転生!DRAGONBALL THE WORLD!!
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???編
第十七話 ソリッドステートスカウター・リベンジ
前書き
一か月もたってしまった....
今回はマジで本気で書きました!(こういうと今までが手抜きのように見えるけど...)
バーダック主役です!やったね☆
カカロットのたった一人の最終決戦もストーリーはクリアしたので書いていきます。
それではご覧ください!
たった一人、強い信念を持ったサイヤ人が今、目覚めた。
辺りは機械化が進んだ白色の床と建築物が並び、同族が空を飛び、あちらこちらで戦いを楽しみ、又、この星へとポッドで降り立っている者もいた。
これから先に起こる数奇な運命に彼は再び巻き込まれようとしていた。
「くそ...何がどうなってやがる...」
サイヤ人、バーダックは重体になっていた体を壁にもたれかけ、思考に入っていた。
「俺は...ナメック星で...死んだんじゃなかったのか?」
彼は本来ならナメック星の爆破とともに命を落とすはずだった。ただそこに偶然と偶然が重なり、歴史を超えたある出会いをする。
「やぁ、僕の声が聞こえるかな?聞こえたら元気よく返事をしてね!」
「誰だ!どこにいる!」
「あはは、手厳しいなぁ...でも声は聞こえてるみたいだね。」
「だからテメェは誰なんだと聞いている!俺をここに送ったのはテメェか!!」
「まぁ待ってよ。とりあえず僕のことはいいじゃない。僕はただの科学者だよ。」
「科学者が俺に何の用だ?」
バーダックはキレていても仕方がないことを察し冷静を取り戻した。
「僕がたまたま時代をいろいろと観察してると君のことを...いや君たちのことを偶然発見してね。それで君たちに興味がわいたから実験に付き合ってもらってるんだ。」
「実験だと?ふざけた野郎だ。誰がそんなのに協力するか。他をあたれ。俺は忙しいんだ。」
「ふふふ...いいのかな?僕は君を元の場所..というか地球に送れるんだけど...僕がいないと君は地球に戻れないよ。」
「だからどうした。もういいか?俺は行くぞ。」
「ちょっとちょっと!じゃあこれからどうするつもりなのさ!」
「決まってっだろ。フリーザの野郎をぶっ飛ばしに行くんだ。」
「じゃあ目的は変わらないよ!僕は君の戦う姿を見て研究ができるし。君は地球に戻れてWinWinでしょ?」
「だから要らねぇっつってるだろ。別にここで死んでも、いい冥土の土産ができるだけだ。」
「もぉ~!分かった!いいよ、僕が勝手に地球に送るから!」
「チッ...わかったわかった。もういいから邪魔だけはするなよ...」
「まったく...サイヤ人ってのは頑固だねぇ~」
「ったく...早くしねぇとフリーザが惑星ベジータを破壊しちまう。」
「ちょっとそんな体で行くつもりなのかい?」
「...いちいちうるせぇな。邪魔はしねぇって言っただろ?」
「でも...わかったこれで最後だから。」
科学者がそういった瞬間、何やら霧のようなものがバーダックの体を包み、体力を全回復した。
「これは...」
「即時回復性の高い特別な魔法だよ。これで心置きなく戦えるでしょ?」
「ふん..礼だけは言っておいてやる。」
バーダックは手すりを掴み、地を思い切り蹴ると、バビューーーン!!と宇宙へと向かって飛びあがった。
何も知らないサイヤ人たちは、バーダックが蹴ったところが大きく凹んで...どころかえぐれているのを見て唖然とした。
バーダックはフリーザの乗る宇宙船を目指して空を飛ぶ。
風を真っ二つに切り、さらに高度と速度を増していった。
【挿入曲:ソリッドステートスカウター】
ーフリーザの宇宙船にてー
フリーザは宇宙船の窓から惑星ベジータを眺めていた。
その背後には側近の二人、ザーボンとドドリアが立っていた。
「フッフッフ...久しぶりに花火が見られそうですね...」
「フリーザ様!サイヤ人が一人で突っ込んできています!」
「ほう、何故だか知りませんが感づかれましたか。ですが相手は猿一人。兵士全員で囲んで殺して差し上げなさい。」
