魔法少女リリカルなのはStrikerS~赤き弓兵と青の槍兵
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本編
三十二話~決着――ゆりかご
side 士郎
駆動炉の目前で私達の行く手を阻むアンノウン。先程は鶴翼三連でまとめて破壊することが出来たが、学習したのか少数の編隊で仕掛けてくるようになった。
「なあ、士郎」
「どうした」
半分くらいのアンノウンを破壊した時、ヴィータが真剣な表情で話し掛けてきた。
「ここまで来ればあたし一人でやれる。お前はなのはのとこに行ってやれ」
「しかし……」
渋る私にヴィータは言った。
「ヴィヴィオを救うのがお前となのはの親としての責任だとあたしは思うぜ?心配すんな。駆動炉の破壊はあたしに任せろ。鉄槌の騎士の得意分野は破壊と粉砕。ここはあたしの舞台なんだぜ?」
……そうだな。
「ありがとう、ヴィータ」
私は礼を言うと、なのはに念話を繋げた。
side なのは
強い…………ヴィヴィオはブラスター2の私と互角以上に打ち合っている。いや、AMFの影響で私の方が消耗が激しい。これはかなりまずいかな………
「どいて……あなたじゃ私に勝てないんだよ!!」
攻撃しても攻撃しても倒れない私にしびれを切らしたのか、ヴィヴィオは半狂乱になって喚き散らしていた。
「倒れるわけにはいかないの……。約束、したんだから。3人で一緒に帰るって………」
丁度その時だった。
(待たせたな!もう大丈夫だ!!)
私が今一番待っていたものが来た。
「ヴィヴィオ」
「……勝手に呼ばないで」
「私達はあなたを助ける」
私は左手を高く突き上げ、この状況を変えるために叫ぶ。
「マスター、高町なのはが命じます!!今すぐに私の元へ!!」
最後の令呪はその莫大な魔力を放出し、発動した。そして……
「助けに来たぞ、ヴィヴィオ」
私の想い人にしてヴィヴィオの父親、衛宮士郎君がそこに現れた。
side クアットロ
「……ありえない」
なんなの?どうしてこのAMF状況下で転移なんて芸当ができるの?魔法陣すらない転移なんて聞いたこともない。
「………予定外だけど、やるしかないわね……」
ドクターは捕まり、お姉さま達や妹達も全員捕まった。逆転の一手はこれしか残っていない。
「さあ、どんな顔をしてくれるのかしらね……ふふふ、あーっはっはっはっは!!」
眼鏡をはずしながら私はこれから起こるであろうことを予想して大笑いした。
side 士郎
ヴィヴィオは姿が代わり、大人になっていた。が、中身は子供のままだろう。洗脳ならばルールブレイカーで解ける。恐らくだがヴィヴィオに埋め込まれたというレリックも取り出せるだろう。
あとはゆりかごを操る戦闘機人を確保して終わりだ。
「あなたは、……う、う、うう。あああああ!!!」
ヴィヴィオは私を見ると頭を押さえて苦しみだした。
「パ、…パ?……わ、たし……は!?うぐ、ああぁっぁあぁぁああぁあああぁぁあ!?」
ヴィヴィオが私の事を思い出しそうになった時だった。突然奇声をあげながらもがきだした。
「はぁ~い、感動の再会中失礼しま~す」
ヴィヴィオが苦しみだしたのとほぼ同時に通信が。私はその通信の主に見覚えがあった。
「貴様は……!」
赤原猟犬で狙い撃ちにした戦闘機人だった。
「あらあら、怖い顔ねぇ。今から楽しいたのしいショーが始まるのに」
「何を、する気……!?」
なのはが問う。それを聞いた戦闘機人は嬉しそうに笑う。
「あなたたちの娘にゆりかごの力を全開で使わせるのよ~。使用者の負担を無視した完全なる全開を、ね」
「………!?そんなことしたら!!」
「あなたはやっぱりわかるのねぇ~。自分が似たようなものを使っているからかしら?」
なのはがその言葉を聞き動揺する。だが私は、
「その前に、止める!」
「あらまぁ。愛娘に剣を向けられるんですの~?」
「それがこの子を救うためならためらいはしない」
「………つまらない男ね。でもぉ、これを聞いてもそんなこと言える?ゆりかごの力を全開で与えたらぁ、その子、5分経たずに廃人よ」
5分だと……!?
