英雄伝説~黎の陽だまりと終焉を超えし英雄達~
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第26話
悲鳴が聞こえた場所にヴァン達が到着するとマクシムが連れていたホステス達が屍鬼の半グレ達に囲まれていた。
~黒龍城塞~
「だ、誰か、助けて―――――!」
屍鬼の半グレ達に囲まれていたホステスは悲鳴を上げ
「チッ、囲まれてやがる!」
「でも、この距離じゃ……!」
その場に駆け付けたアーロンは舌打ちをし、アニエスは距離がある事に不安そうな表情を浮かべた。
「エレイン!」
「ええ……!」
「ゼリカ!」
「ああ……!」
「援護します……!」
するとその時ヴァンはエレイン、クロウはアンゼリカにそれぞれ呼びかけ、クレアは宣言した後正確無比な射撃で不死者の半グレ達にダメージを与えると共に注意を自分達に向け、その隙にヴァン達は一気に半グレ達に詰め寄って強烈な一撃を叩き込んで半グレ達を怯ませた。
「すごい……!」
「ヒュウ……!負けてられるかよっ!」
ヴァン達の電光石火の連携にフェリが驚いている中口笛を吹いたアーロンは半グレを背後から奇襲して地面に叩きつけた。
「後ろに下がってな!」
「!うん……!」
アーロンの忠告に頷いたホステス達は半グレ達が怯んでいる間に後ろに下がり
「やるわね―――一気に決めるわよ!」
「おおよ!」
アーロンの奇襲に感心した後口にしたエレインの号令にヴァンは頷いた後仲間達と共に屍鬼の半グレ達を撃破した。
「あ、ありがとう……助かりました……」
「まさか噂の”剣の乙女”に助けてもらえるなんて……それにアーロンまで……!」
ヴァン達が戦闘を追えると安堵の表情を浮かべたホステス達がヴァン達に声をかけてきた。
「ま、気にすんな。それより―――」
「アンタたち二人だけか?レーサーはどうした?」
「そ、その……私達がうっかりこの場所の事を話しちゃって……」
「興が乗っちゃったマクシムさんと一緒に入っちゃったんですけど……あ、あの化け物たちが現れて……」
「でもマクシムさんが囮になってウチらを逃がしてくれて……」
「へえ……」
「マクシムさんが……」
ヴァンにマクシムの事を訊ねられたホステス達がマクシムが自分達を逃がす為に囮になった話を聞いたフェリとアニエスは目を丸くした。
「まだ奥にいるはず……お願い、助けてあげて……!」
「勿論――――民間人の保護は遊撃士の務めですから。」
「ま、俺らは遊撃士じゃねえからヤツから精々ふんだくってやるか。」
「またそんな……」
ホステスの頼みにエレインが頷いている中マクシムから報酬を強請るつもりでいるヴァンにアニエスは困った表情を浮かべた。
「とにかく、しばらく一緒に来い。キッチリ守ってやるからよ。」
「!わ、わかりました……!」
「ウチらちゃんとついていくからっ!」
するとその時アーロンがホステス達に近づいて声をかけ、アーロンの心強い言葉にホステス達はそれぞれ笑顔を浮かべ、その様子を見ていたヴァン達は冷や汗をかいた。
(やるわね、彼。)
(これが”いけめん”ですか……)
(チッ……やっぱクソ生意気な小僧だぜ。)
(まあまあ、それより先を急ぎましょう……!)
エレインは苦笑しながら感心し、フェリは目を丸くし、舌打ちをした後若干アーロンを気に入らなさそうな様子で見つめるヴァンにアニエスは苦笑しながら指摘し
(へっ、先を越されちまったようだな?)