フリーザは兵士に命令を出した。そこには焦りの感情など全くなく、家に入ってきたハエを殺すような感覚であったのだろうが、これからの数時間で全てが変わることをまだ誰もが知らなかった。
フリーザ軍の兵士はバーダックを迎え撃つように、千、いや万は超えるほどの大勢力でバーダックを囲む。
「へへへ...まんまと一人で突っ込んできやがって...殺してやる!」
ある一人の中級兵士がバーダックをあざ笑い己の昇給目当てで襲い掛かる。
兵士の拳はバーダックに迫る。だがバーダックは真正面に進むのをやめなかった。
兵士の拳が命中するとき、バーダックは右手だけでそれを余裕で受け止め、左手を兵士の腹にあて全身を包むような気功波を放ち、兵士の身体を蒸発させた。
「なっ...」
その場にいたものが予想外の出来事に困惑した。
「奴は下級戦士のはずだ...なのにあんな一瞬で...」
バーダックは狼狽える兵士どもに大声で言った。
「お前ら!俺の目的はフリーザただ一つだ!邪魔をするならさっきのように殺す!それが嫌なら...道を開けろぉぉぉーーーっ!」
バーダックの声はフリーザの宇宙船まで届いた。
「サイヤ人とは本当に愚かな種族ですねぇ...勝てないのをわかって私に挑もうとするとは...あなたたち、やってしまいなさい!」
フリーザの指揮によりその場に立ち止まって(浮遊して)いた者たちはバーダックへと襲い掛かる。だがさっきのとは違い、数でバーダックを囲むようなチームワークを取っていた。きっと個人では勝てないと悟ったのだろう。先ほどのバーダックの行動でこれが消化試合から命がけの戦いへとなった。
「フリーザぁぁぁぁーーーっ!!!出てきやがれぇぇぇーーーっ!!」
バーダックは声をあげるとともに宇宙船へと勢いをさらに増し飛び上がった。
そんなバーダックを捕えようと兵士が襲い掛かるが今更最大戦闘力7000程度のごろつきが襲い掛かってきたところでバーダックの敵ではなかった。
バーダックは兵士を押しのけ真っすぐと宇宙船へと突き進む。
「怯えるな!奴は一人だ!全員で囲め!」
一人の兵士の声に賛同したものがバーダックへと突撃し手足などを掴んだ。
バーダックは兵士の中に埋もり、姿が見えなくなった。
だがそんなくんずほぐれつの兵士たちの隙間から青白い光が漏れた。
その光はどんどん輝きと大きさを増し、巨大な爆発を起こして兵士たちを吹き飛ばす。
「フリーザ様!!奴の勢いが止まりません!」
ザーボンは目の前で次々にたった一人のサイヤ人が兵士を倒す様子に危機感を覚えフリーザに指示を仰いだ。
「仕方がありません。ザーボンさん、ドドリアさん。あのサイヤ人を迎え撃ちなさい!」
「「はっ!」」
ザーボンとドドリアは宇宙船から出てきてバーダックへと向かった。
「...やっとてめぇらが出てきたか...」
「はっ!...お前はさっき惑星ミートで殺したはずだったんだがな...」
「お前はいつもいつも確認を怠るからだ...ドドリア。」
「うるせぇな!普通に考えてサイヤ人が俺様の攻撃を食らって生きていられると思うか?」
「それは確かに信じがたいがな...」
「話はすんだか?俺の目的はフリーザだけなんだ。」
「はっはっは...笑わせてくれるじゃねぇか。まさか俺様たちに勝てると思ってるのか?」
「俺は...テメェラをぶっ飛ばすためにここに再び戻ってきたんだ!」
「訳のわからないことを...すぐに死んでくれるなよ!」
ドドリアがバーダックに接近し、自慢のトゲトゲとした頭をバーダックに向けて突っ込んだ。
バーダックは焦るそぶりも見せず、右手で拳を作りそのドドリアの頭に拳を衝突させた。その間には火花が散り轟音が響く。
ドドリアは今の攻撃で脳が揺さぶられ意識が朦朧としピクリとも動かなくなった。
「まさか...あのパワーとタフさだけは私をも上回るドドリアが...一撃で...」
ザーボンは一撃で動かなくなったドドリアとバーダックを交互に見て困惑をしていた。
(だめだ...これでは私も殺されてしまう...今すぐにでも逃げ出したい...だが後ろにはフリーザ様が...どっちにしてもこのままでは私は...)