「まぁ三人仲良く心中でもすればいいかもしれないわねぇ、ふふ、あははははははははは!!」
「貴様……!」
この女は、言峰以上の外道だ。
「ア………ガァアアアアアアアアアアアアァァァァァァァァァァァァ!!!!!」
そして、ゆりかごの力を得たヴィヴィオの暴走が始まった。一直線に突っ込んできたのを干将莫邪で受け止める。
「くっ、速い!?」
攻撃の速度、威力共にかなりのものだ。イリヤのバーサーカーやセイバーには及ばないがサーヴァント並みの強さになっている。これでは五分以内にルールブレイカーを刺すことなど……できない。
「士郎君!援護するよ!!」
なのはがシューターやバインドを仕掛けるが、全く効いていない。恐らくなのはの攻撃手段の中でも最高峰の攻撃でなければ通らないだろう。
そして、これは賭けだがルールブレイカー以外にも手はある。ルールブレイカーを使うのはほぼ不可能に近い。分が悪いが、今はこの方法しかないんだ。
「なのは!!スターライトブレイカーを最大出力で撃ってくれ!!」
しかし、そのためには今も続いているヴィヴィオのラッシュを止めなければならない。そのためになのはにスターライトブレイカーを放ってもらう。
「わかった!!」
なのはがチャージに入る。その間は無防備になってしまうため、なのはの方へ攻撃が行かないようにしながらこちらの準備を進める必要がある。
「あああああああ!!!!」
暴走しているというのに闇雲に暴れまわっているわけではないのが厄介だ。
的確にこちらの攻撃をさばき、カウンターを打ち込んでくる。
今は魔法を使っているわけではないので非殺傷設定がない。そのため必然的に加減が必要なのだ。
そのため、今私とヴィヴィオはほぼ互角の戦いを繰り広げている。
時間がない。間に合うか……?
(お待たせ!いつでも行けるよ!!)
(3秒後に頼む!!)
離脱前に干将莫邪をヴィヴィオを挟むように投げ捨てる。
「壊れた幻想」
この爆風から逃れるために選ぶのは……上。
だが、そこには
「スターライトォォォ………ブレイカー!!!」
チャージを終えたなのはが特大の砲撃を放つ。
避けることはできない。ヴィヴィオはそれを真正面から受け止めた。
その隙に、私は詠唱を始めた。
「――――I am the bone of my sword.」
魔力が、もっと必要だ。だが、持ち合わせはない。
「――――Steel is my body,and fire is my blood.」
ならどうする?簡単だ。足りないならば、外から持ってくる……!
「――――I have created over a thousand blades.」
両手にデバイスを展開。カートリッジをロード。
「――――Unknown to Death.」
一発、二発、三発。まだだ。まだ足りない。
「――――Nor known to Life.」
さらにロード。合計六発。まだまだだ……!
「――――Have withstood pain to create many weapons.」
さらにロード。合計十二発。あと少し……!
「――――Yet,those hands will never hold anything.」
追加二発。これで足りる!!
「――――So as I pray,Unlimited Blade Works.」
その一言により、世界は塗り替えられる。剣の荒野。空には歯車。私の世界『無限の剣製』へと。
side なのは
「スターライトォォォ………ブレイカー!!!」
ヴィヴィオへとスターライトブレイカーを打ち込む。が、
「ああああぁぁぁああぁぁぁ!!!!」
正面から拳を叩きつけてきた。
「うっ……」
押され初める。でも、ここで引くわけにはいかないよ!!
「ブラスター……3!!」
[Limit release.]
最後のブラスターリミット。その解放とその詩が聞こえてきたのはほぼ同時だった。
―――体は剣で出来ている。
……直感でわかった。この詩が士郎君が生きてきた人生を表している、ということは。
―――血潮は鉄で、心は硝子。
感じる。世界が変わるのを。
―――幾たびの戦場を越えて不敗。
現実が、塗り潰されるのを。
―――ただ一度の敗走もなく、
彼の、心象世界に。
―――ただ一度の理解もされない。
あまりにも悲しすぎる彼の世界が、
―――彼の者は常に独り、剣の丘で勝利に酔う。
その姿を、現してくる。
―――故に、生涯に意味はなく。
赤い大地と、空に浮かぶ歯車。
―――その体は、きっと剣で出来ていた。
私達の周囲を炎が包み…………
「え…………!」
「見つけたぞ、戦闘機人」
世界が、変わった。
side クアットロ
なに?なんなの?なによこれ?ありえない。ありえないありえないありえないありえないありえないありえないアリエナイアリエナイありえないありえないありえないアリエナイありえないありえないありえないありえないありえないアリエナイアリエナイアリエナイアリエナイアリエナイ!!!
