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魔法戦史リリカルなのはSAGA(サーガ)

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【プロローグ】新暦65年から94年までの出来事。
 【第7章】八神家が再び転居した年のあれこれ。
   【第6節】背景設定7: ノーヴェとその姉妹たちについて。



 さて、ナカジマ家の「戦闘機人」六姉妹の年齢順は、以下のとおりとなります。
(年齢はすべて、新暦75年段階での「戸籍上の登録年齢」です。)

 1.長女ギンガ(17歳) 2.次女チンク(16歳) 3.三女ディエチ(15歳)
 4.四女スバル(15歳) 5.五女ノーヴェ(13歳) 6.六女ウェンディ(13歳)

 この六人は明らかに、最初から(生身の女性の子宮の中ではなく)培養ポッドの中で育てられた「素体」です。
 また、公式の設定には「製造時期」(戦闘機人としての活動を開始した時点)の記載があるだけで、『その時点で「実際には」何歳相当だったのか』については何も設定がありません。
(なお、ギンガとスバルに関しては、「製造時期」すら正確には解りません。)

 例えば、オットーとディードとセッテは、公式の設定では「製造時期が新暦75年」ということになっていますが、この三人は、その75年の段階ですでに「スカリエッティのクローン(はい)」をその身に宿していたのですから、肉体的にはもう「子供を産める体」になっていたはずです。
 一方、肉体の「生身の部分」がまだ成長期にあるうちに機械化してしまうと、その成長に合わせて「機械の部分」を繰り返し交換してゆく必要が生じてしまうので、(そして、その作業は相当に面倒な代物なので)やはり、本格的な機械化は肉体の(骨格の?)成長が一段落してから、一気に行なった方が良いでしょう。
 普通に考えて、女子の場合、15歳ぐらいでしょうか。
(前にも述べたとおり、『ギンガとスバルは、あくまでも「別の研究施設で製作された実験体」であった』という設定です。)

 しかしながら、『オットーやディードやセッテの「最初の細胞」が受精卵のように分裂を開始したのが、新暦60年頃のことだった』とは(つまり、『全く文字どおりの意味で、新暦75年に15歳だった』とは)とても考えられません。
 やはり、『戦闘機人の素体は(通常のクローンと同様に)培養ポッドの中で成長を加速させることが可能である』と考えておくべきでしょう。

 そこで、この作品では、『ナンバーズは12人とも、培養ポッドの中で肉体の成長を何倍かに加速されており、遺伝子を調整された「最初の細胞」が分裂を開始してから、ほんの四~五年で肉体的には成長を完了した。その段階で機械化されたので、戦闘機人としては、その時点を「製造時期」と呼んでいる』という設定にしておきます。

 一方、ヴィヴィオは物語に登場した時点で、肉体的には6歳相当でしたが、おそらく、エリオたちに保護された時点で「初めて培養ポッドの外に出てから」まださほど時間が経ってはいません。
 そこから考えると……単なる体格や知識(データ)の量ではなく、より高度な「意識」や「精神」について言うのであれば……『彼女たちも、戦闘機人としての活動を開始した時点では、決して外見どおりの15歳ではなく、ヴィヴィオと同様に、まだ6歳相当だった』と考えるべきでしょう。
 だとすると、チンクは「製造時期」が新暦60年なので、『67年に騎士ゼストと戦った時点で、精神的にはもう13歳相当だった』という計算になります。
【その計算だと、チンクは新暦75年にはすでに21歳相当となっており、その意味では『なのはやはやてよりも年上だった』ということになってしまうのですが。(苦笑)】

 同じように考えると、ノーヴェとウェンディとディードは、75年の時点で、それぞれ12歳相当と10歳相当と6歳相当でした。『この精神年齢では、StrikerSの最終戦において、三人がかりでティアナ(16歳)一人に負けてしまったのも無理はない』と言って良いでしょう。
 以下、これを「実質年齢」と呼び、「戸籍年齢」とは区別して考えることにします。
 つまり、戸籍上の記載に関して、チンクは5歳ほど下に、ディエチは3歳ほど下に、ノーヴェは逆に1歳だけ上に、ウェンディは3歳ほど上に『年齢をごまかしている』という計算になります。


 また、新暦75年の段階で管理局が彼女たちに与えた刑罰は「拘留と厳重監視」であり、当初、「チンクは無期限、ディエチは15年、ノーヴェとウェンディは10年」という判決でした。
 しかし、その三年後には、〈マリンガーデン炎上事件〉などにおける「模範的な」働きが考慮された結果、四人とも減刑され、「(さかのぼ)って10年の(つまり、残り7年の)保護観察処分」に切り替わりました。
【マリンガーデン炎上事件については、「SSX」を御参照ください。また、聖王教会の方に引き取られた三人も、同じ頃に似たような理由で減刑された、という想定で行きます。】