「ふ...ふふふふ...」
「なに薄気味悪く笑ってやがる...邪魔をするならテメェもドドリアのようにしてやるぜ?」
「ふふふふふ...仕方がない...これは今まで美しくないから隠していたが...死ぬと別れば諦めもついた...残念だったな。貴様は私の長年眠っていた姿を呼び起こしたのだ...後悔しながら死ぬがいい!」
ザーボンの気が突如として膨れ上がり、筋肉が増強され体格も大きくなっていった。
「悪いが...その変身を待つほど俺は暇じゃねぇんだ...地獄で勝手に変身でもしとけ!!!」
バーダックはザーボンの目の前から一瞬にして消え次の瞬間にはザーボンの腹に拳を深々と突き刺していた。
「貴様...卑怯...だぞ...」
「馬鹿が、戦いに卑怯も糞もあるか。」
バーダックは気絶した二人に一瞬目を向けると前を向き宿敵にみけてもう一度言い放った。
「フリーザーーーーッ!!早く出てきやがれぇーーーーっ!!!」
その叫びが届いたのか、ようやくフリーザは宇宙船のハッチを開け、バーダックの前へと姿を現した。
「よくもまぁここまでやってくれましたね...サイヤ人にしては戦闘力が一つ二つ離れているのでしょうか...どれ。」
フリーザはスカウターに手を当てバーダックの戦闘力を計測した。
「戦闘力...1万だと⁉いや、貴様、戦闘力をコントロールできるのか。サイヤ人にしては器用な奴ですね。」
「ですが、ザーボンやドドリアを倒したところで精々あなたの戦闘力は10万...といったところでしょうか。ですが...私の戦闘力は53万です。」
「どうです?あなたと私とでは5倍もの戦闘力差がある...あなたの負けは明確でしょう。今なら、私に忠誠をつき部下になれば見逃して差し上げましょう。ザーボンとドドリアよりも強い兵士が、何ならギニューさんよりも強いかもしれませんしね。」
「馬鹿野郎、誰がテメェなんかに服従するか...俺は貴様を殺しに来たんだ。」
「そうですか...それは残念です。まぁいいでしょう。どうせ断られることぐらいはわかっていたのでね。少し早いですが、花火を見ることにしましょうか。」
フリーザは右手の人差し指を顔の横に掲げそこからエネルギーを放出し、頭上の上空で巨大なエネルギー弾を構成した。
「さぁ...サイヤ人の皆さん。ここで華々しく散りなさい!」
「ホッホッホ...ホーホッホッホ!」
フリーザが甲高い笑い声をあげるとともに巨大なエネルギー弾はサイヤ人の住む星、惑星ベジータに向けて放たれた。
バーダックはそのエネルギー弾を視界に捉えながら、決意強く呟いた。
「未来を....変えて見せる!」
バーダックは大量の気を放出しながら惑星ベジータに迫るスーパーノヴァへ突っ込み内側から気を放出する事でその巨大なエネルギーをすべて打ち消した。
「な...なんだと⁉」
フリーザは目の前で起きた事実に困惑し動揺が隠せていなかった。
「かかってこい。フリーザ。今の俺はお前の想像を大きく超えた力を持っている。出し惜しみをしていたら一瞬で死んじまうぜ?」
「サルの癖に大きく出たものですね...まぁいいでしょう。ここまで暴れてくれたご褒美に真の絶望を教えて差し上げます。」
フリーザは宇宙船から降り、キェェェェェ!!と雄たけびを上げると全身に気を溜め始めた。その様子をバーダックは真顔で見つめている。
そしてフリーザの姿が変貌し、体格が大きく、まるで巨人のような姿の第二形態に変身した。
「フリーザ...俺は出し惜しみをするなと言ったがな。」
「フフフ...どうやら俺の変身について知っているようだが、貴様のようなサイヤ人の中でも下級戦士の奴にはこれでも十分だ。この形態になるとどうもパワーがありすぎて自分でもコントロールできないんだ。口だけ叩いておいて直ぐに死んでくれるなよ。」
「テメェこそ精々この俺と張り合ってくれよ?何なら今にでも最終形態になってくれてもいいんだぜ?」
「減らず口を...」
フリーザはバーダックへ向かって頭を突き出し突進した。角でバーダックの胴体を刺し殺すつもりだろう。だがバーダックはそれを片手で受け止め角を掴んでぶん回し投げ飛ばした。さらにバーダックはきりもみ回転で吹き飛ばされているフリーザに近づき右手を握りしめ、振るい、顔面に渾身の一撃をぶちかました。
全く予測のしていなかったダメージにフリーザは困惑し口からは血が流れた。
戦闘力差は嫌というほど理解したが先ほどあれだけ言っておいて変身するということに矜持が傷つきそのまま全力で戦うことにした。
フリーザは右手を構え真上に突き上げた。
「バッ!!!」という音とともにバーダックを中心に黄色い爆発が起こった。
さらにフリーザは指先に気を溜めバーダックを狙い光線を放った。
「死になさい!!」
「ふっふっふ...この程度ですか?」
フリーザは実力の差を確信しあざ笑った。
「どこを見てやがる...俺はここだぜ?」
急にフリーザの背後から声がした。フリーザは冷や汗をたらし背後を振り向く。
