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ハイスクールD×D イッセーと小猫のグルメサバイバル

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第117話 死闘サラマンダースフィンクス!小猫よ、四天王を使いこなせ!

side:リアス


「うおぉぉぉぉぉっ!」


 イッセーの放ったナイフをかわしたサラマンダースフィンクスはその大きな前足でイッセーを潰そうとした。


 イッセーはそれを受け止めるが地面が陥没するほどの衝撃を受けて動けなくなる。するとサラマンダースフィンクスの尻尾の蛇が動き出してイッセーに襲い掛かったの。


「なにッ!?」
「ボイスミサイル!」


 そこにゼブラさんの放った音のミサイルがサラマンダースフィンクスの顔面に直撃してその巨体を仰け反らせた。


「15連釘パンチ!」

 
 その隙に前足から逃れたイッセーはサラマンダースフィンクスの腹部に釘パンチを打ち込んだ。奴の体が宙に浮くほどの衝撃が走ったけど猛獣はケロッとしている。


「はぁ……はぁ……こうも効かないのを見せつけられると結構ショックだな」


 自身の必殺技である釘パンチを喰らっても大したダメージを与えられない様子にイッセーも流石にショックを受けているみたいね。


 私の滅びの魔力ならもしかしたら効くかもしれないけどまず当てれないし最悪メロウコーラを消滅させたら意味が無いのよね。


 何せメロウコーラはサラマンダースフィンクスの体内で熟成されているって話じゃない、血がそうなのかしら?


「喰らえ!フライング・フォーク!」


 イッセーはサラマンダースフィンクスの顔面に目掛けてフォークを飛ばしたけど奴の頑丈な歯に簡単に止められてしまった。サラマンダースフィンクスはイッセーのフォークを不味そうに吐き出したわ。


「なんか既視感があるな……」


 イッセーはその光景を見て顔をしかめていた。以前ヘビーホールでイッセーが戦ったアーサーとの戦いのときもイッセーはアーサーの剣を歯で噛んで止めたって話を聞いたわ、それを思い出したのかしら?


「マシンガンボイス!」


 そこにゼブラさんが音の弾丸をまるでマシンガンのように連射してサラマンダースフィンクスの顔面に浴びせた。でも煙が晴れると奴は鬱陶しそうに顔を振っていてダメージは無さそうだったわ。


「レッグナイフ!」


 動きの止まっていたサラマンダースフィンクスに目掛けてイッセーは巨大な斬撃を足から放った。しかしその一撃は奴に簡単に避けられてしまう。


「チッ、威力はあってもスピードが無いと奴を捕えられないか!」
「はっ!ノロマな奴だ!やはり攻撃は音速に限る……!」


 悔しそうにするイッセーを煽るゼブラさん、彼は空気を吸い込んで攻撃の準備に入った。


「一刀!ボイスカッター!!」


 口から放たれたのは先程サラマンダースフィンクスに喰らわせたボイスカッターだったわ、でもその一撃は先程と違い一転に集中されていてまるで声の太刀のような鋭さだった。


 その一撃は見事サラマンダースフィンクスの体に直撃して切れ込みを入れて鮮血をまき散らす、ゼブラさんは笑みを浮かべてその血に向かってジャンプした。


「体内で熟成されているって言うなら血がコーラか!?」


 ゼブラさんは勢いよく血を吸いこんだが直ぐに吐き出した。


「ぶえーッ!?クソ不味いじゃねえか!」
「ゼブラ兄、上だ!」


 むせていたゼブラさんにサラマンダースフィンクスが巨大な舌を上から叩きつけて彼を吹き飛ばした。


「ガハッ!?」


 そして追撃にサラマンダースフィンクスが前足を振って斬撃をゼブラさんに向かって飛ばした。


「フォークシールド!」


 でもその斬撃はイッセーがガードしたわ、でも斬撃の威力が大きすぎて完全には防げずにイッセーの体に切り傷が走った。


「くそっ、防ぎきれなかった……!」
「ぐぅ……!口の中がまだくせぇ……おいイッセー!メロウコーラはアイツの体内で熟成されているんじゃねぇのかよ!」
「少なくとも血ではないって事なんだろう!」
「はぁっ?じゃあなんだ、まさかションベンって訳じゃねえだろうな!?」
「もしそうなら俺は飲むぞ。大丈夫だ、世の中には猫の腸内で熟成させたコーヒー豆やウジ虫を使って発酵させるチーズもあるんだ。おしっこくらい何てことないさ!」
「チッ、美味けりゃいいが不味かったら殺すからな」


 二人の会話を聞いて私は顔が真っ青になってしまった、だって最悪サラマンダースフィンクスの尿を飲まないといけない可能性があるのよ!?私そんなの嫌よ!!


