英雄伝説~黎の陽だまりと終焉を超えし英雄達~
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第17話
9月20日、6:30―――――
翌朝、ビクトル達に見送られたヴァン達はラングポートに向かっていた。
~高速道路~
「わぁ~、速いですね!」
「時速1200CE(セルジュ)……クレイユ村に行った時よりも速度が出ていますね。」
「ま、これなら昼前に着けるだろう。流石は高速道路、カルバードならではのインフラだぜ。」
「うーん、州とは思えない程カルバードは大きいですねぇ。」
「まあ、高速道路が整備されているのは三大都市や一部の都市間だけですけど………」
カルバードの広大さに感心しているフェリにアニエスが説明した。
「ああ、それ以外はこの前の国道と大して変わらねぇな。それでも他の国より整備されているのは確かだが。今のうちに聞いておくが、お前ら、ラングポートは初めてか?」
「はい、初めてです。」
「私は昔行ったことはありますが、本当に観光レベルで………とっても賑やかだった記憶があります。また家族と一緒に来られたらと思ってたんですけど………」
ヴァンの確認にフェリは頷き、アニエスは昔のことを思い返しながら答えた。
「――――――大雑把に説明するとラングポートは新市街と東方人街の二つに大きくわかれる。今回の依頼の性質上、東方人街の方に宿を取る。その方が動きやすいからな。」
「以前私が泊まったのは新市街のホテルですから、違う所になりますね。」
「ああ、どっちでもいいんだがその街ならではの足場の方がベターだ。ま、経費以外で新市街の高級ホテルに泊まれる余裕がないっつーのもあるが。とにかく宿を足掛かりに各街区を回りつつ”依頼”に対応する――――――今まで通りにな。」
「それで情報を集めるんですね!」
「そうだ。わかってきたじゃねえか。ただ………それとは別に――――――チョウの主家筋にあたるルウ家の当主が会って挨拶をしたいらしい。」
「昨日会ったあの人よりも偉い人ですか!?」
ラングポートに着いた時に会う予定の人物を知らされたフェリはチョウを思い浮かべた後驚きの表情で訊ねた。
「ああ、黒月の重鎮の一人だろ。そういうお偉いさんとは正直あまり関わりたくはねえんだが……ま、精々情報を引き出させてもらうか。そういう意味では、適度にボケた耄碌ジジイだと助かるぜ。」
「ヴァンさん、言い方………」
これから会う人物に対する言い方にアニエスは困った表情で指摘した。
「―――――話を戻すが今回の依頼は今日と明日の二日間だ。それ以降はチョウがクロスベルから戻ってくるから俺達の出番はなくなる。場合によっては延長もあり得るけどな。その時はアニエス――――――言ったようにお前には鉄道で旧首都に戻ってもらうぞ?」
「はい、学校もありますから。――――――ちなみに夜行列車を使えば、明日の深夜まで現地にいても大丈夫です!」
「そこまで調べたんですか……!」
ヴァンの念押しに対して答えた後のアニエスの話を聞いたフェリはアニエスの用意の良さに驚きの表情で声を上げた。
「はい、ですからもし長引いてもギリギリまで一緒に頑張りましょう!」
「はい、アニエスさん!」
二人の会話を聞いていたヴァンは苦笑を浮かべながら運転をしていた。
その後ある程度の距離を走るとヴァンは何かに気づいた。
「ん……?」
何か――――――渋滞に気づいたヴァンは前に止まっている車の後ろに車を止めた。
「あれ、何だか渋滞していますね?」
「ちょいと状況を聞いてくる。」
渋滞に首を傾げているアニエスに答えたヴァンは車を降りて前の車の運転手に状況を訊ねた後再び運転席に戻った。
「どうでしたか?」
「事故ってわけじゃねえが、資材用のトレーラーの荷が解けて散乱したらしい。それで3車線のうち2車線が塞がってたってわけだ。ったく、この前もトラブルがあったし幸先悪ぃな……」
「かなり時間がかかりそうですか?」
「いや、そこまでの規模じゃねえから、20分くらいってとこか。それまで少し眠らせてもらうぜ。」
「そういえば眠そうでしたね?」
アニエスは出発前のヴァンの眠そうな顔を思い出してヴァンに確認した。
「ああ……昨夜ちょいと小言を喰らってな。ふわぁぁ……何かあれば起こせ……………………………」
アニエスの疑問に答えたヴァンはシートをやや後ろに倒して眠り始めた。
「も、もう寝ちゃったんですか……?」
「さすがヴァンさん……どこでも寝られるのは優秀な戦士の証です。」
ヴァンの寝つきの早さにアニエスが驚いている中フェリは感心していた。
「でも……不思議な人ですよね。ドライで現実的かと思えば自分なりの筋は通して絶対に曲げない……突き放すような言い方をするのにいつもそれとなく助けてくれますし。」
