ハッピークローバー
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第百二十話 客家その七
「掌を返してね」
「罵ってくるのね」
「何の迷いもなくね」
「昨日まで好きとか言ってても」
「一瞬でね」
「そんな人達ね」
「はっきり言ってね、台湾のことを知らなくても」
その国の詳しい状況文化や自然環境まで含めてというのだ。
「別にね」
「好きって言えるってことね」
「だからヒャッポダとか言われても」
この毒蛇のこともというのだ。
「知らない人多いし客家と言われても」
「知らない人多いのね」
「台湾が多民族であることもね」
このこともというのだ。
「知らない人もね」
「いるのね」
「郭源治さんがそちらの出身ってこともね」
「あとね」
台湾の娘はこうも言った。
「ビビアン=スーさんだけれど」
「日本でも人気あったタレントさんね」
「あの人もそうなのよ」
「少数民族出身ね」
「山の方のね」
かつて高砂族と呼ばれていたというのだ。
「そうした人なのよ」
「そうなのね」
「けれど」
「そのこと知ってる日本人は」
「少ないわね」
「私も知らなかったわ」
富美子は自分から言った。
「本当にね」
「そうだったのね」
「それでってなるけれどね」
「少数民族って聞いても」
「私も大抵の日本人も。ただ」
「ただ?」
「今話したみたいな台湾好きな人は」
その実自分だけが好きな輩共はというのだ。
「何かあったらビビアン=スーさんのそのことをね」
「けなしてくるの」
「こうした人達って偏見が強いどころか」
それで済まずというのだ。
「偏見が服着て歩いている風だから」
「偏見の塊?」
「もっと酷いわね」
それこそというのだ。
「そうした人達って」
「そうなの」
「だからね」
そうした連中だからだというのだ、残念ながらこうした輩は何処にでもいて日本においても徘徊しているのだ。
「台湾が好きじゃないし差別についてもね」
「考えていないのね」
「人権を言っても」
そうしてもというのだ。
「そんなこと言う人達だから」
「人権もどうでもいいのね」
「若し台湾が日本と何かあったら」
その時はというと。
「台湾に核兵器落とせとかね」
「えっ、そう言うの」
「平気で言うわよ」
「私達を殺すっていうのね」
「軽くね」
何も考えずにというのだ。
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