「イッセー先輩!涙です!」


 その時だったわ、後ろにいた小猫が大きな声でそう叫んだの。


「小猫ちゃん、どうしたんだ?」
「サラマンダースフィンクスの涙、それこそがメロウコーラの正体です!」
「一体どういう……ぐっ!?」


 イッセーが小猫から話を聞こうとするけどサラマンダースフィンクスの攻撃は激しくなっていきイッセーは大きく後退したわ。


「ボイスミサイル!」


 ゼブラさんの声のミサイルが再びサラマンダースフィンクスの顔面に直撃した。でもそこまで効いている様子はなくまた長い舌を伸ばしてきたわ。


「させるかよ!」
「魔剣よ!生まれよ!」


 でもいつの間にか人工神器を禁手させて鎧を纏ったアザゼルが槍で舌を弾いたの、そして祐斗の魔剣がサラマンダースフィンクスの動きを封じ込めた。


「イッセー!1分くらいなら俺達でも足止めできる!」
「その間に小猫ちゃんから話を聞いて!」
「分かった!」


 ゼブラさんやアザゼルたちにサラマンダースフィンクスの足止めを任せたイッセーは小猫の側に向かう、私も飛んで来る斬撃や瓦礫からイッセー達を守るために彼らの側に向かったわ。


「小猫ちゃん、さっきの話はどういう事だ?サラマンダースフィンクスの涙がメロウコーラだって聞こえたが……」
「はい、メロウコーラというのはサラマンダースフィンクスが食べた獲物の栄養をブドウ糖にして涙腺にため込んだ液体がそうなんです!」
「なんでそんなの事が分かるんだ?食材の声が聞こえたのか?」
「いいえ違います、この本のお蔭です」


 小猫はそう言って古い本をイッセーに見せた、私も気になるけどこっちが忙しいから流石に中身までは見てられないわね。


「この本は?よく分からない古代の文字が書いてあるが……」
「私はこの字が読めます!言葉の意味も姉さまに教えてもらったので内容が分かったんです!そしてこの本が猛獣の捕獲方法や調理方法の書かれたレシピ本だと分かりました!」
「この絵に描かれている猛獣はダンゴール?他にもこのピラミッド内で遭遇した猛獣の絵が書いてある……そうか!今まで出会ったあの猛獣達は特殊調理食材だったんだ!だから偶然誰かが正しい捕獲が出来ていたから美味しかったり不味かったりしたのか!」


 どうやら私達が遭遇した猛獣は特殊調理食材で偶然美味しくなるように捕獲出来てたという訳ね。


「先輩、このページを見てください。ここにはサラマンダースフィンクスのような生物が涙を流している絵が描いてあります。この絵はサラマンダースフィンクスからメロウコーラを取り出すための工程が書かれているんです」
「じゃあその手順をすればメロウコーラをゲットできるって事か!?」
「間違いありません!」
「そうと分かれば……ゼブラ兄!聞こえただろう!メロウコーラをゲットする方法が分かったぞ!」


 イッセーがそう叫ぶとゼブラさんが側に高速で飛んできたわ、今はアザゼルたちが気合でサラマンダースフィンクスを引き付けている。


「話は聞こえた。小娘、お前ならその本が読めるんだな?」
「はい、このページの解読は姉さまと一緒に終えました。ただ私ではあの猛獣を調理して涙を流させることはできないのでゼブラさんにお力を借りたいのですが……」
「この俺を使おうってか?」
「はい!」
「はっ、ムカつくほど良い笑顔で言い切りやがって。いいぜ、やってやるよ」
「よし、なら話は決まったな!小猫ちゃんは俺達を調理道具として使ってくれ!」


 イッセーとゼブラさんは小猫の指示を聞きながら戦う事になったわ、するとアザゼルたちがサラマンダースフィンクスに弾き飛ばされる光景が見えた。


「すまねぇ、限界だ!」
「時間を稼いでくれてありがとうな、皆!あとは任せてくれ!」


 倒れるアザゼルたちにお礼を言ってイッセーとゼブラさんはサラマンダースフィンクスに向かっていく。


「小猫ちゃん、まずは何をすれば良い!?」
「えっと……」


 小猫がレシピ本を読もうとしたその時だった、サラマンダースフィンクスの長い鬣が丸く纏まってまるで拳のような形になったの。


 するとサラマンダースフィンクスは鬣を自由自在に動かしてイッセー達に攻撃を仕掛けたわ、今までは爪や舌を使った攻撃ばかりしてきたので予想外の攻撃にイッセーとゼブラさんは攻撃を受けてしまった。