「確かに……戦闘のプロにも匹敵するような経験と実力。にもかかわらず生粋の戦士である父や兄とは全然似ていません。それに”裏”にも”表”にも通じる顔の広さ――――――うーん、謎です。」
「ええ、知れば知るほど謎が多くなるのに、もっと知りたくなるような――――――」
(…………ハア…………)
フェリの言葉に頷いたアニエスは頬を赤らめてヴァンから視線を逸らし、アニエスのヴァンに向ける想いを知っているメイヴィスレインは溜息を吐いた。
「えへへ……わたしからするとアニエスさんも十分不思議ですっ。」
一方アニエスの様子に気づいていないフェリは無邪気な笑顔を浮かべてアニエスに指摘した。
「え……?」
「幾ら天使様のメイヴィスレインさんがいるとはいえ、民間人のはずなのに、危険な場所にもいつも迷いなく同行してくれますし。サポートも的確で、何より戦士とは違う形で真っ直ぐ理不尽なことに立ち向かうその姿が――――――いつもわたしを勇気づけてくれますっ!」
(……………………)
「た、ただ夢中なだけですよ。でも、少しでもフェリちゃんやヴァンさんの助けになれているならよかったです。あ――――――折角ですし一人暮らしで困ったら何でも言ってくださいね?何だったら勉強も見ちゃいますよ?こう見えても成績は悪くない方なので!」
フェリの指摘にメイヴィスレインが静かな笑みを浮かべて黙っている中アニエスは謙遜した様子で答えた後ある申し出をした。
「!だったら数学を教えてくださいっ!こっちの日曜学校の授業が難しくて――――――」
アニエスの申し出を聞いたフェリが明るい表情を浮かべてある事を教えてもらおうとしたその時二人が座っている後部座席のアニエス側の窓が軽くノックされ、ノックを聞いた二人が視線を向けるとサングラスをかけた金髪の男がドアの外にいた。
「ちょっといいかな、一体何があったんだい?」
「渋滞のことですか?」
窓を開けたアニエスの確認に金髪の男は軽く頷いた。
「えっと、前方のトレーラーに少しトラブルがあったそうで……そんなに大きなものでは無いそうなので20分もすれば通れるみたいですね。」
「20分か……うーん、微妙に暇だな。って、君達可愛いねぇ。旅行でも行くのかい?」
アニエスの話を聞いて考え込んだ男だったがアニエス達の容姿をよく見て感心した後二人に訊ねた。
「えっと………」
「旅行というより、出張です。」
「しゅ、出張?まあいい――――――フッ……実は僕も休暇でねぇ、暇なんだ。どうだい?」
アニエスが答えを濁している中答えたフェリの答えに戸惑った男だったがすぐに気を取り直してサングラスを外して二人にウインクをした。
「?」
「どう、とは……?」
「!?いやあり得ないだろう”紅い(レッド)流星”の顔を知らないのかい!?」
それぞれ不思議そうに首を傾げている二人の反応に驚いた男は信じられない表情で訊ねた。
「”紅い流星”……?名の知れた戦士でしょうか?どこかの団に所属しているなら聞いたことくらいあるはずですが……」
「あはは……多分違うと思います。詳しくはないですけど……確か”Z1レーサー”の方でしたか?」
フェリの推測に苦笑しながら指摘したアニエスは自身が知っている知識を思い出しながら男に確認した。
「ぜっとわん、ですか……?」
「……そ、そんな馬鹿な……いいかい君達!僕の名前はマクシム・ルーガン!導力車レースの最高峰たる”Z1グランプリ”で3年連続優勝を飾った奇跡の男だ!容姿も、財力も、何より天から与えられた才能も、全てを兼ね備えている――――――!”タイレル芸能”の結婚したい男性ランキングでは人気俳優を抑えての堂々1位!言わばカルバード両州で一番モテる男なんだ!」
アニエスの説明を聞いたフェリが首を傾げている中ショックを受けた男――――――マクシムは自己紹介をした後自分の経歴を自慢げに語った。
「はあ………」
「わぁ、凄いですねぇ。」
(くだらないですね。)
マクシムの自慢にアニエスが苦笑を浮かべている中、フェリは理解していない様子でマクシムに感心の言葉を送り、メイヴィスレインは呆れた表情で見守っていた。
「……ッ………!?こ、こうなったら論より証拠だ!こんな型落ちの車より僕の超高級車に乗って超絶ドライビングテクを――――――」
二人の芳しくない反応に再びショックを受けたマクシムはドアを叩いて二人にある提案をしたその時
「ふわあぁ……何やってんだアンタ?」
いつの間にか起きて車から降りていたヴァンがマクシムに近づいて声をかけた。
「……え?」
「ヴァンさん……!?」
「いつの間に……」
ヴァンの登場にマクシムが呆けている中アニエスとフェリはそれぞれ驚いていた。
