目覚めてしまった夫婦
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第三章
だから今回はね」
「自分からなんだ」
「いいわよね」
夫の上着のボタンを一つずつ外しながら言った。
「今日は」
「自分からなんだ」
「いいかしら」
「いいよ、じゃあね」
「ええ、今回は私からね」
こう言ってだった。
葵は今回は自分から攻めた、そうしてその後で言うのだった。
「バニーガールって最高よね」
「そうだね、ただね」
「ただ?」
「バニーガールってじゃなくて」
座って服を着つつ自分の横で着替えている妻に話した。
「バニーガールも、だよね」
「あっ、そうね」
言われてだ、妻は笑って応えた。
「そうなるわね」
「そうだよね」
「他の服でも楽しんでるし」
「そうなるね」
「いや、こうしてね」
「コスプレしてるとね」
「お互い凄くね」
「くるね」
「ええ、ただ今度の旅行は」
妻は夫に少し残念そうに言った。
「残念だけれど」
「ああ、そうした服はないね」
「海と温泉の場所でね」
「そういうのはね」
どうしてもというのだ。
「ないね」
「それが残念ね」
「他のことを楽しもう」
夫は妻に言った。
「そうしよう」
「海に温泉ね」
「あと美味しいものもね」
「楽しむのは夜だけじゃないわね」
「そうだよ」
「そうね、楽しむことは一杯あるから」
葵も夫の言葉に頷いて応えた。
「それじゃあね」
「旅行ではそうしたものをね」
「楽しみましょう」
夫に応えた、そして二人で旅行に行ったが。
葵はビーチで水着になった、ごく普通の白ビキニだ。着替えてビーチに出ていた夫にその姿で前に出て尋ねた。
「どうかしら」
「似合ってるよ」
夫はスタイルを見せつける妻に笑顔で答えた。
「水着もね」
「そう、よかったの」
「それでね」
照れ臭そうに笑ってだ、夫はこうも言った。
「いいかな」
「いいかなってまさか」
「ここは人がいるから」
それでとも言うのだった。
「場所を変えて」
「人気のない場所で」
「そこに行って」
そうしてというのだ。
「そこでね」
「いつも通りなのね」
「どうかな」
「私の水着姿できたのね」
「そうなんだ」
その通りという返事だった。
「だからね」
「それでなのね」
「今からね」
「それじゃあ」
葵も拒まなかった、そしてだった。
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