「がはっ……!」
「イッセー先輩!?」
「おい小娘!さっさと指示しやがれ!」


 吐血したイッセーに小猫が駆け寄ろうとするがゼブラさんの怒号が当たりに響いた。


「えっ……?」
「コイツは適当に痛めつけりゃ泣くのか?違うんだろう?その本を読めるのはてめぇだけだ、俺を使うと言った以上腑抜けた事しやがったらぶっ殺すぞ!」
「ッ!」


 ゼブラさんの叫びを聞いた小猫は今までとは違う力強い目つきになった、そしてエプロンやコック帽を付けるような動作を取ると大きく息を吸って叫んだ。


「これよりメロウコーラの調理を始めます!」
「ああ、頼んだぜ!」


 小猫の叫びを聞いたイッセーは信じているという意味を込めた笑みを浮かべた。


「まずは全身をくまなく均一に叩きます!肉叩きで肉の繊維を柔らかくするように!力加減は強めに程よく!」
「ならここは俺がやる」


 鬣の攻撃を回避しながら全身を叩くのは難しいわ、でもゼブラさんならその問題を解決できるわね。


「サウンドバズーカ!!」


 音の衝撃がサラマンダースフィンクスの全身を打ち付ける、小猫はそれを見て頷いた。


「よし……次は胸の中央、溝内の部分を少し強めに叩いてください!」
「なら俺が懐に潜り込む!ゼブラ兄はフォローしてくれ!」
「しかたねぇな」


 イッセーはサラマンダースフィンクスの懐に目掛けて一直線に突っ込んでいったわ。でも奴は鬣を再び操ってまるで雨のような猛攻を振り下ろしたの。


「音壁!」


 それをゼブラさんの音の壁が防いでくれた、でも威力が大きくて直ぐにヒビが入ってしまった。


「チッ、もたねえか……!」


 そして音壁が壊れてイッセーに鬣が襲い掛かった、でもそこに大量の魔剣が出てきてイッセーを守ってくれた。


「イッセー君、行って!」
「祐斗、ありがとうな!」


 祐斗が魔剣で攻撃を防いでくれたのね、二人の援護もあってイッセーは無事にサラマンダースフィンクスの懐に潜り込めたわ。


「小猫ちゃん、ここでいいか!?」
「いいえ!もう少し右に寄ってください!」
「了解!10連……」


 イッセーは小猫の指示した場所に拳を叩き込んだ。


「釘パンチ!」


 見事みぞうちに当たった釘パンチがサラマンダースフィンクスの内部を突き進んでいく。


「そうしたら今度は背中の鱗を少しだけそぎ落としてください!」
「なら俺のレッグナイフで……ぐぅっ!?」


 イッセーがジャンプしようとしたけどサラマンダースフィンクスは両法の前足を連続で振るい斬撃の嵐を放ったわ、イッセーとゼブラさんは防御するけどこれじゃ動けないじゃない!?


 私は二人の援護に入ろうとするが……


「月牙天衝!」


 サラマンダースフィンクスの死角から放たれた斬撃が背中の鱗をそぎ落とした。


「威力だけならイッセーのレッグナイフにも負けない!イッセー達に気を取られていて隙だらけだったぞ!」
「ゼノヴィア!助かったぜ!」
「お礼は熱いキスでいいぞ、イッセー」


 ゼノヴィアが隙をついて攻撃したのね!凄いわ!


「今度は足の裏を刺激します!右前足から時計回りに刺激してください!」
「分かりました!ギャスパー君、協力してくれますか?」
「任せてください!」


 今度はルフェイは攻撃をしようとして援護をギャスパーに頼んでいた。


 ギャスパーは神器でサラマンダースフィンクスの動きを止めようとしたけど危険を察したのか奴は砂煙を上げてギャスパーの視界を遮った。でも……


「それは囮ですぅ!」


 地面に穴が開いてそこからギャスパーのスタンド『世界』が現れてサラマンダースフィンクスを持ち上げたわ。


「イオラ!」


 そして足の裏に目掛けてルフェイが小猫の指示通りに爆発魔法で攻撃した。


「次に両方の翼の羽を同時に引っこ抜いてください!少しでもズレたらアウトです!」
「なら次は私が行くわ!朱乃、手伝って!」
「勿論ですわ!」


 私は金髪になり一瞬でサラマンダースフィンクスの翼に接近した、朱乃も光の粒子になってほぼ同時にもう片方の翼に移動する。


「朱乃!私達の息の良さを存分に発揮するわよ!」
「ええ、貴方の女王として完璧に合わせて見せますわ!」
「行くわよ!せぇ~の……っ!!」
「はっ!!」


 そして朱乃と一緒に両方の翼に生えていた羽を引き抜いた、完璧なタイミングだったわ!



