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となりの悪魔注意報!

作者:雪原 奏
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第三話 告白~放課後、夜

 
前書き
授業中、ノートで筆談をしていた太一と舞華。
『本当のことが知りたければ、私の家へ来なさい』
…本当のこととは一体何なのか?!
 

 
放課後。

「行くぞ、海乃芽」
まわりに気付かれないような小さな声で俺は彼女を呼んだ。
そうすると、たたっとかけよってきた。
…この顔から授業中のドS顔なんて普通出てこないよ。

「…なぁ海乃芽」
「何?」
「率直に聞くけど、本当のことって何?」
そういうと彼女は、
「…みたら分かるわ」
うつむきそう言った。
そうこうしていると、やがてお屋敷が見えてきた。昔から誰が住んでいるのか気になっていた少し怪しい屋敷。懐かしいな、と思っていると海乃芽が、
「・・・あそこが私の家よ」
といい、その方向を指差した。
その先は・・・まさかの怪しいお屋敷。
怪しい、とはいえないので、
「家広くねぇか?」
と少しおどろいた反応をしてみる。すると、
「まぁ、ね。1人だし。親は海外にいるから」
と笑みを浮かべながら言った。
そんなこんなで、あのお屋敷に入るわけだが。

屋敷に着くと、彼女の部屋に通された。案外広くて、モノトーン調の部屋だった。
座るように促されてソファに腰掛ける。
「…今から見せたり言ったりすることは誰にも教えないでね?」
彼女は紅茶を淹れて隣に座りながら告げた。
「ああ、約束する」
と俺は返事をした。
すると、彼女は髪を色白な耳にかけ、それを見せてきた。
「これ…人とは違うでしょ?何でだと思う?」
「え…」
見せられた耳は、少し尖っていた。
わからない、と言うと彼女は、
「私が悪魔と人の混血だからよ」
と答えた。
悪魔との、混血…
驚きを隠せないでいると、
「嘘だと思うなら、ちょっと待ってて」
と言われた。
嘘だとは思ってないが、まあ待つことにした。
暫くすると、隣の部屋から彼女の声が聞こえた。
「我は魔の女王パルツァーが末裔シャーリア、今こそ悪魔の力を与えたまえ」
パルツァー…?シャーリア…??
海乃芽が、シャーリア…?
魔の女王、パルツァーの末裔…??
頭上には?しか浮かばない。
恐る恐る、そーっととなりの部屋の扉を開けた。
すると、一瞬の閃光が走った。
「海乃芽…?!」
何が起こったんだと思い部屋に入ろうとした。
「来ないで!!…いいって言うまで、見ないで…」
そういわれ大人しく目を瞑った。
少しするといいよ、と言われ目を開いた。
「これが、混血の証拠…」
「かい、のめ…?!」
俺の目の前にいたのは、赤く染まった髪を垂らし、赤っぽい紫の目を向けた彼女だった。右目の瞳には、マークがついている。
丸っぽかった目は少し切れ長になり、少ししか尖っていなかった耳は先程よりも尖っている。
「あたしの本当の名前はシャーリア・ル・リクロネクト…太古の魔界の女王、パルツァー・ル・リクロネクトの子孫よ」
「じゃ、お、お前…」
「魔界から来たの。魔界の王家では、この歳になると人間界に修業しに行かなければならない、というしきたりがあるの。私は一人っ子だから、第一王位継承者」
「王位、継承者…」
突然のことに驚きながらも、説明を聞いていた。
ということは、右目のマークは王家の紋章…?
「…って、何で俺だけに教えたんだ?」
それが第一の疑問。
何故、自分だけなのか。
すると、彼女は少し間をあけてこう答えた。
「…自分のパートナーとなる可能性が高い相手には明かすことにしているの。それが、如月…あなたよ」
「俺が、海乃芽のパートナー…って、ええええええ?!」
「初めて見たとき、この人に明かすべきだと思ったわ」
てことは…
俺はシャーリアをやさしく抱きしめ、
「こんな俺でよければ…パートナー、なるぜ」
と言った。
「…ありがとう」
彼女は照れながらも抱き締め返してくれた。
…かなり急展開だよな。
「じゃあ、これを」
そう言われ手渡されたのは、彼女の右目と同じマークのトップがついたペンダントだった。
「これを付けていれば、私の今の状態と同じ能力が得られるわ。ただし、今の私みたいに言わないとダメよ」
「じゃあ、俺の場合名前はどうすりゃいいんだ?」
「そうね…キラートはどう?」
「それで決定」
「じゃあ試しになってみる?」
私はもとに戻るから、と付け足され。
「おう、いくぞ」
正直どうやればいいかわからなかったけど、ペンダントのトップをぎゅっと握り締めた。
「我は魔の女王パルツァーが末裔の伴侶キラート、今こそ魔の力を与えたまえ」
そう唱えると、やはり閃光が走った。

閃光が途絶えると、姿が変わっていた。
「はい、これ」
舞華の姿に戻った彼女から手渡された鏡を見る。
紫の髪、金色の目。左目には、あの紋章が入っていた。
「この姿…」
「さすが私のパートナーだわ…左目に紋章があるのはパートナー確定の証なのよ」
証、か…。
すげーな。 
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