FAIRY TAIL~水の滅竜魔導士~
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大魔闘演武開幕戦
前書き
AチームとBチームのメンバーの選出理由がわかる今回のお話。やっぱりシリルの扱いはこれに限りますね。
尻流「ふざけんなぁ!!」
シリルside
『皆さんお待たせいたしました!!いよいよ待ちに待った大魔闘演武!!開幕です!!』
聞き覚えのある声。その実況を聞いた観客たちの声がまだ入場していない俺たちの耳にも届いてくる。
『今年の大魔闘演武は魔水晶ビジョンを使い、全世界に中継されてます。参加する魔導士たちの熱き戦いを皆さんで見届けましょう!!』
あの二人の襲撃により多くの国が存亡の危機に陥った。だけど、生き残った人たちの力があったことでそのほとんどが復興を遂げることができている。ただ、もちろん元通りというわけではない。そのため、これからもその復興に努めていく勇気を与えるために、より多くの魔導士たちを各国に派遣したフィオーレ王国が行うこの大魔闘演武を放送するということなのだ。
『本日はお馴染み私チャパティと解説は元評議院のヤジマさん』
『ヨロスク』
この二人の実況と解説はお馴染みのため会場の観客たちも盛り上がり方がわかっている。そしてこの大魔闘演武では、この二人の他に必ず一人ゲストが実況席に来ている。
『そして本日のゲストは評議院のリュシーさんです!!』
『一緒に盛り上がろー!!』
評議院の紅一点であるリュシーさん。ソフィアの実の姉ということもありその美しい見た目を見たからか、先ほどまでよりもより一層歓声が大きくなっているように感じた。
「すごい歓声ですね」
「そりゃそうよ。世界中が注目する大会なんだから」
チャパティさんがリュシーさんへと大会の見所や注目ポイントを聞いている間、入場のためにゲートの前へと来ていた俺たちは前回参加した時とは比べ物にならないほどの観客たちの声にそんなことを話していた。
「いやぁ、緊張するねぇ」
「カナ、さすがに酒樽は持っていっちゃダメよ」
言葉と行動が伴っていないカナさんはすでにベロベロになっている。ミラさんが注意しているが、彼女の耳には届いていないような気もする。それがカナさんらしいといえばらしいんだけど。
「・・・」
これから大会本番とは思えないほどユルッとしている俺たちだったが、そんな中一人だけ一言も話さず俯いている少女がいた。それもすぐ真横に。
「どうしたの?ウェンディ」
見た感じ顔色が優れないようにも見えるウェンディ。どこか具合が悪いのかと問いかけてみたところ、彼女はまるでロボットのようなぎこちない動きでこちらを見る。
「こ・・・こんなに注目されているとは思ってなくて・・・」
前回を遥かに越える会場の熱気に飲まれている様子のウェンディ。でもそれも仕方ない。それくらいみんなこの大会を待ち望んでいたということだろうし。
「大丈夫だよ、ウェンディ。俺もいるから」
「うん。そうだね」
なおも震えている手で差し出した俺の手を握り締めるウェンディ。よほど不安なのか、握る手に入っている力が普段よりも強く感じる。
『会場の皆さんも待ちきれないようなので、早速今大会を盛り上げてくれる選手の皆さんに入場していただきましょう!!』
一通りの質問コーナーが終わったようでいよいよ俺たちの出番になる。俺とウェンディは手を繋いだまま視線を合わせ、頷いてみせる。
『まずは皆さんご存知このギルド!!フィオーレ最強の呼び声高い名前に反した荒くれ軍団!!妖精の尻尾!!』
まず入場しているのは俺たちとは別チームであるナツさんたちのチーム。でもやっぱりガジルさんがあっちで俺がBチームにいるのは納得できない。
『続きまして!!』
その声と共に俺たちの目の前の扉が開かれる。一つ息を吐いて気合いをいれると、俺たちはその扉から会場へと踏み出す。
『これぞ妖精!!美しく可憐な女性陣で構成された妖精の尻尾ガールズチーム!!』
「何!?」
入場した瞬間の紹介に思わず声が出た。会場を埋め尽くしている観客たちを見ると、俺たちを見て歓声を上げている中でも特に男どもの声が異様に大きい。その声に背筋が凍ったのは言うまでもない。
「このチーム分けってそういうことだったのね」
「華やかさを求めてきたわけね」
「ジュビア・・・すごく恥ずかしい・・・」
「こ・・・これはさすがに・・・」
予想外のチーム分けに全員の表情が固くなってしまう。ただ、この人たちはそれで済むかもしれない。しかし俺にとってこれは許しがたい事態だ。
「俺はおとーーー」
「シリル、今はやめておこう」
ぶちギレて叫ぼうとしたところ、ウェンディに口を塞がれてしまう。会場が盛り上がっているからということで今回は水を差さない方がいいとの判断らしいけど・・・納得できない。
「それならエルザさんでよかったんじゃ・・・」
エルザさんと俺を入れ替えておけば文句なくガールズチームが出来上がっていたはずなのに、それをしなかった運営に悪意を感じずにはいられない。誰だこれ考えた奴、見つけたら絶対ぶん殴ってやる・・・!!
