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超地球救済戦記!断罪王Ω〈オメガ〉~戦争もやめねぇ!環境破壊もやめねぇ!バカで愚かな人類は身長170センチ以下の無職童貞ニートの俺が全員滅亡させる‼~

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第四百二十一話 戦いの先に待っていたもの その5

第四百二十一話 戦いの先に待っていたもの その5
無色主義。
それは何色にも染まらない自由な主義。
そして、この国に『無色主義』による革命を起こすために結成された組織『紅軍連合』。
この物語はカオスと化した敗戦国、新日本に革命を起こすために戦う、若者たちの青春群像劇である。

五つの部隊に別れ、そのうち二つの部隊を失った紅軍連合。
失われた部隊のメンバーの中には紅軍連合のリーダーもいた。
リーダーと数多くの仲間を失い、ほぼ壊滅状態の紅軍連合。
能沢エーイチロウが率いる部隊もジエータイの地上部隊の襲撃を受ける。
しかし、あらゆる戦場を経験してきたエーイチロウは、その経験を活かし的確な指示を部隊のメンバー達に出すことで、地上部隊の撃退に成功する。
自分の部隊が射殺したジエータイ員から、銃と銃弾を奪ったエーイチロウ達は、次の襲撃に備え、周囲の警戒を続ける。
その一方でエーイチロウ達に数多くの仲間を射殺されたジエータイ員達は、エーイチロウ達を殺さずに捕まえることを諦める。
そう、人並外れた戦闘センスを持つエーイチロウがジエータイ員達には、人の形をした怪物に見えてしまっているのだ。
周囲の警戒を続けるエーイチロウ達。
上空には、いつの間にかヘリコプターが8機、飛んでいる、増援が来たのだ。
それに対して、エーイチロウ達は7人。
ヘリコプターから降下してくるジエータイ員に銃撃を集中させれば、地上部隊に隙を見せることになる。
そして、遠くから地上部隊の増援と思しき、足音が聞こえてくる。
まさに、多勢に無勢。
先程、ジエータイ員の死体から奪った銃と銃弾があるものの、地上と空、両方から同時に襲撃を受ければ、エーイチロウ達に勝ち目はない。
エーイチロウが部隊のメンバーである加藤モトヒロに告げる。
「おい、加藤、お前は、まだミセーネンだ、お前はこのまま、ジエータイに投降しろ」
「い、いきなり、何言ってるんですか?」
「俺たちはどうせ、ケーサツに捕まったら死刑になる、でもお前は違う。だから俺たちは、ここでこのまま死ぬまで戦い続ける、加藤、これは命令だ、お前はジエータイに投降しろ」
「そ、そんなことできるわけありませんよ!俺も最後までみんなと一緒に戦います!紅軍連合がこの社会で唯一の俺の居場所なんです!俺の夢なんです‼」
「加藤、お前にはまだ未来とチャンスがある、もし、お前にその意思があるのなら、俺たちの遺志を継いでくれ、コレは命令だ、お前は生き残って俺たちにできなかった革命を成し遂げてくれ」
エーイチロウの真意を理解した加藤モトヒロは両手を挙げて地上部隊がいる方向に向かって歩いていく。
地上部隊と合流した加藤モトヒロは、そのままジエータイ員達に取り押さえられ、逮捕された。
そして、次の瞬間、上空の8機のヘリから一斉に大勢のジエータイ員達が降下してくる。
それと同時に、大勢の地上部隊がエーイチロウ達を囲む。
そう、エーイチロウが加藤モトヒロと口論をしている隙に、地上部隊に接近されていたのだ。
6人しかいないエーイチロウの部隊と、大勢のジエータイ員達との銃撃戦が始まる。
ジエータイは、銃での抵抗をやめないエーイチロウ達を生かした状態で逮捕することを諦め、銃で対抗する。
結果、エーイチロウ達6人は、死亡した。
エーイチロウ達は自分達が一番、嫌っていた数の暴力に敗北したのだ。
両手に手錠をかけられた加藤モトヒロは、その光景を見て叫ぶことしかできなかった。
「ゔああああああああああああああああああああああッ‼」
この日、エーイチロウたちの他にもう一つの部隊が、ケーサツに逮捕された。
しかし、2週間後、ケーサツとジエータイは最後に残った部隊を発見することが出来ないまま、ヴァサマ山から撤退した。
つまり、五つに分かれた部隊の内、一つの部隊はまだ、逃走を続けているということだ。
その後、紅軍連合の逮捕が、新聞やニュースを通して世間に発表された。
特に『潮日新聞』は、逮捕の記事と同時に紅軍連合の実態について、事細かく記載し、その残酷な内容は、世間に大きな衝撃を与えた。
『潮日新聞』のその記事を書いたのは、尻澤エリコだった。
こうして紅軍連合は壊滅した。
それから数年後、逮捕された紅軍連合メンバーの死刑が決定した。
その中には、ケーサツにナガヌォベースの位置情報を密告した裏切り者、石川ユニも含まれていた。
ケームショを出所した加藤モトヒロはその新聞記事を読み終えると、新聞紙を両手でくしゃくしゃにして、自室のゴミ箱に向かって投げた。
加藤の自宅アパートに来客を知らせるインターホンの音が鳴り響く。
ドアを開けると、そこには数年前の最終決戦で唯一逃走に成功した部隊、紅軍連合の生き残り達が立っていた。
しかし、それから数分後、出所した加藤モトヒロを見張っていたケーサツ達が、加藤のアパートを訪れる。
そう、ケーサツは出所した加藤に、逃走中の紅軍連合の生き残りが接触してくることをあらかじめ予想していたのだ。
紅軍連合の生き残り達は逮捕されたが、加藤モトヒロは逃走に成功する。
こうして、紅軍連合の復活は阻止された。
念願だった紅軍連合再始動の夢を潰され、自暴自棄になった加藤モトヒロはトラックと刃物で大勢の死亡者を出し、そのまま逃走した。
その事件は後に『加藤無双』と呼ばれた。
夢を失うと同時に社会に居場所も失い、路地裏をさまよう加藤モトヒロ。
自暴自棄になった加藤モトヒロが一人、呟く。
「すいません...エーイチロウさん...俺にはやっぱりみんなの遺志を継ぐのは無理だったみたいです...」
しかし、加藤モトヒロは紅軍連合の生き残りたちが話していた『ある噂』を思い出す。
その噂に一縷の望みをかけて、加藤は今、とあるアパートのドアの前に立っている。
表札には『姫先』と書かれている。
そう、姫先ユイナは加藤モトヒロと同じく、紅軍連合の唯一の生き残りである。
その存在と居場所を、数日前に逮捕された紅軍連合の生き残りから事前に聞かされていた加藤モトヒロ、しかし、姫先ユイナに戦う意思が残っているかどうかはまだ、確認できていないらしい。
加藤モトヒロは、恐るおそるインターホンを押す。
そう、ユイナに戦う意思が残っていなければ、ケーサツに通報される危険性があるからだ。ドアを開けて出てきたユイナに、共に戦ってほしいと頼む加藤モトヒロ。
ユイナに部屋に招かれた、加藤モトヒロの目の前には大量の自作爆弾が積まれていた。
泣きそうな顔の加藤モトヒロに姫先ユイナが笑顔で告げる。
「始めましょう!私達の革命活動を‼」
ユイナの部屋には、数年前にカラーレスのみんなで撮った集合写真が飾られていた。
写真に写った若者たちは、皆、笑っていた。

※この物語はフィクションです、実在する人物及び団体には一切関係ありません。
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