(ふっ、今回の件は彼が主役の上彼のホームグラウンドでもあるのだから、仕方ないさ。)
(フフ、リィンさんみたいな罪作りな男性ですね。)
(今の場合はリィンさんの”いつもの癖”とは別物だと思いますが……)
(やれやれ……こんな時でもいつもの調子とか、呑気な連中だぜ……)
(ハハ、その方が心強くていいじゃないですか。)
口元に笑みを浮かべたクロウに指摘されたアンゼリカは静かな笑みを浮かべながら肩をすくめて答え、リタの感想にクレアは困った表情で指摘し、ヴァン達の様子を苦笑しながら見つめて呟いたマーティンにタリオンは口元に笑みを浮かべて指摘した。
その後ホステス達を守りながら先を進んだヴァン達が探索を再開して先に進むと、人形兵器達に追われているマクシムを見つけた。
~屋外~
「き、君達!この僕が誰だと思っている!?”紅い流星”マクシム・ルーガンにもしものことがあったら!カーレース界の、いや全人類の損失――――」
人形兵器達に追われていたマクシムは振り返って人形兵器達に指摘をしたが人形兵器達には意味がなく、人形兵器の一体がマクシム目掛けて銃撃を放った。
「うおおおおっ、話を聞きたまえっ!?」
対するマクシムは驚きながらも素早く側面へと体を向けて回避した。
「……意外と元気そうだな。」
「人形兵器を説得しようとするなんて、面白い人ですね。」
「いや、気にする所はそこじゃねぇだろ。」
「一般人が人形兵器の銃撃を避けるなんて、何気に凄い事ですよ。」
「腐ってもトップレーサー、いい反射神経してるぜ。」
マクシムの様子を見ていたヴァン達はそれぞれ冷や汗をかいて脱力をした後アーロンは呆れた表情で呟き、面白そうにマクシムを見つめて呟いたリタにマーティンが疲れた表情で指摘し、タリオンは目を丸くし、ヴァンは苦笑しながらマクシムを見つめた。
「はい、放っておいても包囲を突破できそうですね。」
「そうだね。まだまだ余裕はありそうだし、ここは先を急がせてもらった方がいいかもね。」
「そ、そんなことを言ってる場合じゃないですよ!」
「ええ――――行くわよ!」
ヴァンの言葉に同意したフェリとアンゼリカにアニエスは指摘し、アニエスの言葉に頷いたエレインは号令をかけてヴァン達と共に人形兵器達の所へと向かい、人形兵器達と対峙した。
「マクシム・ルーガン!」
「き、君達……!助けにきてくれたのかい!?」
ヴァンに声をかけられたマクシムは明るい表情を浮かべたが
「そのまま引きつけてこっちに来な!一気に叩くからよ!」
「まさかの囮扱い!?」
ヴァンの指示に表情を引き攣らせて声を上げた。
「冗談だ―――――って、左に一体漏れてんぞ!」
「全然、冗談に聞こえないんだが!?」
(ふう、相変わらずね……!)
(あはは……)
ヴァンとマクシムのやり取りに呆れた表情で溜息を吐いたエレインの言葉を聞いたアニエスは苦笑した。そしてマクシムはヴァン達の方へと人形兵器達を引き付けた後そのまま安全地帯であるホステス達の元へと走り去り
「ハッ、来やがったな―――――!」
「敵人形兵器多数―――――手分けして速やかに殲滅しましょう!」
人形兵器達と対峙したアーロンは不敵な笑みを浮かべ、クレアは号令をかけた後戦闘を開始した。そしてヴァン達は協力して人形兵器達を撃破した。
「ふう、言いたいことは山ほどあるが本当に助かったよ……君達。」
ヴァン達が戦闘を追えるとホステス達を連れたマクシムがヴァン達に声をかけた。
「立入禁止となっているこの施設に入ってしまった是非はともかく……とりあえず無事で何よりです。」
「!?って、暗くて気付かなかったけど……もしかしてエレイン・オークレール君!?」
エレインに声をかけられたマクシムはエレインの顔をよく見て驚きの表情を浮かべた後エレインに確認した。
「ええ、まあ……」
「何という運命の悪戯!まさか噂のヒロインと出会えるとはっ!知ってるかい、某芸能誌の結婚したいランキングで僕と君がそれぞれ男女で一位を――――――」
エレインである事を確認したマクシムは両手を広げて大げさに語りかけたが
「……ふう。……そんな場合ですか、ルーガンさん。」
「……ハイ、ソウデスネ。」
(サイテー……)
(さっき逃がしてくれた時は恰好よかったのに……)
溜息を吐いた後ジト目になったエレインの言葉を聞くと広げた両手を下げて申し訳なさそうな表情で同意し、その様子を見ていたホステス達は蔑みの視線でマクシムを見つめ
(フッ、もしこれがエレボニアだったら結婚したいランキングの1位はリィン君とクレア少佐になるだろうね♪)
(なった所で私もそうですがリィンさんにとっても迷惑なだけですし……そもそも、リィンさんはともかく、ヨルムンガンド戦役の件で悪名高くなった私が1位になるなんてありえませんよ。)
からかいの表情を浮かべたアンゼリカに小声で指摘されたクレアは困った表情で答え
(せっかく上がった評価も大暴落みたいです……)
(ま、まあ無事でよかったかと……)
マクシム達の様子を見ていたフェリとアニエスはそれぞれ苦笑していた。
「くっ……」
するとその時何かを感じたのかアーロンは何かに耐えるかのように片手で頭を抑えた。
「おい、本当に大丈夫か?何ならお前はレーサーたちと―――――」
アーロンの様子に気づいたヴァンがアーロンの身を心配して声をかけた。
「るせえ……大丈夫ってんだろ!さっきから漲りまくってんだからよ!それよりコイツらはここから外へ―――――」
ヴァンの言葉に対して反論したアーロンはマクシム達の避難について話そうとしたが何かに気づき、背後へと振り向き、ヴァン達もアーロンが睨んでいる場所へと視線を向けたその時
「へえ、なかなか鋭いじゃない♪気配は消したつもりなんだけどなぁ。」
ヴァン達が視線を向けている場所の物陰からメルキオルが現れた!
