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イベリス

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第百二十六話 言葉を受けてもその九

「告白します」
「それだけの時間があるからだね」
「はい、そうします」 
 言いつつだ、咲は自分の財布に入れている今月のアルバイトのスケジュールをチェックした。その日はどうかと見る為にそうした。
 そしてチェックしてだ、咲はマスターに笑顔で言った。
「私大抵金曜日アルバイトなんですが」
「行きたい日は違うのかい」
「はい、これが」
「じゃあ余計にいいな、それじゃあな」
 マスターは咲の言葉を聞いて彼女に自分も笑顔になって言葉を返した。
「学校終わってこっちに来たらな」
「その足で、ですね」
「ベルトはもう買ってるんだよな」
 次にこのことを確認した。
「嬢ちゃんは」
「はい、もう」
「だったらな」
「それならですね」
「後はこれだって決めたお店でな」
 そうした店でというのだ。
「ハンバーガーとお握り買ってな」
「ヒヤシンスもですね」
「買ってな」
 そうしてというのだ。
「交番に行きな」
「そうします」
「いいか?もう告白の時は度胸決めてな」
「マスターは腕を組み真剣な顔になって話した。
「どうなってもいい」
「そんな気持ちで、ですか」
「一気に相手に来て下さいって言ってだよ」
 自分から言ってというのだ。
「それでな」
「二人になったら」
「向かい合ったら度胸持ったままな」
「告白ですね」
「余計なことは考えないことだ」
 強い確かな声でのアドバイスだった。
「もう当たって砕けろの気持ちで言うんだよ」
「言う言葉は」
「嬢ちゃん今どんな言葉思い出した」
 咲を見据えて彼女に問うた。
「一体」
「好きです、交際して下さい」
 咲は実際に今連想した言葉をありのまま言った。
「この言葉dえす」
「じゃあその言葉をな」
「あの人に言うんですね」
「ああ。余計なことは考えないで立ち止まらないでな」
 そうしてというのだ。
「言うんだよ」
「その言葉を」
「ああ、そしてな」
 そのうえでというのだ。
「やればいいさ、断られたらとかな」
「考えないことですね」
「もうぶつかるもんだからな」
「告白は」
「そうしたものだからな」
 それでというのだ。
「余計なことはだよ」
「考えないで」
「それでな」
 そのうえでというのだ。
「やっていけばな」
「いいですね」
「ああ、そうしていけよ」
「そうします、怖がることはですか」
「ないんだよ、そりゃ確かに断られたらって思うと怖いさ」
 告白の際のそれはとだ、マスターは咲に話した。
「どうしてもな」
「そのことは否定出来ないですね」
「ああ、けれどな」
 それでもというのだ。
「勇気を出してな」
「それで、ですね」
「やるしかないだろ、告白して交際したいだろ」
「はい」
 咲の返事は切実なものだった、そこには何よりも強い願望があった。 
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