何をしている?」
本当に何をしているんだお前。ギュネイみたいな声をした長官にマフティーダンスを踊らせるなよ。そのおっさんだって生きているんだぞ。

「マンハンターの親玉にわからせてるのさ、マンハンターに追われて血の味がするほど走るって感覚のやつをな。」
ふざけんなよ。マンハンター長官のハンドリー・ヨクサンに踊らせたら、更にダンスマフティーが加速するだろうが。もう十分にネットの晒し者なのにふざけてるのか貴様。

「やめろ。自ら踊るのではなく踊らされたマフティーダンスは、マフティー性に反する。ニュータイプで言うなら強化人間の様なものだ。どんなに安定していても過ぎたる力はその身を引き裂く。マンハンターの長官にマンハンターと同じことをして何になる?我々は地球連邦を狩るマンハンターか?批判しているのに同じことをするのは、それは良くない。大丈夫か?ハンドリー・ヨクサン。」
踊り疲れたヨクサンにさっきまで眠っていた時のブランケットを掛けた。
       
「マフティー・ドライ、ヨクサン長官は汗でべったりだ。シャワールームまでお連れしろ。くれぐれも丁重にな。敬意を払わねば敬意は払われない。マフティーであることを自覚しろ。しかし、ヨクサン長官、これだけは言っておく。マンハンターとして人々に敬意を払わなかったツケが回ってきただけだ。忘れるな。」
ハサウェイは少し苛ついてたようだが持ち直した。ふざけんなよ。環境テロリストでハサウェイと似たようなものだろうが、環境性の違いとマフティー性の違いでハサウェイにストレスを与えるな!天パ化したら殺されるのはこっちだぞ。

「では、お食事の時間だ。こちらはなに分、無骨なものでね。好きなのを選んでいいがフルーツはよしたほうが良い。連邦兵ですら吐き出す不味さだ。なぁ、ケネス大佐。」
ケネスに話しかけるついでに、ギギ・アンダルシアを監視する。またマフティーダンスを流されたのなら、たまったものではない。

「なんだね?これは。」「スポーツクラブのソイバー?」「生焼けのスコーンよりひどい。」「全粒粉の小麦とおからのクッキーバーかしら?」
次々に声が上がるが手当を受けた護衛やケネス大佐やハサウェイ、それに他のマフティー達に苛立ちが走る。特にバーテンダーが苛立っている。

「これは兵隊用の携行食だよ。軍にいたときに私は官僚ながら齧ったものだ。相変わらずの不味さで痛みも引いたがな。」
保健衛生大臣は知っていたようだ。まぁ、上流階級は知らないのは無理はない。

「そうだ。婦人方がまずいまずいと日々、美容の為に齧るバーのようなものとカロリーブロックと言われるもので携行食は出来ている。守ってもらっている兵士が諸君らの護衛中も月から齧っていた筈だ。君たちが健康な料理とやらを食べてる最中もだ。だが、知る人間は少ない。そして、護衛が撃たれても心配しない。これが閣僚に備わってるはずのノブレス・オブリージュのあるべき姿か?」
あまり眠れてないせいか興奮してきた。初陣での気の高まりと言うやつかもしれない。喋りだした口は止まらない。ストレスをため過ぎた。

「マフティー、マフティーと言うが市民が求めるのはマフティー狩りでも、かぼちゃ狩りでもない。明日への糧だ。現にティターンズとエゥーゴ、アクシズなどが地上に作った工場にはスクラップが溢れ、近くの川には重金属が洩れている。本来ならば保健衛生大臣、あなたの仕事だろう?何故、マフティー・ナビーユ・エリンの組織を調べるのを優先した?それこそがマフティーをマフティー足らしめている由縁だ。」
一気に言ってから気付いた。言い過ぎた。ハサウェイが複雑な顔をしている。逆襲のシャアのときのアムロみたいな顔をするな!怖いだろうが!