「あ、あああ、あああああああ!!??!?!?!?」
どうして?私はゆりかごにいたはず。こんな変な荒野に来た覚えはない。
逃げたい。逃げたい逃げたい逃げたい。
「無駄だ」
メノマエニケンガフッテキタ。
「俺の世界で勝手はさせん」
クサリガワタシヲツカマエタ。ウゴケナイ。ドウシヨウ。ドクターノユメヲカナエラレルノハワタシダケナノニ。ニゲラレナイ。……そうだ。聖王の器を操れば……!!
そしてコンソールを呼び出そうとしたが……
「させると思うか?」
紅い槍が飛んできてかき消されてしまった。
……打つ手はない。
「貴様はこれで終わりだ」
目の前には剣の大軍。
「停止解凍、全投影連続層写…!」
男がその言葉と共に指を鳴らすとそれらが一斉にこちらに向かって来る。
剣が剣がケンがケンがけんが剣がケンがけんが剣が剣がケンがけんが剣が剣が剣がケンがけんが剣がケンがケンがけんがけんが降る。
あまりに桁外れな攻撃。桁外れな恐怖。
「いや、嫌ああああぁぁぁ!!」
最後に聞こえたのは、何かを叫ぶ女の声だった。
side 士郎
固有結界の広域展開。うまくいく保証はなかったが、ヴィヴィオを操っていた女を引き込むことが出来た。女は目の前で起きたことが信じられないと言いたげな顔でこちらを見ている。そして、
「あ、あああ、あああああああ!!??!?!?!?」
発狂し、逃げ出した。が、無銘の剣を数本仕向けて逃走を妨害した。
「無駄だ。俺の世界で勝手はさせん」
天の鎖を放ち、女を捕らえる。
捕らわれて大人しくなった女は視線をさまよわせた後、何かに気が付いたような顔になった。そしてコンソールを呼び出そうとしたので、破魔の紅薔薇を投擲し、妨害した。
「させると思うか?」
そう言ってやる。
「貴様はこれで終わりだ」
やり方が英雄王そっくりというのは気に入らないが、これでいい。
「停止解凍、全投影連続層写…!」
空から無数の武器が降る……まさに英雄王のような攻撃。
だが、一発も命中させず、ギリギリのところで当てない。だが、強力な神秘の塊たる宝具を大量に向けられる恐怖は尋常ではない。案の定女は気絶していた。
そこでヴィヴィオの様子を見るために視線を女から外した瞬間
「ヴィヴィオ!」
叫ぶなのはの声がした。
side なのは
士郎君の固有結界。その中に入ったのとほとんど同時に私とヴィヴィオのぶつかり合いが終わった。
「はぁ、はぁ、はぁ」
「う、うあ、ああああ、あ」
急に力の供給がなくなったからか、ヴィヴィオはしばらくの間頭を抱えて苦しんでいた。
今すぐ近寄りたいが、ヴィヴィオは絶えず魔力を放出しているため、近づけない。
なんて、もどかしい…………!!
「う………こ、こ、は?」
ヴィヴィオが正気に戻った。
「ヴィヴィオ!!」
私は駆け寄ろうとした。
「来ちゃダメ!!」
ヴィヴィオはそう言いながら、泣きながら攻撃してきた。
「全部、思い出したの。私の生まれも、作られた目的も。私は、生きてる兵器。ゆりかごを動かすためだけに作られた道具。ここにいてはいけない存在……!」
「そんなこと「そんなことを言うな!」……士郎君」
何時の間に戻ってきたのか士郎君が私の隣にいた。今まで見たことがないような、とても怒った、そして、同時にとても悲しそうな顔で。
side ヴィヴィオ
苦しい。苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい!!