 そこで、翌79年には、チンクは正式に管理局員になりました。特例措置で、まずはギンガと同じ「陸士108部隊に所属の捜査官」(下士官待遇)となります。
 そして、80年には、ギンガとチンクは「地上本部の所属」となり、ウェンディもまた、特例措置でティアナ執務官の補佐官になりました。
(執務官補佐も、やはり「下士官待遇」となるので、状況によっては、ウェンディも「法的には」ごく少数の陸士たちを指揮することが可能です。
 また、ウェンディはライディングボードのおかげで多少は空戦もできますが、公式の立場としては、彼女は「第一種・乙類」の補佐官となります。)
【なお、ギンガとチンクとウェンディは、『81年の〈エクリプス事件〉においても「脇の方で」それなりの活躍をした』という想定で行きます。】

 また、新暦81年の12月にはトーマ(当時15歳)が、83年の6月にはメグミ(当時13歳)が、ナカジマ家に加わりました。
 当初、トーマは精神的にかなり不安定でしたが、メグミが満身創痍(まんしんそうい)の状態で家に来てからは、急速に安定を取り戻していきます。
 その様子を見て、『もう自分たちが近くで見守っている必要は無い』と判断したのでしょうか。
 ギンガとチンクは83年の9月には二人で試験を受け、揃ってそれに合格し、84年の4月からは本局所属の「広域捜査官」(尉官待遇)になりました。

 これは、文字どおり捜査権しか与えられていない役職なので、悪く言えば「執務官の下位互換」でしかないのですが、それでも、実際に成ろうと思うとなかなかに難しい職種で、「空戦スキルの欠如などにより、『執務官は絶対に無理』と最初から解ってしまっている一般の陸士たち」にとっては、しばしば「将来の目標」とされる役職でもあります。
 また、広域捜査官は執務官とは逆に、原則として(特に新人のうちは)「単独行動」が許可されていない職種なので、これ以降、ギンガとチンクは仕事の上でも常に「二人一組」で行動するようになりました。
 ギンガとチンクは(普段は「出向」という名目で)今までどおりミッド地上本部に席を構えてはいますが、その職務は『ミッドと他の世界とにまたがる案件が発生すれば、それを担当し、実際にその世界へ赴いて捜査をする』というものなので、二人は以後、長期に(わた)ってミッドを留守にすることが多くなっていきます。


 そして、翌85年の5月下旬。
 ギンガとチンクは二人で、ウェンディはティアナやメルドゥナとともに、それぞれに仕事で別の世界に出かけて、ミッドを留守にしていた時のことなのですが……。
 ノーヴェは、ナカジマジム所属のIMCS現役選手や戦闘機人の姉妹らとともに「ナカジマジムを寿(ことぶき)退職したミカヤの結婚式」に出席した次の日、気晴らしに全員で首都圏・第六臨海地区の屋外型総合娯楽施設「プレジャーランド」を訪れていました。
(要するに、「巨大な遊園地」のようなものです。)
 ノーヴェは、もう16歳になったヴィヴィオとコロナとアンナには自由行動を認め、ファルガリムザ姉妹(13歳)の「引率(いんそつ)」もリグロマ(28歳)に任せて、その日は久しぶりに、ディエチやスバル、オットーやディードと、戦闘機人同士であれこれと将来の話などしていたのですが……そこで、何の犯行予告も無く、唐突に「無差別テロ事件」が発生します。

 スバルやオットーやディードの的確な初動によって、実行犯たちの身柄はじきに確保されましたが、ノーヴェは通りすがりの小児(こども)(かば)って瀕死の重傷を負いました。爆発で吹っ飛ばされた上に、「腕のような太さ」の鉄骨が背中から上腹部に抜けて右の肺が破れ、肋骨だけではなく脊椎までもが損傷してしまいます。
 それは、『生身の人間ならば、ほぼ確実に即死で、万が一、命だけは助かったとしても、下半身不随は(まぬが)れ得ない』というほどの重傷でした。さしもの戦闘機人にとっても、これはもう「基礎フレーム」の交換が必要なレベルです。
(やや大袈裟(おおげさ)に言えば、「StrikerSのTVアニメ第17話でスバルに倒された時のチンク」にも匹敵するようなヒドい状況です。)

