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X ーthe another storyー

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第五十二話 祝宴その二

「貴方の心もね」
「動きはじめましたね」
「これまでずっと止まっていたかも知れないけれど」
「これからは」
「前を向いて」
 そしてというのだ。
「進むことよ」
「そうですね、目も戻りますし」 
 昴流もそれならと微笑んで応えた。
「これからは」
「前を向いていってね」
「生きていきます」
「そうしたわいいわ、私もね」
 火煉は今度は自分のことを話した。
「もうすぐ教会に戻るけれど」
「そちらで、ですね」
「働くわ」 
 これまで通りというのだ。
「そうしていくわ」
「そうされますか」
「ええ、神父さんとも」
 彼とも、というのだ。
「一緒にね」
「働いていかれますか」
「そうしていくわ、もう自分の力も」
 火を使うそれもというのだ。
「便利な時には使うけれど」
「戦いにはですね」
「もうね」
 それこそというのだ。
「二度とね」
「使われないですね」
「そうするわ」 
 微笑んで言うのだった。
「これからは」
「それがいいですね」
「僕もです」
 征一狼も微笑んで話した、穏やかで優しいそれで。
「家族とです」
「これからもですね」
「仲よく平和に暮らしていきます」
 そうするとだ、護刃に答えた。
「これからは」
「そうですか、いいですね」
「あの時離婚しなくてよかったです」
 こうも言った。
「本当に」
「遊人さんに言われて」
「はい、そして」
 そのうえでというのだ。
「ずっとお家にいられて入院していた時も」
「ご家族がですね」
「毎日来てくれました」
「そうでしたね」
「よかったです、どれだけ嬉しかったか」 
 その穏やかで優しい微笑みで言うのだった、その目には常に妻と娘が映っていることは護刃が見てもわかった。
「本当に」
「そうなんですね、私もです」
「護刃さんは確か」
「草薙さんとお友達になって」
 顔を赤くさせて答えた。
「これからも」
「仲よくですね」
「やっていけたらいいなって」
 その赤い顔で言うのだった。
「思っています」
「そうなればいいですね」
「本当に」
「退院したら高野山来てくれるか?」
 空汰は嵐に申し出た。 
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