そこには爆発に巻き込まれたはずのバーダックが腕を組み立っていた。
「なぜだ⁉」
「今のテメェの攻撃なんざ遅すぎて...勝負にすらなんねぇんだよ!!」
バーダックはフリーザの腹部に深く拳を突き刺し、さらに蹴りを何発も叩き込み最後に気合砲で吹き飛ばした。
フリーザの体は傷だらけになり息が上がっていた。
「まさか...これほどとは...」
サイヤ人の中にここまで強いやつがいることを知らなかったフリーザは大いに焦っていた。
そしてフリーザはある一つの結論にたどり着いた。
「⁉...まさかお前が...あの伝説の...超サイヤ人なのか...⁉」
その問いにバーダックは答えた。
「残念ながら俺は超サイヤ人じゃねぇ...だが、それは今の話だ。」
「どういうことだ⁉」
「それを答える義理は俺にはねぇな。」
「まあいい...貴様が超サイヤ人ではないなら俺が勝つ...100パーセントな!」
「貴様は俺の最終形態を見たがっていたな。見せてやろう。冥途の土産にするがいい!」
「ハァァァァァァーーーッ!!!」
フリーザは気を溜め始めた。フリーザの気は先ほどとは比べ物にならないぐらいに大きくなっていく。
バーダックはフリーザが変身するようすを無言で眺めていた。
その瞳の奥には恨み、怒り、そして溢れんばかりの闘志が宿っていた。
ついにフリーザの変身が完成した。その変身までの気の余波であたりにいた兵士はいなくなっていた。その気の大きさは途轍もなく、惑星ベジータにいたサイヤ人どもは謎の圧力を感じ思わず地に膝をつけたものまでいた。
惑星ベジータでは今、スカウターを使えば一瞬で爆発し壊れるようになっていた。
「どうだい?君の見たかった最終形態は。」
フリーザが言葉を放つと宇宙全体が大きく揺れるほどのプレッシャーがあった。
「随分とこじんまりしやがって...」
「ふふふ...残念だよ。君には僕の強さを数値化して見せることができない。
だけども、君の戦闘力が500万だとしようか。だとすると...僕はその20倍。1億だ。
気になるならスカウターで測ってみるといいよ。まあ壊れるだけだろうけど。」
「一億とは大きく出やがって。それにこのスカウターか...こいつはもう俺には必要ねぇ。」
そういうとバーダックは自分のスカウターを握る潰し宇宙空間に放り投げた。
「いい判断かもね...僕と戦う上では邪魔なだけだから。」
「それもそうだが、俺はもうこれに頼る必要はない。」
「ここで死ぬからか?」
「それはテメェだ。」
「あまり図に乗るなよ。サイヤ人。僕は君を片手一本で殺せるんだ。」
「そうかよ...あまり時間がねぇんだ。一気に片付けさせてもらうぞ。」
「かかってきなよ。少し遊んであげよう。」
バーダックはフリーザへと拳を振るった。だがその攻撃は簡単に片手で受け止められる。
(なんてパワーだ...腕が全く動かねぇ。)
「どうした?サイヤ人。まさかこれで終わりなわけは...ないよね?」
「なめやがって...」
バーダックは舌打ちをすると右手に気を送り込み爆発させてフリーザの手から逃れた。
「ほう...なかなかやるね。君がサイヤ人ではなかったら本当に部下に欲しかったところだよ。」
「...。」
「でも大丈夫かい?」
「...何がだ。」
「ここは惑星ベジータから遠く離れた宇宙空間だ。僕は宇宙空間でも生きることができるけれど、いくら惑星ベジータの重力が大きいからってこの場所でうまく呼吸を維持できるとは思えないがね。」
フリーザの考察は当たっていた。
地球の何倍も重力があり、酸素を星に引っ張れる距離が多いとはいえ流石に惑星から離れすぎている場所にいるバーダックはどんどんとジリ貧になっていた。
いくらサイヤ人の肉体だとは言え、もって後30分もないだろう。
「安心しろ。それまでには貴様を倒し惑星に戻るさ。」
「ふっふっふ...ここでサイヤ人全員で仲良く息絶える...の間違いだよ。」
「御託はいい。時間がねぇんだ。一気にかたずけさせてもらうぞ。」
バーダックは気をすべて開放しフリーザに突進した。
フリーザはその攻撃を上空に躱し、振り向きざまに突進後の硬直で固まっていたバーダックに気弾を放った。
しかしバーダックは気弾に強打を入れ打ち返しその後ろを追いかけるようにして再びフリーザに迫った。
フリーザは気弾を右手で払いのけ尻尾でバーダックを迎え撃とうとしたがそれを読んだのかバーダックはギリギリで体制を低くすることで尻尾を躱しそこからアッパーをフリーザの顎に入れた。
頭から吹き飛ばされたフリーザは息つく間もなく追撃をしようとするバーダックを迎え撃った。
激しい乱打が繰り広げられ ドカッ! バキッ!といった音が何十にも重なって響いた。
フリーザの宇宙船内でその戦いを見ていた僅かな兵士はまったく目で追えなかったという。
バーダックは今までにないほど集中して敵の隙を見逃さず高密度高威力の攻撃を繰り返すがそれが通用したのははじめだけで後は簡単に防がれさらにカウンターまでも入れられてしまっていた。
(どうする...)
