ラーメン屋の親父の前職
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第二章
「親父さんのラーメンが美味い」
「そのことはか」
「事実だろ」
「ああ、それはな」
柳田も否定しなかった。
「本当にな」
「だったらな」
「それでよしか」
「俺達にとって親父さんは美味いラーメンを作ってくれる人だろ」
「別に悪い人じゃないな」
「接客も穏やかでな」
「店の人達も困っている感じしないな」
柳田は店の中の状況も話した。
「だったらな」
「それでいいだろ」
「そうだな」
この時はそれでよしとした、そして。
翌年吉四六でアルバイトをしていた大学生だった若者が入社した、そして柳田と斎藤が吉四六に行くと聞いて笑顔で自分もと言ってから話した。
「何しろ高校と専門学校出て博多の有名店でじっくり修行してましたんで」
「親父さんはか」
「そうなのか」
「真面目に。それで凄く繊細で優しくて」
彼の人柄のことも話した。
「いい人なんですよね」
「元ヤクザ屋さんって噂あったな」
「とんでもない、暴力は絶対に振るわなくて」
柳田に真面目な笑顔で話した。
「誰にも凄く優しくて食材の供養も欠かさない」
「そんな人か」
「はい、趣味はテレビゲームでして」
「何か外見と前々違うな」
「外見は外見ですから」
「中身は違うか」
「はい、そうした人です」
こう言うのだった。
「親父さんは」
「いい人か」
「凄く、本当にです」
「前はヤクザ屋さんじゃないか」
「違いますよ」
「成程な、噂は噂だな」
それに過ぎないとだ、柳田は笑って頷いた。そして斎藤それにその新入社員と一緒に吉四六に行くと。
「いらっしゃいませ」
「どうも」
親父に笑顔での挨拶を受けて応えた、その声にアウトローの色は何もなかった。ラーメンのそれだけがあり三人は美味いそれを楽しんだのだった。
ラーメン屋の親父の前職 完
2024・3・18
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