「今をときめく大スターが小娘ども相手にナンパねぇ。メルドやバズレイダーあたりが飛びつくんじゃねえか?」
愛車をバカにされた恨みもあるのかヴァンは意味ありげな笑みを浮かべてマクシムに対する皮肉を指摘した。
「なになに、ケンカ?」
「あれ、あの人って……!」
「まさかあの……!?」
「くっ……」
するとその時ヴァン達の様子が気になった見物人達がヴァン達を注目し始め、それに気づいたマクシムは唇を噛みしめて自分の車に戻ろうとしたがヴァンがマクシムの肩を強く掴んで制止した。
「一つ、言っておくことがある。いいか――――――いくら有名人だろうが勝手に手を出させはしねぇぞ……」
「なっ……(この迫力は……)」
「ヴァンさん……
ヴァンの念押しにマクシムが驚いている中アニエスは自分達の為にマクシムに念押ししてくれている事である事に頬を赤らめたが
「―――――俺が中古車から再チェーンした最高の相棒であるインゲルトにはな!」
「そ、そっちですか……」
「?」
ヴァンがマクシムに”手出しする事を許さない”と念押ししたのは自分達ではなく愛車である事を知ると疲れた表情で肩を落とし、アニエスの様子をフェリは不思議そうな表情で見つめていた。
「ちなみに型落ちだが、掛けたミラと手間暇は多分アンタのエトワスより上だぜ?」
「わ、わかったから離してくれ!――――――というかなんで動けないんだ!?」
「おお……見事な制圧術ですねっ。」
ヴァンの念押しに答えたマクシムが自身が動けない事に戸惑っている中フェリは感心した様子で見守っていた。そしてヴァンが肩を離すとマクシムはヴァンから離れた。
「お、覚えてろ……!」
そして捨て台詞を吐いたマクシムは急いで自分の車に戻り、ヴァンも運転席に戻った。
「えっと……ちょっとやり過ぎなんじゃ?」
「ハン、愛車バカにされて黙ってたら男じゃねえだろ。お前らも不用意に窓を開けるな。強盗や車上荒らしだったらどうすんだ?」
アニエスの指摘に鼻を鳴らして答えたヴァンは二人に注意した。
「確かに……すみません。」
「えと、武装はしていませんでしたが……」
「それでもだ。……しかしディンゴから聞いてたが思った以上にチャラいヤツだったな。」
「……?あの人のこと詳しかったりするんですか?」
マクシムの事を知っている様子で話すヴァンが気になったフェリはヴァンに訊ねた。
「車に興味があるヤツなら誰でもな。あんなんでもドライビングテクは超一流だ。中身はすこぶる残念のようだが。」
「ということは、また一つロマンが崩れましたね。」
「まったくだ。」
「あ……前の車が動きました!やっと渋滞も終わりですね。」
「ああ、そんじゃ行くか。」
そして前の車が動き始めるとヴァンは運転を再開した。
「車が少なくなってきましたね。」
「時間を喰ったし、もうちょい飛ばすか。」
「ヴァンさん、後ろから車が高速で接近してきます……!」
ヴァンが車のスピードを上げようとしたその時フェリが報告するとマクシムが運転する真紅の車がヴァンが運転する車と並んだ。
「あの車って……」
「さっきの”ぜっとわん”の人……!」
ヴァンの車と並んだマクシムはヴァンに視線を向けて挑発の仕草をした後スピードを上げてヴァンの車より先に向かい
「チッ、挑発してやがるな……上等だ――――――お前ら、しっかり掴まってろ!」
「ええっ!?」
「了解です……!」
マクシムの挑発に舌打ちをした後応じたヴァンも車のスピードを上げてマクシムの車を抜いた。
「確かに大分弄ってるみたいだな……面白い――――――相手をしてやろう。光栄に思うといい!」
ヴァンに抜かれたマクシムは目を丸くした後不敵な笑みを浮かべてヴァンとのカーチェイスを開始した。勝負は一進一退だったがマクシムが僅かにリードをしていた。
「確かにいいマシンだ、テクも悪くない。ただ運だけは悪いようだ――――――何せ相手はこの”紅い流星(マクシム・ルーガン)”だからなっ!」
「……流石は本職、抜ける隙はねえか。だったら裏技を使わせてもらうぜ。こんくらいはハンデとは言わねえよな!?」
自分の勝利をマクシムが確信したその時ヴァンは何かの装置を作動させた後カーブのあたりで凄まじいスピードを上げてマクシムの車を抜いた。
「ターボチャージャー!?ワークスで開発されたばかりの!ハハッ、面白い!こうなったらとことん――――――」
ヴァンに抜かれたマクシムはヴァンが使った装置に驚きの声を上げた後不敵な笑みを浮かべてヴァンとのカーチェイスを続行しようとしたが進行先に二匹のキツネがいた。
「なっ!!?」
「っ!!」
二匹のキツネを目にした両者はそれぞれ驚いた後ハンドルを切ってそれぞれキツネを回避したがマクシムの車が何度か崖にぶつかり、停車した。