私の中で何かが暴れる。永遠に続くのかと思われた痛みは唐突に何かが抜け出ていくような感覚に変わった。段々と意識がはっきりしてくる。それと同時に私の存在理由はなんなのか、という事も明確に思い出した。
「う………こ、こ、は?」
下を見ると土がある。私はゆりかごにいたはず……
「ヴィヴィオ!」
声のした方を見ると、ママ……いや、なのはさんがいた。こちらに駆け寄ってくる。
そんななのはさんに私の体は勝手に迎撃をしようとした。
「来ちゃダメ!」
見れば彼女はもうボロボロ。もう傷つかないで……私なんかのために……こんな、兵器のために。
だから私は言い放った。
「全部、思い出したの。私の生まれも、作られた目的も。私は、生きてる兵器。ゆりかごを動かすためだけに作られた道具。ここにいてはいけない存在……!」
「そんなこと「そんなことを言うな!」……士郎君」
唐突に聞こえた怒りと悲しみの入り混じった声。それは………
衛宮士郎さんのものだった。
side なのは
士郎君は続けて言い放った。
「ヴィヴィオ。どうして泣いている?兵器だなんて思いたくないんだろう?」
「………思いたい、思いたくないじゃなくて兵器は兵器なんだよ、士郎さん。なのはさんも、そう思うでしょ?」
ヴィヴィオが私たちを他人のような呼び方で呼ぶ。だから、
「ううん。ヴィヴィオは普通の女の子。私と士郎君の、大切な娘。それ以外の何者でもないよ」
「そんなこと……!」
「口先だけなら何とでも言える、か?」
「!!!」
ヴィヴィオが驚いている。士郎君が自分が言おうとしたことを当てたからだろう。
「こんなところまで来ているのがママの言葉が真実である、という証拠にならないか?」
士郎君が今までヴィヴィオと接してきたときの優しい口調でそう言った。
「だけど!私はなのはさんを、士郎さんを殺そうとした!!」
「それは操られていたからだ。お前の意思じゃない」
「それでも!!」
これじゃあイタチごっこだ。
「だったら、さっきから流れている涙はなんなんだ?」
「!!!」
嫌なんだよね……。戦いたくないんだよね……。
「ヴィヴィオ。ヴィヴィオはどうしたいの?ホントの気持ち、ママたちに教えて」
「わ、たし、は……」
ヴィヴィオは今の今まで抑えていたであろう感情が爆発したように思いを叫ぶ。
「一緒にいたい……ママと、パパと、三人で……!!助けて……私を、助けて!!!」
「当然だ」
「助けるよ。私たち二人で!」
その言葉を待っていた私たちはそれぞれ準備に入った。
士郎君はその手に歪な短刀……ルールブレイカーを。私はバインド“レストリクトロック”の準備をした。
[Restrict Lock.]
光の輪がヴィヴィオを捕える。
「ヴィヴィオ。少しだけ、我慢しててくれ。破戒すべき全ての符………!」
短刀がその力を発揮する。ヴィヴィオが光に包まれた。
そして光がおさまると…………
「成功、だ」
子供の姿に戻ったヴィヴィオと士郎君がそこに立っていた。
「レリックは………?」
「ここにある。が、破壊してしまうのがいいだろう」
そういって、士郎君は一振りの剣を手に取った。
黄金の柄を持ち、刀身は透き通るかのような美しさの剣。
まさに名剣……と言うべき様なものだ。
「絶世の名剣」
士郎君はその名を静かに言い放ち、レリックを一閃。
レリックは音も立てずに二つに分かれ、消滅した。
「さて、そろそろ戻るっ………!?」
レリックも破壊し、犯人も確保。ヴィヴィオも無事に救出したというのに、この事件はまだ終わりではなかった。
side ヴィータ
「はああああああああああああああ!!!」
あの後無事に駆動炉にたどり着いたが、攻撃を加えた途端に防衛システムが作動。現在はその処理をしている。
「これで、最後だ!!」
防衛システムの最後の一機を落とした直後の事だった。
『聖王陛下、反応ロスト。直ちに全機構の停止、並びに全魔力リンクのキャンセルを行います』
いきなりそんな放送がしたと思うと、
「え?」
飛行魔法がキャンセルされた。それだけじゃあない。駆動炉も勝手に停止している。
『ただいまより、破損個所の修復にかかります』
何が起きているのか全く分からねえ。が、とりあえずは……
「なのはと士郎がやったみてえだな。ひとまずは脱出だ!」
あたしは出口に向かって走った。
side 士郎
鼓動を感じる。体の中に。
魔術回路がソレを拒む。
ソレは魔術回路と融合しようとする。
そうすると痛みが生まれる。
「くっ…………」
「士■く…!しっか■し…!!」
誰がが呼んでいる。……誰だろうか?