そんなことを考えていた時、フリーザの蹴りが横腹に入り大きなダメージを食らった。
考え事をしたのが仇となりフリーザの攻撃に気づけなかったのだ。
(やるしかねぇ...)
バーダックの考えはすでにまとまっていた。
フリーザは確かに強いがその強者ゆえの甘さと慢心が大きかった。
その隙をつくしかない。本当ならば正々堂々と戦い実力で上回りたかったが、それは仕方のない事だった。対面でフリーザに勝てるのはごく僅かだ、原作であのフリーザを倒した孫悟空も慢心と油断をつき、最後に覚醒してやっとの思いで倒したのだ。
本当に死ぬギリギリまで戦い勝ったのだ。
それをまだ完全に超サイヤ人になれない者が倒すのなんて夢のまた夢だ。
だが、チャンスがないわけではない。今がそうだ。フリーザは自分が負けるはずがないと油断している。超サイヤ人ではないことを知ってからその油断は顕著になっていた。
バーダックは息を整え、頭に巻いている紅に染まったバンダナを強く握りしめた。
「お前ら...俺に力を貸してくれ!!フリーザを...俺たちの敵を倒すために!!」
その言葉に返すようにバーダックの気は急激に大きくなり白色のオーラがさらに増加した。
「まだ本気ではなかったか、だが所詮サイヤ人...僕の敵ではない。」
まるで志半ばで倒れたサイヤ人の魂がバーダックに集うように気がバーダックの集結し、さらに気を高く上げる。
「フリーザ。行くぜ?」
バーダックが動いた。その移動は先ほどまでのフリーザを大きく超え一瞬にして背後まで移動した。フリーザが気づく前にバーダックはフリーザにタックルを入れ吹き飛ばす。さらに背中に拳を入れ、体を捻りまるでライダーキックのように片足で蹴り飛ばした。まだまだ追撃は終わりではない。正面からフリーザに近づき腕をクロスさせガードの構えととったフリーザに真正面から気弾を溜めた腕で殴った。
殴りと気の爆風でガードが緩んだところを掴み、ぶんぶんとぶん回してフリーザを投げつける。そしてバーダックは宇宙空間に浮く主惑星に足を付けた。
「フリーザ...これが、俺たちサイヤ人の貴様ヘの怒りだ!!」
そう言うとバーダックは小惑星を思いっきり蹴り反動でフリーザに急速で迫る。
そして拳に全ての力を入れる。気が右腕に集まりさらに気を増幅させる。
【スピリット・オブ・サイヤン】
巨大な大猿を模した拳はフリーザを捉え、フリーザの身体を打ち抜いた。
拳圧はフリーザの身体を超えその背後まで衝撃波が飛んだ。
その威力は途轍もなく、フリーザを後方50mほどぶっ飛ばし、小惑星を何個も破壊してやっと停止したほどであった。
「バカな...なぜここまでの力が...」
「フリーザ、貴様はサイヤ人のことを舐めすぎていたんだ。」
「舐めすぎていただと...?笑わせる。もう息が上がっているじゃないか。君がやっとの思いで僕にダメージを与えたところで、僕にとっては大した攻撃ではない。さすがに今のは焦ったが、これが君の限界なら...もう君に勝ち目はない。」
フリーザの言葉はその通りで、バーダックは今の攻撃で力をほとんど使い果たしてしまった。
「ふざけるな...サイヤ人に...限界なんか関係ねぇ!」
バーダックは根性で気を上げようとするが、身体はついていかなかった。
消える瞬間のろうそくのように一瞬気が大きく上がると、気のオーラは消え大幅に戦闘力が下がってしまった。
「ほらね、僕の言った通りだ。」
フリーザは不敵に笑った。その笑いをバーダックは苦虫を嚙みつぶしたような顔で眺めることしかできなかった。
「残念だったね。でもよくやった方だ。僕にここまで力を出させるなんて。褒めてあげるよ。」