「………さっきの狐たちは?」
崖にぶつけた事で数ヵ所のへこみや傷がある愛車を目にしたマクシムは肩を落とした後自分の近くに車を停車させて近づいてきたヴァン達に訊ねた。
「えと……車道の外に逃げたみたいです。」
「魔獣以外にも、野生動物の事故は結構あるみたいですね……これに懲りて、もう二度と車道に入らなければいいんですけど……」
「そうか……」
フェリとアニエスの話を聞いたマクシムは静かな表情で頷いた。
「なんつーか、災難だったな。」
「フン……勝負は勝負、君とインゲルトの勝ちだ。」
「いや、あれは――――――」
マクシムに勝利を認められたヴァンは謙遜した様子で自分の勝利ではない事を答えかけたが
「コースアウトはそいつの責任、それがレースだ。駆動系に問題はないから行きたまえ、簡単な修理なら僕一人でもできる。」
マクシムは自身の敗北は自身の責任である事を伝えた後問題はないのでヴァン達に先に行くように促した。するとその時ヴァンがマクシムに近づいて自身の名刺を渡した。
「ま、何かあれば連絡しな。」
マクシムに一声かけたヴァンはアニエス達と共に車に乗り、ラングポートに向かって出発した。
「ちょっと気の毒でしたね……」
「はい……素直に負けを認めたのも意外でした。」
「ヤツもあくまでレーサーってことだろ。ま……少しくらいはこっちのロマンに応えてもらわねえとな。」
それぞれマクシムに同情しているアニエスとフェリに答えたヴァンはマクシムの考えを伝えた。
「差し引きゼロのペースだ――――――このままラングポートを目指すぞ。」
その後ヴァン達は予定通り昼頃にラングポートに到着した。
12:10――――――
~ラングポート・新市街~
「よし――――――着いたぞ。」
「ここれがラングポート……!」
「今回の道中も色々ありましたね。」
「途中でかなり飛ばしたからそこまでは遅れなかったけどな。まずは――――――」
ヴァンが今後の予定を二人に伝えようとしたその時車内に通信が来た。
「誰なんでしょう?」
「まさか………」
通信相手にフェリが首を傾げている中察しがついたヴァンは真剣な表情を浮かべると通信相手がヴァンへの通信を始めた。
「ヴァン・アークライド君だね?私はファン・ルウという者だ。チョウから聞いていると思うが、まずは会って話をしようか。」
そして通信相手――――――ファンの呼び出しに応えたヴァンはファンがいる九龍ホテルの傍に駐車した後、ホテルの従業員の案内によってファンがいる貴賓室に通され、ファンとの会談を始めた。
~新市街・九龍ホテル~
「ようこそ煌都へ――――――”アークライド解決事務所”の諸君。私がファン・ルウだ。」
ヴァン達と対峙したファンは両手を広げて自己紹介をし、ヴァン達の訪問を歓迎している事を伝えた。
「なるほど、貴方がチョウの主家筋で、”黒月”次期長老の一人ってわけですか。」
「フフ……一応”九龍銀行”の副頭取なども務めているがね。」
「”九龍銀行”……?」
「カルバード両州で二番目、大陸全土でもかなり上位の資産を誇る大銀行ですね。移民関係や外資系企業との連携も多く、政財界で大きな影響力を持っているとか。」
初めて聞く言葉に首を傾げているフェリにアニエスが説明した。
「へえ……」
「はは、そちらのお嬢さんはよく勉強しているようだね。」
「……恐縮です。」
「そんなお偉いさんがわざわざ俺達にお会いになりたがるとは。しかし到着した直後の呼び出し――――――こちらの行動は全て把握済みですか。」
「一応このラングポートは”黒月”の本拠地でもあるからね。予定していた客人の到着を知るくらいそう難しいことではないさ。ただ、組織が大きくなりすぎると逆に、なかなか自由に動けなくなるものでね。」
「ま、その辺のことは一応、チョウから聞いていますよ。」
「付け加えるなら、そうだな……”黒月も一枚岩ではない”、と言っておこうか。」
真剣な表情で答えたファンの忠告にヴァン達はそれぞれ表情を引き締めた。
「何か大きな分裂があるわけではない、それは誤解しないで欲しい。ただ、事が事だけに、今回の問題はかなりデリケートなんだ。多分君達が思っている以上にね。」
「だから自分達が動く事態になる前に、俺達に依頼した、と。」
「その通りだ。勿論チョウのお墨付きからこそだが、実際に会って、優秀そうで安心したよ。期待しているよ、アークライド君。」
「そりゃどうも。」
「さて、挨拶はこれくらいにして、依頼内容について話そう。」
「そうですね。――――――頼んでいた”噂”の方は?」
(”噂”……?)
(ああ……ひょっとしたら”4spg”かもしれません。)
(あ……!)