「士郎君!!」
………ああ、思い出した。彼女たちは、私の………
守りたい、大切な人たちだ。
笑っていて欲しい人たちだ。
立てる。彼女たちのためなら。
俺は何度だって立ち上がる。
だから………
泣かないでくれ……
…………………………………………………………………
「はぁ、はぁ……」
「士郎君……!よかった……」
気が付くと固有結界は解け、玉座の間にいた。
身体を起こそうとした私に目に涙をためたなのはが抱きついてきた。
「本当に、よかった……!」
かなり心配させてしまったようだ。
「大丈夫だ。すまなかったな」
「ううん。士郎君が無事なら……!?」
と、今の自分の体勢に気が付いたなのはは、
「ごごごごごごめんね!!!すぐ離れるから!!!」
「あ、ああ……」
気まずい沈黙。しかし、確認しなければならないこともあることだ。こんなことで時間をくっている暇はない。
「…………それより、私はどれくらいの時間倒れていた?」
「5分もしてないよ。それより……」
そういって下を向いてしまうなのは。
その理由はすぐにわかった。
「魔法が……使えないのか」
「うん……どうしよう……」
おまけに扉も締まっている。脱出するためだ。少しくらいの無茶は大目に見てもらおう。
「投影、開始……!」
やはり魔法が使えないのはAMFの効果のようだ。魔術が使えるのが何よりの証拠。
今の身体状況で魔術を使うと全身が軋む。だがそんなことはどうでもいい。
この状況で最も適した武器を幻想する。そして生み出したのは私が一度背中を両断されたこともあるあの武器だ。
「それは……?」
なのはが聞いてくる。
「英雄ヘラクレスの斧剣だ」
壊す、と言ったらやはりこれだろう。威力はお墨付きだしな。
「投影、装填。全工程投影完了――――――是、射殺す百頭……!」
扉に向けて一閃。扉は粉々に吹き飛んだ。
「よし、行こう」
「う、うん……あの人は?」
「担いで運ぶしかないな。私が…」
「私が担ぐよ」
「なのは……」
「これ以上無理しないで。さっきは本当に心配だったんだからね……」
「…………わかった」
私が先頭を行き、なのはがヴィヴィオを抱き、女を背負ってついてくる。
先程ナインライブスブレイドワークスを放ったときは痛みはなかったが、魔術回路に異変を感じた。
まるで、何かから魔力供給をされているような感じだったが、魔力の状態がめちゃくちゃだった。倒れたのはそれが原因かもしれない。なるべく魔術は使わずに進みたいが……
「くっ、またか!」
目の前に現れてくる魔力障壁。手に持つ斧剣で切り裂きながら進んでいく。
ある程度進んだところで、
「なのは!士郎!」
ヴィータと合流。彼女も戦闘機人を背負っていた。
「やったんだな」
「ああ。そっちは?」
「駆動炉はいきなり止まった。魔法が使えなくなるのと同時にな。んでお前らの方が気になって行ってみたらこいつを拾ったんだ」
どうやらヴィヴィオを固有結界に取り込んだことで王を失ったゆりかごが停止した、という事だろう。
「急ごうぜ。時間がねえ」
「ああ」
後少しだ。後少しでこの事件は終わる。
side ゼスト
「はあああああああ!!」
「……紫電、一閃!」
身を切り裂かれる感触。命が尽きる、と感じるのは二度目だ。
……俺たちの意志は、正義は、しっかり受け継がれていた。
思い残すことはない。
「旦那ぁ!」
ああ、ひとつだけあったな。
「この子を頼む。きっと、お前ならばいいマスターになってくれるだろう」
「……はい。必ず」
これで終わりだ。ようやく、終わりだ。
レジアス。もう大丈夫だよな。世界は、きっと大丈夫だよな。
お前も、そう思うだろう?
後書き
更新です(*´ω`*)
この話はかなり書き直しをしたのでクオリティは高い……はずです。
いや、それはない。と思う方がいらしたら感想で説教してください。
これからエピローグですが、結構更新に時間がかかると思います。
同時平行で後日談書いてますので(・ε・` )
書き溜め作成はいいからさっさと更新しろや!!という意見が多い場合は全力全開で更新速度を上げますのでよろしくお願いします\(^o^)/
長くなりましたがこの辺で!
それでは~
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