フリーザは勝利を確信し、傲慢な態度に戻った。
「フリーザ...なぜ俺たちを騙したんだ...」
バーダックはかすれた声でフリーザに問いただした。
その理由をバーダックは知っていたが、何故かもう一度聞きたくなった。
「騙しただと?まああなたたちからすれば確かにだましたのかもしれないな。だが...」
フリーザは嘲笑うかのようにして言った。
「それの何が悪い?」
「っ....。」
「強者が弱者を利用して荷が悪いんだ?それが嫌なら歯向かって来ればよかったものを。あなたたちの得意なやり方でね。....まぁ、無駄でしたがね。」
フリーザは先ほどベジータ王軍の反乱を受けたのだ。だが戦闘力差は絶望的でフリーザに一撃与えるどころかその側近にすらダメージは与えられていなかった。
「俺たちはお前たちの命令に従っていたのに...それを...テメェは...」
バーダックの言葉に怒りが乗っていった。拳を握りしめ血管が浮き出ている。
「随分と地上げ屋として儲かりましたからね。あなたたちはもう様済みです。」
「違うな...貴様は超サイヤ人を恐れているんだ。」
そのバーダックの言葉にフリーザは不快感を露わにし言った。
「恐れているだと?バカめ、超サイヤ人なんぞこの僕にとって敵ではない。ただ、誰か一人の超サイヤ人のせいでサイヤ人全員が敵になると対処が面倒になるだけだ。」
「それを恐れているっていうんだぜ。」
「さっきから黙っておけば減らず口を....いい加減少しは黙りなさい。非常に不愉快です。」
フリーザは右手から気功波を放ちバーダックの胴体に命中させた。
「ガハッ....」
バーダックが身に着けている戦闘服は半壊し、傷を覆った肌が見えていたがそれでもまだ立ち上がりフリーザを睨んでいた。
「おやおや、まだ意識があるとは。」
「俺は...テメェを地獄に送るまでは...死なねぇんだよ!!」
「よく言ったものだ。その根性だけは認めてやろう。だがそんな体で何ができる?」
「ちくしょう...」
バーダックは思わずそんな声を漏らした。今のままではどうやってもフリーザには勝てない。
「そろそろ終わりにしようか、だけどその前に、君にご褒美をあげるよ。冥途の土産にするといい。なんたって花火を特等席でみられるのですから。」
バーダックは一瞬困惑したがフリーザの言う花火の意味を理解すると大声で叫んだ。
「やめろ...フリーザ!!」
バーダックはこの先の最悪な未来を想像した。
この星にはまだ多くのサイヤ人、そして守るべき女がいた。更にはまだこの星から飛び立つポッドも見ていない。つまり...カカロットもこの星に...
「ほーほっほっ!!」
フリーザは高笑いをすると人差し指を天に掲げまるで暗黒のような特大の気弾を作った。その気弾からは不気味なスパークがほとばしり惑星を一瞬でチリに出来る破壊力を持っていた。あんなものが直撃すれば全てが無に帰ってしまう。
「ちくしょう...俺はまた守れねぇのか...」
バーダックは身体を動かそうとしたが先ほどのダメージが大きく身体は追いつかなかった。
フリーザは気のチャージが完了したらしく腕を後方に下げると、勢いよく気弾を発射した。
「動け...俺の身体よ...!!俺は...アイツを...」
いくら願ってもバーダックの身体は全く動かない。諦めの文字が一瞬顔をよぎった。
(....。.....。それでいいのか。俺はあの時から...何も変わっていねぇのか....」
(あの時...俺が...共に戦えていれば...あの時...俺に力があれば...)
バーダックへ強い後悔が襲い、自分の不甲斐なさに怒りを宿した。
(あの時も...あの時も....)