『続きましてこちらは元王者!!あらゆる相手に襲いかかる虎!!剣咬の虎!!』
納得できないながらも今はこの入場が終わるのを待つしかない。次に入場してきたのは剣咬の虎。こちらはミネルバさん、ユキノさん、オルガさんルーファスさん、ローグさん、グラシアンさんの六人となっている。
「久しぶりだな、ミネルバ」
「あぁ。この時を楽しみにしていたぞ、エルザ」
入場してすぐさま互いを意識し合っているエルザさんとミネルバさん。離れたところではラクサスさんとオルガさんも、言葉こそ交わしていないものも視線を交わらせ笑みを浮かべていた。
「ぷぷっ」
すると、一人の嫌な視線に気がつく。その主はグラシアンさんなのだが、彼は俺の顔を見るや否やわざとらしく含み笑いを見せていた。
「なんですか?」
「これはこれは。いつの間にか女の子になったシリルちゃんじゃないですか」
「ぶっ殺す!!」
「シリル!!ダメ!!」
明らかな挑発に殴りかかろうとしたがウェンディに止められてしまう。しかも彼の隣にいるローグさんがこちらを極力見ないようにしているのがなお腹立だしい。
『続いてはこのギルド!!爆発力なら他にひけを取らない優勝候補の一角!!蛇姫の鱗!!』
冷静沈着な表情で先頭を歩いてくるリオンさん。その後ろから姿を現したレオン、シェリア、サクラの三人は彼とは真逆に歓声に答えながら入場してくる。トビーさんも彼ら同様の反応を見せているが、ユウカさんだけは気恥ずかしそうに軽く手を振る程度に留まっていた。
「なんだか盛り上がってるね、ウェンディ」
「あはは。そうだね」
睨み合っている俺とグラシアンさんを止めているウェンディに対して能天気なのか、シェリアはそんなことを言っている。一緒に止めてほしいと考えているウェンディは乾いた笑いを見せていたが、彼女にそれは届いていないようだ。
「師匠!!お久しぶりです!!」
「サクラ、元気そうだね」
満面の笑みで近付いてきたのはサクラ。少し見ないうちに背が伸びているようで、ちょっと身長差が縮まっていることに顔がひきつるが、彼女はそんなことお構い無しだった。
「この大会で師匠と戦えると思うと楽しみなんです!!」
「そっか。戦えるといいね」
気合い十分なサクラだけど、大魔闘演武は運に影響されるところがあるから戦えるかは未知数なんだよね。それでもこうやって言ってくれるところか彼女の可愛いところだったりする。
「私が勝ったらリボンで装飾してソフィアさんにプレゼントしますね!!」
「うん。もう戦いたくなくなったかな」
しれっととんでもないことを言ってのけたサクラから思わず距離を取る。ハロウィンの時といいこいつはなんてことを言い出すんだろう、恐怖で顔を直視できない。
「・・・」
そんな俺たちのやり取りを離れたところで見ていたのはレオン。なぜか近付いてすら来ない彼に疑問を感じたのでそれを投げ掛けてみる。
「どうしたの?レオン」
何ゆえに距離を置いているのかわからなかったが、彼はわずかに口角を上げたかと思うと、一言だけ告げてきた。
「俺たちなら、言葉を交わす必要もないだろ」
昨日もさんざん話したからなのか、はたまたすぐにでも戦えるからと言うことだからなのかはわからない。しかし、彼の真意はわからないけど言いたいことは伝わった。