ヴァンがファンに頼んでいた”噂”について首を傾げているフェリにアニエスは自身の心当たりを答え、それを聞いたフェリは納得した表情を浮かべた。
「ちゃんと手を回して流したさ。東方人街と新市街の両方にね。随分と回りくどいがなかなか興味深いやり方だね。」
「ま、食いぶちを稼ぐ手段でもあるんで。」
「はは、今回の件が上手く行った暁には当然報酬を惜しむつもりはないけどね。こちらはチョウがクロスベルから戻ってくる明後日まで大きな動きに出るつもりはない。それまでは君達のやり方で自由にやってくれて構わない。ただしアルマータの動きがあったら優先的に連絡して欲しい。私から言えるのはこのくらいかな。」
「了解――――ただチョウが言ってた”人物”についてもう少し詳しい情報があると助かりますが。」
「ああ、それについては私より適任の者がいるのだが……」
「ごめん爸爸、遅くなったわ!」
ヴァンの要請にファンが答えかけたその時娘の声が聞こえた後黒髪の東方人の娘が部屋に入ってきた。
「客人を待たせるとは――――――と言いたい所だが、ちょうどいいタイミングだ。こちらが”アークライド解決事務所”の面々だ。」
「もう来てたんだ?ごめんね待たせちゃって。貴方がチョウが言ってた解決屋さんね。へ~、結構イケメンじゃない。わ、可愛い女の子が二人もいるんだ?初めまして、仲良くしようね~。」
ファンにヴァン達の事を紹介された娘はヴァン達に近づいて興味津々な様子でヴァン達を見回して声をかけた。
「は、はい、初めまして。」
「……どうも。」
「初めましてか。ルウ家のお嬢さんだな?」
「そうよ、あたしはアシェン・ルウ。あの問題児について知りたいのよね?なら幼馴染のあたしが教えてあげるわ。」
ヴァンの確認に頷いた娘――――――アシェンはヴァン達にウインクをした。
「そろそろ時間か――――――私は会合があるので詳しい話は娘から聞いてくれたまえ。この部屋はこのまま君達が使うといい。愛車共々不自由なく世話をさせてもらうよ。」
「ありがたいが丁重にお断りしますよ。東方人街に飯店に予約を取ってるんでこれからそっちへ移動します。」
「やはり面白いな君は……それが”裏解決屋”としての流儀か。勿論構わないさ、さっきも言ったように君達のやり方で自由にやってくれ。では、頼んだよ――――――”アークライド解決事務所”の諸君。」
自身の申し出を断った後に答えたヴァンの話に目を丸くしたファンは感心した様子でヴァンを見つめて依頼を頼んだ。
その後ホテルを後にしたヴァン達はアシェンを車に乗せて移動を始めた。
~車内~
「ふふ、まさか黒月の裏をかいて宿を予約しているなんてね。」
「さすがに四六時中監視付きじゃやりにくいからな。で、どちらに向かおうか、お嬢さん?」
「東方人街まですぐだけどどうせならちょっと遠回りしない?この車、なかなか乗り心地がいいし話がてらのドライブってことで。」
「別にいいぜ。じゃあ適当に飛ばすぞ。」
「……ヴァンさん。尾行する車があります。」
アシェンの提案にヴァンが頷いて運転を続けるとヴァン達の車の背後にリムジンが尾行し始め、尾行に気づいたフェリがヴァンに報告した。
「気にしないで、あたしの護衛よ。爸爸も過保護だからね。」
「ま、状況を考えれば仕方ねえだろ。」
「そうなのよ……ホント嫌になっちゃうわ、あの連中。お陰で”連中とは別の意味で黒月も下手に手が出せない面倒な人達”まで煌都で活動する事になっちゃったし……」
「”アルマータ”と”アルマータ”を捜査するクロスベル帝国とメンフィル帝国による”合同捜査隊”―――――”エースキラー”のこと、ですか。」
溜息を吐いて呟いたアシェンの話を聞いてアシェンの頭を悩ませている原因を察したアニエスはアシェンに確認した。
「うん………煌都は黒月の縄張りだけど、別に経済面で排他的にコントロールしているわけではないわ。旧首都系や中東系の資本も結構入っているしね。」
「カルバード両州第二の大都市だ、当然と言えば当然か。で、その隙を突く形で”アルマータ”が紛れ込んだってわけか。」
「―――――”メッセルダム商事”。奴等がそんな名前のダミーカンパニーで都市街に進出したのは先月のことだったわ。怪しげな連中がラングポート入りして気づいた時にはかなりが紛れ込んでいた。しかもやり方がイヤらしいというか巧妙というか……正規の構成員じゃない『半グレ』をカルバード両州各地で集めて動かしているのよ。”バイト”の名目で雇いながら仕事をさせずに煌都のあちこちで騒ぎを起こさせてね。東方人街の若者や店舗が狙われることが多いけど、新市街でも暴力沙汰を起こしているみたい。」
「そんなことが……」
「正規構成員が表に出ていない、か。メンバーを大事にするような連中でもねえし、妙に引っかかるな……」
アシェンの話を聞いたアニエスが不安そうな表情を浮かべている中ヴァンは真剣な表情で考えていた。
「多分、戦力温存のためでしょう。いずれ始まる本格的な抗争に備えて、ね。」
「それまでは捨て駒を使っての遊撃戦術みたいなものですか。確かにいやらしいです……」
アシェンの推測を聞いてアルマータの狙いを察したフェリは僅かに嫌そうな表情を浮かべた。
「でもま、所詮は北の成り上がりよね。それくらいで黒月が揺らぐわけないんだから泰然としてればいいんだけど……それを良しとしない跳ねっ返りがいてさ。」