 しかし、管理局の法律では本来、戦闘機人の開発や製作は、それ自体が重大な違法行為です。
 そのため、スカリエッティの研究所などからの押収品は、すべて〈本局〉の「保管庫」で当時のままに保存されていましたが、それらも直接に「研究の対象」とされることは一切なく、また、『戦闘機人の「基礎フレーム」を新たに製造する』などといった行為も、この10年間、管理局では全くなされていませんでした。
 しかも、ナンバーズの12人は、基礎フレームからして特別製です。
(良く言えば、「個々人の性能に合わせた精緻(せいち)な造りのフレーム」ですが、悪く言えば、「互換性の全く無いフレーム」です。)
 スカリエッティは当初、彼女らが「大破」した場合に備えて、12種類すべての基礎フレームを、一体ずつ造って保管していました。
 しかし、チンクのフレームは75年の段階ですでに使ってしまっているので、今も〈本局〉の保管庫にあるのは(亡きドゥーエの分も合わせて)残り11体です。
 本局の「保管部・重要保管物管理課」は、ミッド地上からの緊急要請に基づき、ノーヴェの専用フレームを大急ぎで現地の病院へと搬送しました。

 一方、瀕死のノーヴェは、ディエチから応急処置を受けた後、(エクリプス事件の終了後に、なのはやフェイトも入院していたことがある)例の「局員専用病院」へと(かつ)ぎ込まれました。
 ノーヴェ自身は、今も「嘱託魔導師」であって「正式な局員」ではありませんでしたが、彼女の体はもう次元移動に耐えられる状態ではなく、また、戦闘機人の体を正しく「治療」することのできる施設など、ミッドの首都圏ではこの病院の他には無かったからです。
 ディエチの応急処置が実に的確だったことも手伝って、ノーヴェはかろうじて命を取り留めましたが、基礎フレームを交換された後も、丸一か月ほどは「生体ポッド」の特殊溶液の中に浮かんだまま外には出られない、という状況になりました。
(管理局の技術者たちはみな、このような事例には不慣れだったため、やはり、往年のスカリエッティほど手際(てぎわ)の良い「治療」はできなかったようです。)

 6月の末には、ノーヴェもようやくポッドの外に出て、病院内でリハビリを始めましたが、新調された「機械の部分」が従来どおりの「生身の部分」と(ほど)よく()()むまでには、まだしばらくは時間がかかります。
 そのため、ノーヴェは7~8月のIMCS地区予選には顔を出すことすらできず、ヴィヴィオたち五人のセコンド役も、リグロマたちに任せざるを得ませんでした。

 この年、アンナ(16歳)は5回目の出場で、ついに「都市本戦・上位入賞(5位)」を果たしました。ファルガリムザ姉妹(13歳)も、2年目にしては悪くない成績です。
 一方、ヴィヴィオとコロナは最初から『今年で最後にする』と決めていたのですが、結果としては、久々に地区予選で敗退してしまいました。
 もちろん、決して『ノーヴェの不在が理由で、そういう結果になった』という訳では無かったのですが、ヴィヴィオとコロナの「少々不本意な最終成績」に、ノーヴェはいささか責任を感じてしまったようです。


 一方、同85年の4月に、メグミ(15歳)が高等科に進学した頃には、トーマ(19歳)も自分の中で「81年当時の一連の出来事」に関して(特に、リリィの死に関して)ようやく(ひと)区切りをつけることができたようで、遅ればせながら真面目に職を探し始めていました。
 そして、同年の10月には、最寄(もよ)りの陸士隊に採用されました。今はまだ魔法が全く使えない状態なので、職種はデスクワーク専門の事務員でしたが、それでも、定職と定収入があるのは良いことです。

 また、その月の半ば、ノーヴェは三か月あまりのリハビリを終えて退院すると、そんなトーマとメグミの状況を見て安心した後、(まるで「ヴィヴィオとコロナの選手引退」と足並みを揃えるかのように)リグロマたちに後を任せて、ナカジマジムの会長を「勤続5年半」で引退しました。
 さらに、同月の下旬になって、「局による10年間の保護観察処分」が終わると、『これでもう、私が何をしても、保護責任者である父さんに「直接の」迷惑はかからなくなった』とでも思ったのか、ノーヴェは「自分自身を見つめ直すために」ふらりと長旅に出かけてしまったのでした。

 そして、翌86年の11月、ノーヴェは丸一年あまりの長旅を終えて、ナカジマ家に戻って来ました。
『来年には、トーマとメグミが結婚するので、それに合わせて、ギンガとチンクは地上本部の近くに部屋を借り、二人でそちらへ引っ越す予定である』と聞かされると、ノーヴェは(八神提督と何やら「内密に」連絡を取り合った後)当分の間、ディエチとともにナカジマ家でそのまま「普通の生活」を送ることにします。

 こうして、ノーヴェとディエチは(嘱託魔導師なので、時には局から「緊急招集」をかけられることもありましたが)それから何年もの間、トーマとメグミの「良き姉」として平凡に、実に平凡に暮らしたのでした。
(ノーヴェが丸一年余の間、具体的に『どの世界で何をしていたのか』に関しては、また第二部でやります。)


 
 

 
後書き
 年末年始も休み無く行きますので、よろしくお願いします。 
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