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私の 辛かった気持ちもわかってよー

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10-4

 2学期が始まって、登校するといつものように看板が [祝 近畿大会出場 個人戦 2年 山城山葵さん 杉田みく美さん 芦原麗香さん 1年 三宮香菜花さん]
[ダブルス 山城山葵、杉田みく美さん] 

 そして、恒例のように、校長室に呼ばれて

「あぁ 素晴らしかったよー 君達の活躍 山城さんは常連だなぁー テニス部のエースだね」と、やっぱり、握手を求められていた。

「そうだ テニスの部室の横に 増設して、シャワールームも作るよう、今度の理事会に提案することになった。理事長も賛成してくれているんだ 本学院の名前を売ってくれているんだからな どうぞ 本番でも暴れまくってください」と、私達を喜ばせるようなことを言ってくれた。

 だけど、私は校長室を出るとすぐさま手を洗いに行ったら

「山葵 なんなのー」と、付いてきたみく美が

「うん 璃々香先輩がこうしてたからー シャワールームのことは良いんだけどねぇー 乙女の手を握って来てさー 気持ち悪くない? でも、部室も広くしてくれるっていうから まぁ それっくらい いいかぁー」と、笑い飛ばしていたのだ。

 そして、開催地大阪での本番、私とみく美は個人戦の準決勝まで進んで、私の準決勝の相手は、中学の時最後に負けた相手、鳴尾浜女子学園の神宮美弥。中学2年までイギリスに居て、突然現われたかと思ったら、私から優勝をさらって、そして鳴尾浜女子にテニス留学した娘。

 試合は競り合いになったが、タイブレークの末6-8で負けてしまった。また、負けた。相手の早い展開について行けなかったのだ。そして、決勝まで進んだみく美が次の相手だったんだけど、みく美も同じく、接戦の末6-8で終わった。

 だけど、ダブルスの決勝の相手は同じく兵庫代表の純真女子学院のペァ。私とみく美は調子よく飛びまわって6-4で勝ってしまった。優勝だ!

「山葵 よくやったな! 去年のリベンヂだな 山葵は璃々香の暴言にもよく耐えて 成長した みく美も山葵を追って 努力して 君達はえらい ふたりで頂点だぞ」と、コーチは興奮気味の言葉を掛けてきて、その横で璃々香先輩は

「あらっ 私は暴言なんてちっとも言ってませんよー いつも山葵をかわいがってきたワ ねっ 山葵?」

「えっ えぇー そーですね 憎らしいぐらい可愛がってくれましよ」

 そして、登校したら、いつものように [祝 近畿大会ダブルス優勝 山城山葵、杉田みく美さん][祝 シングル準優勝 杉田みく美さん] の看板が。恒例になった校長室での報告。やっぱり、校長に手を握られて・・・。その後、体育館でテニス部の2年1年が壇上に登らされて、理事長からのお祝いと感謝の言葉というものを聞かされたのだ。

「山城山葵さんは去年の準優勝という悔しさを乗り越えての 今回の快挙です 改めて皆さんで褒めたたえましょう」と、司会の学生課課長が言ったもんだから、皆の拍手の中で私は顔が火照って真っ赤になってお辞儀をしていたのだ。

 だけど、私には、ふと 蘇ってきていたのだ 中学の時だけど あの時 皆から 変な眼で見られていた時の悔しさを でも こうやって 乗り越えてこれたのかも・・と もしかすると、岸森璃々香のお陰? 私がくじけそうになっても、見捨てないで、見守って? くれた。

 
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