「!あの人は……!」
「クレイユ村で現れた……」
「ローガン達の追撃を振り切った”棘”のメルキオルか。」
「早速ヤバいのが現れやがったがな……まさか”紅き暴君”達に追われて無事だったとは思わなかったぜ。」
メルキオルの登場にフェリとアニエスは血相を変え、マーティンとヴァンは真剣な表情でメルキオルを見つめた。
「フフ、しつこいオジサンたちだったから振り切るのは大変だったけどねぇ。やっと撒けたからヴィオーラたちが仕切ってたこちらを覗きにきたのさ。ウフフ……面白い事になってるじゃない?」
ヴァンの指摘に答えたメルキオルはヴァン達に近づき
「……貴方達は下がって下さい。」
「あ、ああ……」
自分達に近づいてきたメルキオルを見たエレインはマクシムに警告し、エレインの警告に頷いたマクシムはホステス達と共にその場から走り去った。
「クレイユ村で現れた……アイーダさんの仇ッ……!」
「ああ、君もいたんだ?裏解決屋とやらに就職したのかい?うんうん、若いうちは色々経験して人生の彩りを増やすのは大切だ♪」
怒りの表情を浮かべて武器を構えたフェリに睨まれたメルキオルは目を丸くした後口元に笑みを浮かべて答えた。
「……っ!ふざけないで……!」
「なんだァ、このムカつく野郎は。」
「……アルマータの幹部の一人です。」
「ついでに言えばお前さんの義理の姉さんを襲った張本人だ。」
「何……っ!?」
メルキオルの言葉にフェリが怒りの声を上げている中眉を顰めたアーロンの疑問にアニエスとヴァンが答え、二人の答えを聞いたアーロンは血相を変えて厳しい表情でメルキオルを睨んだ。
「ウフフ……お初の人達もいるし改めて名乗ろうかな?アルマータの三幹部の一人、”棘”のメルキオルって薄幸の美青年さ。”剣の乙女”さんに”小覇王”君、そして”エースキラー”の皆さんも、どうかお見知りおきを♪」
「”三幹部”という事はアルマータの幹部は、倉庫の二人と目の前の彼を合わせて全員ということですか……!」
「いえ、メンフィル・クロスベル両帝国からの情報によると”アルマータ”は”とある裏組織”とも繋がっている、もしくは支配下に置いているとの事ですから、”棘”を含めた3人は”アルマータの表向きの幹部”という事にして他にもまだいる可能性は十分に考えられます。」
「”棘”……まさか。」
メルキオルの名乗りを聞いてある事を推測したタリオンにクレアが指摘し、ある事に気づいたエレインは厳しい表情を浮かべた。
「言ったように、今回は二人の仕切りを覗きにきて、ちょっとだけ手伝っただけだから見逃してもいいけど―――――前も暴君サンたちのせいで途中退場しちゃった上、昨日は”小覇王”君のお姉さんに”返り討ち”にされたから、欲求不満なんだよね……僕。それに舞台とかもそうだけどただ見てるだけなのはつまらないし♪」
「ハッ……気が合うじゃねえか。華劇は舞ってこそナンボだしなァ……!」
「アイーダさんの仇……この場で取らせてもらいますっ!」
「事情はよくわかりませんけど、魂が邪悪に染まっている貴方は、多くの人達の為にもここで討ち取った方がよさそうですね。」
メルキオルが戦闘態勢になるとヴァン達もそれぞれ戦闘態勢になり、メルキオルの言葉に対してアーロンは鼻を鳴らして不敵な笑みを浮かべて答え、フェリは怒りの表情で、リタは真剣な表情でメルキオルを睨んだ。
「うんうん、いい感じだ♪それじゃあ味見させてもらおうかな―――――!」
「来るわ―――――!」
「尋常じゃねえ相手だ、ここにいる全員で連携して撃退するぞっ!」
「はいっ……!」
そしてヴァン達はメルキオルとの戦闘を開始した!