「それがアシェンさんの幼馴染という……」
「ようやく例の若造の話か。」
「アーロン・ウェイ、煌都育ちの19歳。東方三大流派の一つ――――――『月華流』の剣術と拳法、更には魔術まで身につけていて、腕前は天下一品。荒くれの船員たちの集団を一人で叩きのめしたなんてエピソードもあるわ。」
「それは凄そうですね……!」
「しかも”魔術”まで身につけているなんて……確か、”魔術”は異世界の人達が使える魔法のような”術”ですよね?」
「ああ。ま、俺達ゼムリア側の人間もその気になって学べば習得できるが………そのアーロンとかいう若造が”魔術”を使えるって事は、そいつの知り合いに”魔術”の使い手でもいるのか?」
アシェンの話に出て来た”アーロン”という人物の事を知ったフェリは驚き、アニエスは”アーロン”が魔術まで扱える事に驚いた後ヴァンに確認し、確認されたヴァンは頷いて答えた後アシェンに訊ねた。
「ええ。―――――マルティーナ・ウェイ。アーロンが幼い頃、今は亡きアーロンの母親――――――ユエファ小母さんがある日拾ってきた身元不明の行き倒れの女性で、事情を知ったユエファ小母さんの好意によってそのままウェイ家の人間――――――アーロンの義姉になった異世界からの”迷い人”よ。」
「”迷い人”とは?」
「”迷い人”ってのは、ゼムリアと異世界(ディル=リフィーナ)を繋ぐ正規ルートであるリベール王国に駐留しているメンフィル帝国の大使館にある異世界とゼムリアを繋ぐ転位門を使わず、何らかの要因によって原因不明の”転位”に巻き込まれた連中の事だ。異世界からゼムリアもそうだが、極稀にゼムリア側から異世界に”転位”した人物もいるという例もあるらしい。」
「そんなことが………それで、その”迷い人”であるマルティーナさんという方がアーロンさんに魔術を?」
アシェンの口から出て来た初耳の言葉に首を傾げているフェリに説明したヴァンの話を聞いたアニエスは目を丸くした後アシェンに訊ねた。
「ええ。マティ姉さんは義理の弟になったアーロンもそうだけど、アーロンの幼馴染のあたしの事も本当の妹のように親しくしてくれてね。例えばアーロンと一緒に魔術を教えてくれるなんてこともしてくれたわ。」
「へぇ……まるでわたしとアイーダさんみたいな関係ですね。――――――という事はアシェンさんも魔術を使えるんですか……?」
アシェンの話を聞いて自分とアイーダの関係を思い浮かべたフェリは興味ありげな表情でアシェンに訊ねた。
「勿論使えるわ。偶然な事にもあたしとアーロンの魔術の適正属性は似ているらしくてね。あたしもそうだけどアーロンは火や風、雷系の魔術を習得しているわ。――――――話を戻すけどアーロンは”麒麟児”やら”羅州の小覇王”やらと大層な呼ばれ方もされてるみたい。破天荒だけど人情に篤くて、若いのから絶大な支持を集めるリーダー格って感じね。なんか老人や子供からも受けが良いし、とにかく東方人街ではかなりの人気者よ。」
「なるほど……確かにカリスマの持ち主みたいですね。」
「ま、調子に乗り過ぎる所がアレだけど……パパ達も評価してるし、黒月入りしたら実際頭角を現すんじゃない?とにかくそういう奴だから、東方人街の仲間が余所者にやられるのが我慢できないみたいで……つい先日、数名の仲間で数倍はいる半グレ集団を叩きのめしたのよ。」
「やっちまったか……で、”アルマータ”の反応は?」
「妙なことに、それ以来鳴りを潜めて報復どころか何の動きも無いみたい。ますます動向が掴めなくて黒月としても結構困惑しているのよね。逆にアーロンたちはさらに気勢を上げて、奴らを煌都から追い出そうとしてるんだけど……まあ、相手が正規構成員を出していない以上、このまま簡単には終わらないでしょうね。……ただあのバカ、どこで聞きつけたのか知らないけど”アルマータ”の捜査に来た”エースキラー”の人達にまで『余所者はすっこんでろ』とか言って、喧嘩を売ったらしいのよ。」
「ええっ!?エ、”エースキラー”の人達にまで……!?」
「聞いていた以上のとんだ跳ねっ返りだな……それで、”エースキラー”の連中はどんな対応をしたんだ?」
疲れた表情で片手で頭を抱えて答えたアシェンの話を聞いたアニエスは驚きの表情で声を上げ、ヴァンは呆れた表情で呟いた後表情を引き締めて続きを促した。
「偶然な事にも彼らの中に『月華流』と同じ東方三大流派の一つ――――――『泰斗流』の達人クラスの使い手がいてね。その使い手がアーロンの相手をした事でその戦いでアーロンも『格上』と認めた事に加えて、戦いの後もし彼らが”アルマータ”に攻勢をかける時には必ずアーロン達に”共闘”を持ちかける折衷案をしたらしくてね。その勝負の結果とその後の”エースキラー”の折衷案でアーロンも”手打ち”にしたらしくて、その出来事以降は彼らに接触していないとの事よ。」
「なるほど……でも、随分激しい方みたいですね。」
「腕が立つというのも気になります。」
「フフ、ちょうどいい時間ね、面白いものを見せてあげるわ。ドライブはこのくらいにして、そろそろ東方人街に向かいましょ。」
そしてアシェンの提案によって東方人街に向かったヴァン達は華劇場で女形をしているある人物の剣舞を観ていた。
~華劇場~
「うわあああっ……素晴らしい舞いでしたねっ!わたしも里のお祭りで踊ることがあるのでどれだけすごいかわかりますっ!
