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イベリス

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第百二十九話 すっきりしてその七

「モコって家族に何かあったら」
「心配するでしょ」
「ええ」
 その通りだと答えた。
「傍に来たりね」
「お散歩の時もでしょ」
「よく振り向くけれど」
「昨日ずっと咲ちゃん見てたのよ」
「そうだったの」
「それでね」
 そのうえでというのだ。
「心配そうだったの」
「飲んでる時も」
「そうだったのよ」
「気付かなかったわ」
「あの時は仕方ないわよ」
 愛はそれはいいとした。
「だって失恋してて」
「忘れることに必死で」
「私とお話もしてたし」
 このこともあってというのだ。
「どうしてもね」
「モコが私を見てたの」
「昨日の夜お家に帰ってからね」
「そうだったの」
「お姉ちゃんのことが心配だったのよ」
 咲がいつもモコを自分の妹だと言っていることからこう言った。
「落ち込んでいるから」
「そうだったのね」
「そう、けれどね」
 それがというのだ。
「今は違うでしょ」
「私が大丈夫になったから」
「もう安心出来るって思ってね」
「普段通りなのね」
「モコちゃんは寄り添う時は」
 家族にというのだ。
「やっぱりね」
「何かある時ね」
「だからね」 
 それでというのだ。
「今の咲ちゃんは忘れて大切なことを学んで」
「大丈夫なのね」
「そうなったから」
「モコも安心してるのね」
「そうよ、それでこうしてお散歩することも」
「いいことね」
「身体にもね」
 こちらにもというのだ。
「いいから」
「運動だから」
「咲ちゃん基本スポーツしないでしょ」
「苦手だしね」
 咲も否定しなかった。
「だからね、けれど歩くのは嫌いじゃないわ」
「だったら歩いたらいいのよ」
 スポーツは苦手だが歩くことは嫌いでないならというのだ、事実咲は歩くことについて嫌だと思ったことはない。
「どんどんね」
「それも運動ね」
「それで身体動かしたら」
 そうすればというのだ。
「その分ね」
「身体にいいのね」
「そして心にもね」
「いいのね」
「健全な精神は健全な肉体に宿る」
 愛はここでこの言葉を出した。
「かし、ね」
「宿るかし、宿って欲しいね」
「身体は立派で鍛えていても」
 そして『健全な肉体』になってもというのだ。 
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