「そぉれっ!」
戦闘が始まるとメルキオルはヴァン達の周囲に浮遊型の時限爆弾を3つ投擲し
「あれは……チッ、すぐに破壊しろ!時限式の爆弾だ!オオオォォォ……そらぁっ!!」
「なるほどね……フッ、そういえば”C”だった頃の君も似たような物を戦闘で使っていた……ねっ!」
「叩き潰す――――――マイト・ハンマー!!」
自分達の周囲に浮遊する物体の正体をすぐに悟ったクロウはクラフト―――――クリミナルエッジで一つを破壊し、クロウの助言を聞いて数年前のザクセン鉄鉱山で戦った”C”との戦闘を思い出したアンゼリカはすぐに納得した表情を浮かべてクラフト―――――ゼロ・インパクトで二つ目を破壊し、タリオンが跳躍からオーラを叩き下ろすクラフト―――――マイト・ハンマーを放って最後の一つを破壊した。
「オオオォォォ……喰らえっ!!」
「炎に――――――呑まれちまえっ!!」
「おっとぉっ!!」
メルキオルを挟み込むようにヴァンとアーロンは左右からそれぞれクラフト―――――スタンスラッシュ、魔王炎撃波を放ったがメルキオルは軽やかな動作で後方に跳躍して回避し
「シュッ!セイッ!」
回避の後突進からの切り上げの2連続攻撃でヴァンに反撃し、メルキオルの反撃をヴァンは撃剣で対処して防いだ。
「そこですっ!ヒートエッジ!!」
「喰らいな――――ストームエッジ!!」
「!」
そこにフェリとマーティンが同時に斬りかかってきたがメルキオルはすぐに気づいて回避し
「星の光よ―――――エトワールレイ!!」
「光よ――――――断ち切れっ!!」
「ザイファ駆動―――――カタラクトウェイブ!!」
「さすがにこれはちょっと不味いかな……っと!」
アニエスとエレイン、クレアが左右と正面からの同時直線攻撃による逃げ場のない攻撃を目にすると空へと跳躍して回避したが
「フフ、さすがに空では逃げようがないでしょう?」
「な―――――」
自身が乗っている槍をメルキオルの目の前まで飛ばしたリタが現れ、空中に現れたリタを目にしたメルキオルは驚いた。
「まさに必殺!剛震突き!!」
「!あぐっ!?」
そしてリタは神槍による強烈な突き刺しを放ち、リタの攻撃を防御態勢で防御しようとしたメルキオルだったが、リタが放った強烈な突き刺しはメルキオルの防御態勢を易々と貫いてメルキオルの横腹を貫くと共にメルキオルを勢いよく吹き飛ばし、リタが貫いた場所から出血と共に強烈な痛みを感じたメルキオルは思わず呻き声を上げ、更に勢いよく地面に叩きつけられた。
「でやぁっ!エリアルバスター!!」
「好機!エリアル――――――レイド!!」
「行くぜっ!鷹爪脚!!」
「それっ!――――――ライトニングキック!!」
メルキオルが地面に叩きつけられると追撃の為にヴァンとタリオン、アーロン、アンゼリカがそれぞれ跳躍からの強烈な一撃を放つクラフトでメルキオルに襲い掛かり
「!」
4人の追撃に気づいたメルキオルはすぐに起き上がると共に素早く前方へと跳躍して回避し
「燃え尽きろ!!」
「遅い!!」
「逃がしはしないぜっ!!」
「おっとっとぉっ!?」
フェリ、クロウ、マーティンがそれぞれ放った銃撃を怒涛に放つクラフト―――――ラピッドバースト、クイックバースト、マーダーバーストを連続跳躍で回避した。
「魂をも凍えさせてあげる――――――氷垢螺の絶対凍結!!」
「うああああああっ!?」
そこにリタが発動した広範囲に絶対零度の猛吹雪を発生させる魔術がメルキオルを襲い、逃げ場のない広範囲かつ全方位からによる攻撃はメルキオルも対処できず、ダメージを受けると共に全身の様々な場所が凍結した事で身体の動きが鈍くなった。
「ザイファ駆動―――――アイスハンマー!!」
「ハアアァァァ……!砕け散れ!!」
リタの魔術が終わるとアニエスのアーツによる降り注ぐ無数の氷とクレアのクラフトによる氷魂を撃ち抜いた時に降り注ぐ氷がメルキオルを襲ってメルキオルに更なるダメージを与えると共にメルキオルの足元を凍結させてメルキオルを動けなくさせた。
「いくわよ―――――!」
「!不味――――――」