「本当に……特にあの踊り手さんは、纏っているオーラが別格な気がします。ところでアシェンさん、どうして私達をここへ?」
剣舞が終わった後フェリと共に拍手をして踊り手の凄さを感じたアニエスはある事を思い出し、不思議そうな表情でアシェンに視線を向けた。
「ハン……つまりはあいつってことか。」
「ふふ、気づいちゃった?」
するとその時ヴァンが踊り手の正体を口にし、それを聞いたアシェンは口元に笑みを浮かべてヴァンに訊ねた。
「まあな……仕草は完璧だが筋肉の動かし方が違うからな。」
「そう、あそこにいる役者こそ、あたしの幼馴染でもある問題児――――――アーロン・ウェイよ。」
「あの人、男性だったんですか!?」
「な、なるほど……女形という役者さんがいるとは聞いたことがありますけど……」
ヴァンの分析とアシェンの説明を聞いたフェリは驚きの表情で踊り手を見つめ、踊り手に関するある知識を知っていたアニエスは納得した様子で踊り手を見つめた。
「あの動きとキレ――――――”月華”の中伝ってところか。いや、奥伝あたりとも良い勝負するんじゃねえか?」
「そうなのよねぇ……せめて腕前がイマイチなら抑えようがあるんだけど……」
ヴァンの分析に頷いたアシェンは複雑そうな表情で踊り手を見つめた。
「ブラァアボオ!!東方美女もいいもんだねぇ!ぜひお近づきになりたいものだ!」
一方同じ頃マクシムは客席から拍手をしながら踊り手を賞賛していた。
(あっちの馬鹿はともかくアシェンといる連中は………ハッ、成程な。)
踊り手はマクシムに視線を向けた後アシェンやヴァン達に視線を向けると事情を察した。
その後ヴァン達は華劇場を出た。
~東方人街~
「幼馴染が心配か?」
「まあ付き合いは長いしね~。パパも彼の事を気に入ってるし、あたしの婿って選択肢もあるみたい。」
「わあっ……!」
「婚約者、ですか!?」
劇場を出た後若干心配そうな表情を浮かべたアシェンに声をかけたヴァンの確認に苦笑しながら答えたアシェンの話を聞いたフェリとアニエスはそれぞれ興味津々な表情を浮かべた。
「ううん、跡継ぎは弟がいるしあたしは好きにさせてもらうわ。――――――ま、付き合いが長い分、兄妹みたいなモンなのよねぇ。」
「あら?アシェンじゃない。」
アニエスの確認にアシェンが苦笑しながら答えたその時薄紫の髪を腰までなびかせている女性がヴァン達に近づいて声をかけた。
(わぁ……ッ!綺麗な人ですね……!)