バーダックはさらに怒りを強めその怒りに比例するように気が上昇していった。
「俺は...」
気づけば身体が動くようになっていた。
拳を握りしめ叫ぶ。
「俺はあいつらの仇を取らなきゃなんねぇんだ!!」
バーダックは全速力で惑星ベジータに迫る気弾の真下に移動した。
「ほう...まだ動けたとは...だがこのまま貴様もろとも宇宙のチリにしてくれる!」
フリーザはさらに力を強めた。
「カカロットに俺に意志を託すだと...いや、あの時はそれでよかった。」
「だが...今は、違う!!あいつらの仇を打てるのは俺だけだ!!」
バーダックは両手を目の前に出し気弾に手を触れる。
そして全身に力を入れ気弾を押し返し始めた。
その力にフリーザは驚いた。
「何故だ....何故その身体でここまで...」
「何故だと...?」
バーダックはさらに気と力を強めて言った。
―――――――俺は...俺は貴様が...許せねぇだけだぁぁぁぁぁーーーっ!!!
バーダックの怒りは頂点へと達した。
両手から青白い気功波を放ち気弾を押し返す。
「バカな...この俺が...押され..」
気功波は気弾をぐんぐんと押し返し遂にフリーザに着弾した。
巨大な爆発が起こりフリーザの周りを噴煙が覆う。
フリーザはそれでも生きていた。だが噴煙が落ち着き、黒い煙の先を見たとき、フリーザは今までにないほど驚愕した。
その目の先にはたった一人のサイヤ人がいた。
だがその様子は今までとは大きく違っていた。
そのサイヤ人の周りからは金色のオーラが発せられていて、そして...髪は金色に光り輝いていた。
いくつもの死闘と絶望を乗り越えた戦士、超サイヤ人バーダックが未来を変えるためにそこに立っていた。
(変わった...⁉それにあの金色の髪は...)
「まさか...」
フリーザは震えながら言った。
「超サイヤ人になったというのか...」
バーダックは自分が超化したことに驚き、またこの超化はこの前の不完全なものではなく完全に超サイヤ人になれたことを察した。
さっきまでボロボロだった身体も普段通り、いや更に動くことができ軽々としていた。
「...試してみるか。」
バーダックは両手を握りしめ力を入れると超高速で移動した。
フリーザはそのスピードに目が追えず、目の前から消えたように見えた。
次の瞬間、背後から声がした。
「フリーザ、俺が貴様を倒す。」
その声を聴いたとたんフリーザは背筋がぞっとし恐怖を感じた。
そんなことお構いなしにバーダックの猛攻が始まった。
まず左腕で背後に裏拳を入れると、そのまま体を捻りまるでボレーキックのようにフリーザに蹴りを入れた。
バギッ!!!といった鈍い音がし、フリーザは拭き取んだ。
バーダックは吹き飛んでいるフリーザを下から追い、フリーザの速度を超えると立ち止まり、フリーザの鳩尾にサマーソルトキックを入れた。
「ゴハッ...」フリーザは血の混じった痰を吐き腹を抑えた状態でうずくまった。
うずくまっているフリーザにバーダックは冷徹に言った。
「悪さが過ぎたぜ...」
「ちくしょう...ふざけやがって...貴様が俺より強いだと..!!そんなはずがあるか!!」
フリーザは空を人差し指で斬るようにしてデスウェーブを放った。
しかしそれはバーダックの気合砲によってかき消された。
「バ...バカな...そんなはずは...」
フリーザは目の前にいる自分よりも遥かに力を持った存在にもはや怯えていた。
「終わりにしようぜ。フリーザ。」
バーダックは冷徹に言った。
「ま...まて、貴様をフリーザ軍の最高幹部にしてやる...!!」
「チッ...喧嘩が売りてぇなら買ってやる。」
「わかった...もう二度とサイヤ人とはかかわらない...それでどうだ‼」
「何を今更...貴様のせいで俺の仲間は....」
「では...「もういい。」
「俺が欲しいのは...貴様の命だけだ!!」
「ち...ちくしょう!ちくしょーーーーーっ!!!」
「こっちが下手に出ていればいい気になりおって...お望み通り貴様を殺してやる!!俺が宇宙一なんだ...俺より強い奴はこの世にいてはならない...だから貴様は...
貴様だけは俺の手で....」
フリーザの体が紫色に眩く光り輝き、気は嵐のように凄まじく揺れていた。
―――――――――俺に殺されるべきなんだーーーーーーーーっ!!!!