足元を封じられたメルキオルを見て好機と判断したエレインはメルキオルとの距離を詰め、エレインに距離を詰められたメルキオルは足元が凍結した事で動けなくなった為焦りの表情を浮かべ
「ハァァァァァァ…………ッ!カレイドフェンサー!!」
「ぐあっ!?はは、流石やるねぇ!ボスに食い下がっただけはある!」
メルキオルとの距離を詰めたエレインは目にも見えない速さの連続突きを繰り出し、エレインが放ったクラフトで更なるダメージを受けて思わず呻き声を上げたメルキオルは口元に笑みを浮かべてエレインを賞賛した。
「っ、やっぱり……!―――ヴァン、貴方たちは先に行きなさい!相手をしながら何とか3人を逃がすわ!」
「でしたら、”棘”と残り二人の幹部達を合流させない為にも、私も残ってエレインさんを援護します。クロウさん達はヴァンさん達と共に先に行って下さい!」
メルキオルの言葉を聞いて何かに気づいて唇を噛みしめたエレインはヴァン達に先に行くように促した後メルキオルとの斬り合いを始め、クレアもエレインと共に残る事と先に向かうように告げた後後方からのエレインの援護を開始した。
「わかった!――――行くぞお前ら!」
「エレインさん、クレア少佐、どうかご無事で!」
「ッ……不本意ですがお任せします……!」
「ハッ――――借りは返すぜ!」
そしてメルキオルの相手をエレインとクレアに任せたヴァン達はエレイン達が戦っている間に先へと進んだ。
~屋内~
「エレインさんとクレア少佐、大丈夫でしょうか……」
屋内に入ったアニエスは二人がメルキオルと戦っている方向に視線を向けて二人の身を心配した。
「……大丈夫だ。A級と鉄血の子供達の肩書は伊達じゃねえ。」
「へッ、エレインは3年前の時点で化物揃いのメンフィルの使い手の中でも残虐な事で有名なあの”殲滅天使”ともやり合えたし、味方としては心強く敵としてはとんでもなく手強い事を知っている俺達からすれば、あの程度の奴にやられるような事はねぇよ、少佐は。」
「今は託します……あのお二方に。」
エレインを心配しているアニエスにヴァンとクロウが心配無用である事を告げ、フェリは二人の武運を祈った。するとその時屋内であるにも関わらず謎の霧が発生した。
「この霧は昨夜の……!」
「また……!」
「建物内にもか……」
謎の霧の発生にタリオンとフェリは真剣な表情で声を上げ、ヴァンは警戒の表情で呟いた。するとその時ゲネシスが反応し始めた。
「あ……」
ゲネシスの反応に気づいたアニエスは呆けた声を出してゲネシスが入っている小さなポーチに視線を向け
「……関係してやがるんだな、この霧と、その鞄の中身が。遊撃士もいねぇしいい加減教えろ、何がどうなってやがる……!?」
ゲネシスの反応と霧が関係している事を察したアーロンは真剣な表情でアニエスに説明を要求した。そしてヴァン達はアーロンにゲネシスについてわかっている事を説明した。
「―――――するとこの霧に屍鬼化した半グレどもも……連中が手に入れたっつうその装置の片割れの仕業って事か。」
「ああ、可能性は高いだろ。」
「……波止場の露店からアルマータに渡ったようですし。」
「死者達を操る事を含めた様々な不可思議な現象を起こす導力器とは、また不思議な装置ですね。」
「ぶっちゃけ、古代遺物と変わらねぇんじゃねぇのか?」
事情を知って真剣な表情で呟いたアーロンの推測にヴァンとアニエスは頷き、リタは興味ありげな表情で説明の際にアニエスの掌の上に出されたゲネシスを見つめ、クロウは疲れた表情で呟いた。
「だがパオ婆やオウラン爺の話だと……40年前にもこんな霧が……まさか元から……いや……」
一方アーロンは考え込んでいたが答えが出ず、考える事を止めた。
「なんにせよ答えはこの先だ。」
「あの二人の幹部達もきっとこの奥に……!」
「ああ――――――ゲネシスとやらも含んでまとめてケリをつけてやるぜ!」
そして探索を再開したヴァン達は時折襲い掛かってくる魔獣や人形兵器達を撃破しながら最奥に到着した―――――
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