(ええ………アシェンさんのお知り合いのようですが……気のせいかしら……?何だか雰囲気が少しだけメイヴィスレインと似ているような……)
(……?この気配は…………)
薄紫の髪の女性の端麗な容姿を目にしたフェリとアニエスが興味ありげな表情で女性を見つめている中、女性から感じるある気配を感じ取ったメイヴィスレインは眉を顰めた後真剣な表情で女性を見つめた。
「マティ姉さん、もしかして仕事の帰りかしら?」
「ええ、今日のシフトはお昼までだから、昼食を外ですませたからその帰りよ。ところでそちらの人達は………」
アシェンの質問に答えた女性はヴァン達に視線を向け
「ヴァン・アークライド。”アークライド解決事務所”の所長だ。あんたが、お嬢さんのさっきの話に出て来た例の若造――――――アーロンの義姉だな?」
「貴方達が………――――――初めまして、マルティーナ・ウェイよ。貴方達の事はアシェンやチョウから聞いているわ。ウチのやんちゃ坊主が起こした問題への対処の為に、わざわざ旧首都から来て下さってごめんなさいね?」
ヴァンに確認された女性――――――マルティーナは自身の名を名乗った後苦笑しながらヴァン達を見回した。
「あまり関わりたくない奴からの依頼とは言え、依頼を請ける事を決めたのは俺の意志だ。そっちが気にする必要はねぇぜ。」
「そう……貴方達が受けた依頼に関してあまり力になれないと思うけど、アーロンに関して協力できる事があればいつでも言ってね?――――――それじゃあ、私はこれで失礼するわね。アシェンもまたね。」
「ええ。それと何度も言っているけど、マティ姉さんも気を付けてね。姉さんの腕前は知っているけど、あの問題児が起こした件で、姉さんが連中の問題児に対する報復や人質の対象になっていてもおかしくないんだから。」
「フフ、いつも心配してくれてありがとう。せっかくの可愛い”妹”からの忠告だし、夜はなるべく出歩かないようにするわね。」
(…………”何故彼女程の者が人間達の生活に紛れ込んでいる”のかは知りませんが…………私達が彼女に関わる事はあまりなさそうですから、まあいいでしょう。)
アシェンの忠告に対して微笑みながら答えたマルティーナはその場から去って行き、マルティーナの”正体”に気づいていたメイヴィスレインは真剣な表情で去って行くマルティーナを見つめた後マルティーナの事は頭の片隅に追いやった。
「さっきの口ぶりからすると幼馴染の姉の事も心配なんだな?」
「アーロンのように付き合いが長い事もそうだけど、黒月の重鎮であるパパの娘のあたしに対して偏見や先入観を抱かず接してくれる貴重な人で、あたしにとっても大切な”姉”だもの。」
ヴァンの質問に対してアシェンは苦笑を浮かべて去って行くマルティーナの背中を見つめながら答えた。
「えっと……アシェンさんの口ぶりですと、もしかしてマルティーナさんもアーロンさんのように何らかの武術を修めているのですか?」
「ええ。何でも異世界にいた頃は異世界の宗教の”騎士”をしていたらしく、魔術に加えて剣術と槍術も修めていて、その腕前はアーロンでも及ばない程よ。」
「”異世界の宗教の騎士”ですか……先程の話に出たアーロンさんよりも実力が上という件も含めて気になる人ですね。」
「その割には遊撃士のような戦闘関連の職業には就いていない口ぶりだったよな?」
アニエスの質問に答えたアシェンの話を聞いたフェリは真剣な表情を浮かべ、ヴァンはある事をアシェンに確認した。
「マティ姉さんはアーロンと違って戦いは好まない性格で、今は九龍ホテルの従業員を務めているのよ。――――――伝えるべき情報はこのくらいかしら。後は――――――街を案内しましょうか?」
「いや、自分達で回るから大丈夫だ。」
「そう?じゃあ、あたしはそろそろ帰るわね。困ったことがあれば連絡してえちょうだい――――――アーロンのこと、お願いね。」
「面倒な依頼だが、やってみるさ。」
そしてアシェンは自分達を尾行していたリムジンに乗ってその場から去った。
「随分遠回りになったが、そろそろ飯店に行くぞ。と言ってもすぐそこだがな。」
その後、ヴァン達は車で予約していた『桂花飯店』に着き――――――遅めの昼食と少しの休憩を取った後、改めて『解決業務』を始めた。
「♪~~~おお若いの、こいつはお主の車じゃったな?」
解決業務を開始したヴァン達が飯店を出ると入り口付近を掃除している下働きの老人がヴァンに声をかけた。
「ああ、そうだぜ。」
「イイ車じゃが、このままではいかんのう。この煌都は潮風が強いからな。」
「どういう事ですか?」
「ああ……確か潮風は車体を錆びさせるとか?」
老人の忠告の意味がわからないフェリが不思議そうな表情を浮かべている中、ある知識を知っていたアニエスは老人に確認した。
「うむ、そこでじゃ。サビ除けのワックスをしてやるぞ?お題は1000ミラじゃ。」
「ハン、いい商売だな。そんじゃあ宜しく頼むぜ。」
そして老人に作業代を渡したヴァン達は4spgを開始した――――――
後書き
お気づきの人もいるかと思いますがアーロンは原作よりちょっとだけ強化されています。そして今回の話で新たなエウシュリーキャラが出て来ましたがわかる人はいますかね?そのキャラが登場するのは最近の作品ではありますが戦女神や幻燐みたいに有名な作品じゃない上、本編の追加の追加ストーリーでちょっとだけ出てくるキャラですから、マイナー度で言えばメサイアよりも下になるかもしれないキャラですし(冷や汗)
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