「しかし、諸君らは捕虜なのだからそこそこの扱いを約束を‥‥。」
と俺が言ったところで、閣僚の一人が声を上げた。

「南極条約があるからな。」「そうだ!南極条約があった。」「非道な拷問などもないはずだ!」

 いや、それは‥‥
「南極条約か、しかしだねぇ‥‥彼らはジオンではない上に共和国も無くなったんだから南極条約は無効だ。オエンベリ軍と閣僚として不当な条約を結ばされるやもしれないぞ。」
保健衛生大臣はなかなかにキレる。いや、他が酷いのかもしれない。

「保健衛生大臣の言うとおりです。マフティーは、ジオンではないのだから核による報復だってあり得るのです。」
いや、核をどうやって入手するんだよ。

「エインスタイン大臣、文化教育振興大臣、保健衛生大臣などなど沢山いらっしゃるが。そういう事です。オエンベリまでのフライトを楽しんでください。彼らにシャンパンを、まるで労働者が飲むキンキンに冷えたエールの様なやつを頼む。」
やってしまって、喉が乾いた。あっ、そうだ。

「バーテンダー、トニックソーダを頼む。」
トニックソーダが出来るまでする事は無い。ハサウェイにマフティーポイントを稼いで、さっきの発言を許してもらおう。

「ケネス大佐、さっきキンバレー隊のスタークジェガンを葬った。あのパイロットの名前はわかるかね?それと護衛の名前もだ。」
ケネスに近寄って言う。ケネスとマフティーとの親密さを周りに印象付けて、失脚させるためだ。

「あぁ、わかるが。パイロットはハインツとロレンスで護衛はジョンとスミスとフランクだが、それが?」
ここで、そうかと告げて黙る。黙っておけば沈黙の意味を考察するだろう。マフティーを見るものは考察するやつしかいないからな。バーテンダー、今トニックソーダを持ってくるな!飲めないだろうが。

「だから、それがどうしたんだ。」
飲むわけにもいかず、トニックソーダの氷がカランと溶ける。一分ほど経ってからケネスに話しかけられた。

「いや、マフティーが成したことの被害者はマフティー・エリンとして覚えておくべきだと思ってな。」
マフティー性がだんだん分かってきた。トレーズとシャアを混ぜてフリット爺さんで割ればいいんだ。

「なら、今まで何人がマフティーの犠牲になったか覚えているのか?」
ケネスが動揺している。簡単だ。マスクの中のインカムでフィーアに答えをもらう。

「わかっているとも。今までで276人。今日を入れたならば278人か。最初はボリス、次にアルゴ、ジョルジュ、フィリップもいた。女児もいた。その子はエマというらしい‥‥それから。」
ケネスに止められた。ハサウェイを見る。ハサウェイは複雑な顔をしている!やりすぎた!

 プシューと気密ドアが開くとハンドリーがシャワーあがりで来た為に手に持った氷が溶けて炭酸が抜けたトニックソーダを押し付け、失敗したという失意の中でまた寝ることにした。




 緑と黄色とオレンジやピンクと光景がくるくる回る。盆提灯の回転行灯のようでカラフルだ。ペーネロペーとクスィーガンダムがシナンジュと戦って、シナンジュから緑の光が出てディビニダドとなり、コロニーレーザーを撃ち、クスィーガンダムが増幅されたニュータイプの力でビームサーベルでそれを弾いてペーネロペーは海に落ちてレーンは沈んでいった。バイストン・ウェルへ‥‥バイストン・ウェルの物語を、覚えている者は幸せで‥‥。

「うっ‥‥。」
変な夢をみた気がする。悪夢だ。よく覚えてないが木星が嫌いにはなった。イデオンと戦う夢でも見たのか?

「どうだ?マフティー。」
ツヴァイに話しかけられる。あたりを見ると無事にオエンベリに着いたようだ。

「で、奴らは?」
特にケネスとハサウェイはいいが、ギギは無理だ。ギギはサークルクラッシャー女だろう。

「南極条約が通用しないんだから黙るしかないさ。保健衛生大臣やケネス大佐や他の軍にいた者たちはマンハンターの親玉を含め、拷問がなんたるかを知っている。全く。マフティーが拷問をしたのならば、それはマフティーが持つマフティー性に対する拷問と同じだというのに。」
だから、マフティー性ってなんだよ。わかった気になったらこっぴどい恥をかいたぞ。マフティーはなんだというのだ。30秒のマフティーダンスを睡眠時以外見せ続けるほうが効果的なルドヴィゴの様な意味を持つと思うが。