「ゴ……ゴア……!?」


 するとサラマンダースフィンクスの涙腺が大きくなったわ、これって効果があるって事よね!


「涙腺が肥大化した!漸く半分の工程が終わりました!次は左後足、右前足、右後足、左前足の順に痛みを与えてください!」
「ガウッ!」
「テリーがやるの?なら援護してあげるし!」


 今度は自分がやると言わんばかりに唸り声を上げるテリー、そんな彼の意図を組んだリンさんがテリーの援護に入った。


「イッセー!テリー!鼻での呼吸は禁止だし!『サンダーペパーミントフレグランス』!!」


 リンさんはサラマンダースフィンクスの顔面にまるで雷が直撃したかのようなすさまじい刺激臭を放つ匂いを浴びせた。


 イヤそうに前足で匂いを払うサラマンダースフィンクスの隙をついたテリーがまるで白い閃光のような軌跡を描き足を順番に噛みついていく。


「ゴァァァァァッ!」


 相当不快に感じたのかサラマンダースフィンクスが滅茶苦茶に暴れ出したわ、その際の一撃が天井を崩して離れて見ていたティナさんの頭上に瓦礫を落とす。


「ティナさん!」


 祐斗が慌てて助けようとするがそれよりも早くラクダのマツゲがティナさんを担いで瓦礫をかわした。


「あ、ありがとう……」


 ティナさんのお礼にマツゲは得意そうに笑みを浮かべた。ラクダは死ぬほど嫌いだけど今は素直にティナさんを助けてくれたことに感謝するわ!


「もう少しです!次はサラマンダースフィンクスの舌を引っ張って噛ませてください!奴の舌はかなり頑丈なので千切れたりはしません!」
「よし来た!堕天使総督の意地を見せてやるぜ!」


 ボロボロになった鎧の隙間からアザゼルがやる気のある瞳を見せる、暴れていたサラマンダースフィンクスの口の中に飛び込むと舌を掴んで勢いよく引っ張った。


「喰らいなさい!」


 そこにイリナが急降下してサラマンダースフィンクスの頭を踏みつけた、その一撃でサラマンダースフィンクスは自身の舌を噛んでしまい痛そうに座り込んだ。


「はぁ……はぁ……ここまでやってようやく大人しくなったか……」
「タフな野郎だ……」


 私達の攻撃をまともに受けても五体満足でいるサラマンダースフィンクス、恐ろしいほどタフね。でもあと一歩よ!


「先輩!最後に尻尾の蛇を力いっぱい叩いてください!」
「よっしゃ!残ったカロリー全部使ってぶち込んでやる!」
「はぁ……」


 小猫の最後の指示にイッセーは笑みを浮かべて、ゼブラさんは面倒くさそうに溜息を吐きながら最後の一撃を放つ準備に入った。


「10×2で20!ブーステッド・釘パンチ!!」
「ボイスミサイル!!」


 二人の最後の一撃がサラマンダースフィンクスの尻尾を直撃した、その瞬間サラマンダースフィンクスが顔を上げて涙腺から液体が零れ落ちる。


「ゴワッシュワ~!!」
「出……出たあああぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」


 遂にサラマンダースフィンクスの目から涙が出たわ!あれがメロウコーラなのね!


「させないよ」
「えっ……?」


 すると喜んでいた私達の背後で何かが叩きつけられる音が聞こえたの、振り返ってみると小猫の背後で黒歌が何かの生物の腕を取って地面に叩きつけている光景が見えたわ。


「ニ、ニトロ!?」


 でも何より驚いたのはその生物がかつてベジタブルスカイで見たニトロだった事よ!あの時の奴とは違う個体みたいだけどなんでここにニトロがいるのよ!?


