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夢幻水滸伝

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第三百二十九話 ダイナマイト王その五

「ほんまです」
「仰られていないですか」
「そのつもりですが」
「いえ、常に状況をご覧になられて」
 そうしていてとだ、社長は答えた。
「お話も聞かれて」
「そのうえで、ですか」
「言われているので」
「見事ですか」
「はい」
 そうだというのだ。
「まことに、それでです」
「おいらにですか」
「ミズーリ州の経済界、労働界のです」
「指導者にですか」
「経済界は経団連で」
 この組織のというのだ。
「州の経営者達が集まって組織している」
「おいらもその会議とか集会に呼ばれてる」
「こちらの会長が代替わりするので」
「その会長にですか」
「就任して欲しいです、そして」 
 社長はさらに話した、ここでスパゲティにチーズをふんだんにかけてそのうえでフォークで食べる。そのうえで言うのだった。
「今経済界と共にお話に出させてもらった」
「労働界ですか」
「組合のトップ、今は空席なので」
「そちらにもですか」
「お願いできますか」
 こう言うのだった。
「そちらも」
「そして経済をですか」
「オニール様は錬金術師で」
「本来は肉体労働する職業やないです」
 オニールもそれはと答えた。
「おいらは例外です」
「動く錬金術師ですね」
「あれこれ色々調合したり研究するより」
 多くの錬金術師がそうする様にというのだ。
「それよりもです」
「動かれますね」
「はい」
 まさにというのだ。
「そっちです」
「それで鉱山で働いておられたので」
「尚更ですね」
「そうです、経済界の会合に出られて発言されていますし」
 自分が願ってというのだ。
「そうなっていますが」
「これも成り行きですね」
 オニールはスパゲティを神妙な顔で食べつつ応えた。
「ほんま」
「確かにそうなりますね」
 社長も否定しなかった。
「世の中どう動くかわかりませんが」
「人生もですね、いやおいら別の世界から来てますけど」
 起きた世界のことも話した、今自分がいるこの世界が眠りに入った時に来る世界であることははっきりと認識しているのだ。
「この世界でもです」
「どう動くかわからないと」
「思ってます」
 現在進行形でとだ、オニールはスパゲティを食べながら答えた。
「ほんまに」
「そうなのですね」
「はい、それで」
 さらに言うのだった。
「その動きに合わせて」
「働かれますか」
「そうさせてもらいます」 
 こう答えたのだった。
「それで、です」
「経団連の会長とですね」
「組合のトップにもです」
「そちらは理事になりますが」
「そちらにもです」
「なって頂きますか」
「それで働かせてもらいます」
 強い声で約束した、こうして彼はミズーリ州の経済を経営者そして労働者の立場から動かしていくことになった。 
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