「で?オエンベリのマフティーさんは?」
やつ次第な面もある。

「良いらしい。是非、マフティーに会わせてくれと言っている。自分もマフティーだろうに!」
お前のマフティーかマフティーじゃないかは聞いてないんだよ。

「人それぞれマフティーがあるさ。認めてくれたならいいじゃないか。だってマフティーだぞ?」
発作が起きた環境系テロリストを宥める。変に勘がいいと言う話だからツヴァイはニュータイプなのかもしれない。だとしたら、近づかないでほしい。

「しかし、マフティー。怪我人がいる。医者と看護師はいるが数が足らん。誰を解放する?」
と言っても決まっている。ハサウェイだ。これ以上あんな地雷と一緒にいられるか。まるでガガに掴まれてるような感じだ。GNマフティー自爆でもされれば後始末に連邦は悪趣味にもブライト・ノアにロンド・ベルをつけてやってくるだろう。ラー・カイラムに抗うすべは無い。

「ハサウェイ・ノアを解放する。息子を助ける父親なんて美談でラー・カイラムを差し向けられたらこちらは捻り潰される。ルウムの時のロドニー・カニンガンに相当する人間なんてコッチには居ないんだ。せめて、まともな艦艇の一つ、二つあればな。」
本当にそうだ。医者もどきかアナハイムが支援してくれないかなと思う。贅沢言わないからディープストライカーとかガルダとかEx-sガンダムとか‥‥呪われそうだからバンシィやフェネクスはいらないがな。

「まぁ、しかし、艦艇を手に入れたらアイツラは許さないだろう?ロートルのミデアはあるから我慢だな。」
ツヴァイの言い分も最もだが、ミノフスキークラフトを改修した大気圏も飛べるクラップ級もあるはずだ。しかし、持って嬉しいコレクションにしか今の所ならないだろう。兵器は使えないとだめなんだ。

「マフティー・ツヴァイ、オエンベリのマフティーは何を要求するだろうか?金か?マンハンターの解体か?」
それ次第で、ハサウェイがミノフスキークラフトを手に入れたが如く、俺たちに襲いかかるだろう。ガウマンですら俺は勝てるかわからない。ペーネロペーのファンネルを避けて戦える人材だからな。そこに、ハサウェイが来た日には百式に追いかけられるハイザックの様なものだ。

「わからないな。こっちの会話次第では?」
それがわからないから聞いているのに‥‥まぁ、いい。ハサウェイとギギを離して、ケネスは軟禁でキンバレーに加点をさせる。キンバレーに退役させられたらケネスもしがらみがなくなってハサウェイのマフティーに合流するかもしれない。

 ハサウェイとケネス。アムロとブライトみたいなものだろうか?まともな指揮官がいれば戦士たるハサウェイがマフティーとして負けるわけもない。さらに言えばケネスが抜擢しないからエイムも居なくなるかキンバレーに生理的な不快感を覚えて居なくなるかもしれない。

 いやまて、エイムの代わりにリディとか来られた日には駄目になる。エイムのままの方がいいな。ままならないものだな。ガンダムってやつは。

「結局、なんの為の戦闘だろうな?マイルドティターンズと化した連邦政府にエゥーゴすらも出来やしない。人々は戦いすぎて疲れたのか?」
思わず、教えてくれ、シャア・アズナブルと呟いてしまっていた。いや、ナーバスになっている。シャアに聞くくらいならナタクに聞いたほうが教えてくれる可能性がある。

 失敗した。まだ、教えてくれアムロ・レイの方がかっこ良く決まった。シャア・アズナブルでは、さんざん釘を刺されてもアクシズを落とすスパロボのイメージがある。

 フル・フロンタルのほうが欲しい言葉をくれるかもしれないと思いつつ、俺は窓から見えるオエンベリの迎えの来る前に出口へと向かった。誰も居なくなった機内と最後に出される予定のハサウェイ。目がガッチリと合う。その間、ハサウェイがこちらを驚いた顔で見ていたので瞬間的に人差し指と中指を合わせて他の指を折って、額に持っていって小さな敬礼をしてから飛ばした。

 やっとハサウェイ、ケネス、ギギという深い仕組みから解放される解放感から体を伸ばした。

「伊達ではないか。」
原作キャラは伊達でなかった。特にギギ。しかし、大一番のスペインの偽マフティーが残っている。疲れた。あとは車内で考えようと歩き出した。

 
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