「皆さん!実は私と小猫ちゃんは道中でニトロに襲われたんです!サラマンダースフィンクスの件で伝えるのが遅れてしまい申し訳ありません!」
「なるほど、偶然このピラミッドに乾眠していた個体がいたんだね。そして何らかの原因で目覚めたけど栄養が足りないからメロウコーラを狙ったって訳か。でも残念でした、私がいる限り可愛い妹をやらせはしないよ」


 アーシアの説明を聞いていた黒歌さんが淡々と話しながらニトロを押さえつけていた。あのニトロは小猫に攻撃しようとしたの!?全然気が付かなかったわ……


「小猫ちゃん、大丈夫か!?」
「は、はい……姉さまのお蔭で怪我はありません」
「そうか……でもなんて奴だ、気配が一切読めなかった。もし黒歌がいなかったら……済まない、黒歌」
「ううん、私も正直ギリギリだったしイッセー達は戦闘の直後だったから仕方ないよ。だから気にしないで、イッセー」


 小猫に駆け寄ったイッセーは自分もニトロに気が付かなかったと悔しそうに顔を歪めるが黒歌は気にしないでと返した。


「おいイッセー、そのブサイクな生物は何だ?美味いのか?よく見りゃ刑務所でも似たような小さい奴を見た覚えがあるな」
「ウチも初めて見たし」
「俺も知らないぞ、何か珍しい生き物なのか?」
「ええとコイツは……」


 ニトロを知らないメンバーにイッセーは一龍さんから聞いたニトロの情報を話した。


「なるほどな、生物として真っ当な性格をしてやがるようだ」
「そんな風に思えるのはゼブラ兄だけだって……」


 凶暴性や食欲を聞いたゼブラさんが共感するようなそぶりを見せたのでイッセーは溜息を吐いた、少なくとも知性のある人間が思う事じゃないのよね……


「でもよ、こんな奴が本当に高い知能を持ってるのか?にわかには信じられねぇな」
「そのことなんですが……」


 アザゼルの疑問に小猫が何かを話し始めた、それはこのピラミッド内でニトロの描かれた壁画を見つけたという話だったわ。


「ニトロが書かれた壁画か……このピラミッドの建設は当時の技術では到底不可能だと言われていた、だとするとこのピラミッドを作ったのはニトロ、もしくは知恵を人間に与えた可能性があるな」
「はい、もしかしたらこの本もニトロが書いたのかもしれません」


 イッセーの考察に小猫はこのレシピ本もニトロが書いたんじゃないかと思いそう言ったわ、この文字もニトロの使う物なのかもしれないわね。


 まあ私は悪魔だから文字が自動的に日本語に翻訳されてしまうからどんな文字なのかは分からないんだけどね。


「取り合えず親父に報告するか、ニトロを見つけたら教えろって言っていたからな」
「あん?まさかコイツを引き渡すつもりか?俺の報酬とメロウコーラを奪おうとした奴だぞ、チョーシに乗ってやがる。ぶっ殺して食ってやる」
「あのな……」


 そう主張するゼブラさんを説得しようとするイッセー、この様子だと納得させるのに時間がかかりそうね。


「ッ!」
「イッセー、どうしたの?」
「なにかが来る……上だ!」


 イッセーがそう言うと天井の一部が燃えて蒼白い炎が貫いた、そして体に黒い鎧を纏った何者かが下りてきたの。


「……見つけたぞ、ニトロ」


 そしてその人物はニトロを見るとまるで氷のような冷たい声を発して手から青い炎を出した。


「わわっ!?」
「うおっ!!」


 こちらに向けて放たれた炎を私達は回避した、でも何でいきなり攻撃してくるのよ!


「お前、美食會か!」
「如何にも……我が名はギリム、美食會『特別料理顧問』をしている。貴様は美食屋イッセーだな、今回の目的はニトロの捕獲だが丁度いい。我らに邪魔立てする者を排除していく事にしよう」


 ギリムと名乗った男は両手に青い炎を出してこちらを威嚇してきた。


「来るぞ!」


 突然の乱入者に私達は疲れた体に鞭を入れて気合を入れる、そして向かってくるギリムを迎撃する態勢に入った。

 
 

 
後書き
 黒歌よ、このギリムって男は本当に強い、私も本気で挑まないと勝てないね……!でもニトロもいるしそっちはイッセー達に任せるしかないか……


 私だって伊達にこの世界で生きてきたわけじゃない、イッセーと小猫に再会して勇気を貰って鍛え直したんだ。窮鼠猫を嚙むという言葉の意味を教えてあげるにゃん!


 次回第118話『美食會最古のメンバー!災悪の戦士ギリム襲来!』で会おうね。


 次回も美味しくいただきます……にゃん♪ 
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