右手から極太の光線をバーダックに向けて放つ。
執念と憎悪の負の感情が混ざった重たい一撃を我らがサイヤの勇者は仁王立ちで迎え撃つ。
右手を開き、溜める。辺りの空気が右手の中心に集まり、気弾はどんどんと大きくなる。そしてその手に溜まったものを力の限り紫色の巨大な光線に向けて撃ち放った。
――――――――くたばりやがれぇぇぇーーーーーーっ!!!!
バーダックの気弾が光線に着弾した。衝突した瞬間、爆風が起きスパークを散らした。
双方の執念と執念がぶつかり合い激しく空間が震える。
フリーザは額に血管を浮かせ本気で気功波を放っていたが、超サイヤ人となったバーダックには勝てず、ついに力を使い果たした。
その瞬間を見逃さなかったバーダックは追い打ちをかけるように後方から気功波を放った。
「ぐぉぉぉーーーーーっ⁉こんなもの....こんなもの....!!!!」
「うぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーーーーっっっ!!!!」
フリーザは気弾を跳ね返そうとしたが、そんな力は残っておらず、気弾に巻き込まれてぐるぐると回転を何度もした後、気弾が超巨大爆発を起こし憎悪に満ちた断末魔とともに気が消えた。
...かに思われた。
なんとフリーザはまだ生きていた。
フリーザは生きていたのだ。ぼろぼろの体になりながら、体のところどころの部位がなくなっていながらも。その恐ろしい執念と憎悪で首の皮一枚つながったのであった。
しかしその姿は宇宙の帝王と呼ばれる面影はなく、苦しみに悶え、怯え、震える野生の動物のようだった。
その姿を見たバーダックは、なんとも言えない感情にとらわれ、殺すのをためらった。
「なんてザマだ...宇宙の帝王がこんな姿になりやがってな。」
バーダックはめちゃくちゃになった感情を抑えるようにフリーザを煽った。
しかしそんなフリーザから聞こえたのはわずかなかすれ声だった。
「た...む....」
「あん?」
「頼む....助けて....助けてくれぇ.....」
フリーザのプライドを捨てた命乞いにバーダックは半ば呆れ、半ば怒りの表情になった。
「助けろだと...貴様....テメェは他人の命を容赦なく奪い弄ぶ上に自分が殺されそうになると...命乞いをするだと...!!!!」
バーダックの怒りを前にフリーザは壊れた機械のように先ほどの言葉を復唱することしかできなかった。
「頼む...助けてくれ....」
バーダックは怒りのあまり、血が垂れるほど右手を強く握りしめた。
「チッ...」
そしてバーダックは舌打ちをすると言い放った。
「俺たちサイヤ人が手となり足となり働いた貴様の本性がこんなクズ野郎だったとは.....俺は本当に自分が許せねぇぜ....!!!」
今までこんな奴に騙され働いていたことを思い返すとバーダックは心の底から腹が立った。
「貴様ごときに命を懸けてでも倒そうとしていたことが懐かしいぜ....」
「もう俺は二度と貴様の顔を見たくねぇ。失せろ。」
そういうとバーダックは目の前のゴミに手をかざすと気功波を放ち完全に跡形もなくし消滅させた。
その顔は何かを諦め、そしてまた何かを決心した戦士の顔をしていた。
バーダックは勝ったのだ。自分の中にいた弱い自分に。惑星ベジータを消滅させた元凶は惑星ベジータを滅ぼす前に、サイヤ人の手によって消え去った。
サイヤ人の仲間達の仇を討ち、帝王を打ち倒した彼は、ただ一人、何かを目にたぎらせながら。その宇宙から消えた。
後書き
やっほ~!!え?僕が誰だって?まあそんなこといいじゃない。...気になるって?
僕だよ!さっきの科学者!ちょっと事情があってこっちから話すんだけど、とりあえず、バーダック君は地球に送っておいたよ~多分ワサビ君の1週間後ぐらいに戻るんじゃないかな。いや~それにしてもバーダック君はかっこよかったね~
過去の敵と決着をつけて勝利するんだから。これほど熱いものはないね!
え?あの世界はどうしたのかって?
もちろん歴史改編のエネルギーをもらったよ。
あの世界は...バーダックがフリーザを倒す世界だろ?って?
確かにそうだけどどうせならもっと面白くしたいじゃん?あの世界はバーダック君がいない世界だよ。そしてなんとワサビ君のいた世界とつながっているよ。
だからあの世界では一日にしてクウラとフリーザがいなくなったってことになるね。
これで改変エネルギーはがっぽがっぽ...何に使おうかな...!!
おっと、もう時間みたい。僕は別の用事があるから。それじゃあまたね。
バイバ~イ!!
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