「あぁ。その時に語ろうか」
「うん」
「「拳でね」」
「「「物騒じゃん!!」」」
横から少女三人の突っ込みが入ったけど気にしない。そこだけ聞いたらなんかヤバい会話みたいだけど、そういう意味じゃないから。ライバルとしてのあいさつだから。
『続きまして、こちらは女性だけのギルド!!華やかさと美しさを兼ね備えた人魚の踵!!』
先ほどの俺たちの入場の時のように男性陣の声がより一層大きくなる。歓声に答えながらの行進をしてくる女性たち・・・と油断していた俺がバカだった。
「突撃!!」
開会式とは思えないほどの速度で駆け出してきた銀髪の少女。これにはさすがに驚きのあまり、反射的に回避してしまう。
「キャッチ」
「きゃっ!?」
俺とウェンディの間を通るようにして、真後ろにいたルーシィさんへと飛び付いたソフィア。難を逃れホッとした反面、申し訳ないことをした罪悪感に押し潰されそうになる。
「シリルとウェンディ逃がしちゃったけど・・・これはこれでよし!!」
「良くないわよ!!」
たぶんターゲットなんて最初からあってないようなものだったんだろうし、ソフィアがルーシィさんをまさぐっているおかげでしばしの安堵が手に入ってホッと一安心。ただ、いつ襲いかかってくるかわからないため、俺はグレイさん、ウェンディはナツさん、シェリアはレオンの後ろへと隠れていた。
「やめないか、ソフィア」
「キャフッ」
彼女の行動に沸き上がる会場・・・主に男性陣だけど、遅れてやってきたカグラさんにチョップを入れられ、彼女は引きずられながら距離を取られていた。
『つ・・・続きまして!!こちらは人気ナンバーワンギルド!!青い天馬!!』
入場とはかけ離れたソフィアの行動で実況席も呆気に取られていたようだが気にせず次のギルドの紹介に移る。今度は先ほどとは一転し女性陣の黄色い声援が飛んでいたが、次第にそれがざわめきへと変化していく。
「あれ?」
「一夜がいねぇじゃねぇか」
入場しているのはヒビキさん、イヴさん、レンさん、タクトさん、ジェニーさんに結婚したことでギルドを移籍したシェリーさんの六人。そう、ギルドのエースである一夜さんが参加していないのだ。
「一夜はどうした?」
「今回は僕たちに任せてくれるんだってさ」
「そう。だからいつも以上に頑張らないとね」
「別に・・・一夜さんがいなきゃダメなわけじゃないからな」
エルザさんの問いにいつもの感じで彼女を囲みながら答えるトライメンズの皆さん。どうやらリザーブ枠には登録しているけど、基本的にはタクトさんたちに任せることでギルドの成長を図ろうという考えらしい。
『続きましてこちらは暴れまわる猟犬!!四つ首の猟犬!!』
招待枠最後のギルドはお馴染みの四つ首の猟犬。メンバーは前回と変わってないけど、今回は最初からバッカスさんの姿があることから、一切の手抜きはないということだろう。
「やっぱりこのギルドたちは外さねぇよな」
「おおよ!!燃えてきたぞ!!」
顔馴染みではあるが全員が成長しているのは見ただけでわかる。もし同じカードになってももしかしたら違った結果になるかもしれない。それが楽しみではあるが、まだ気になるものが一つだけある。
「最後はいよいよ・・・」
「予選通過ギルドってわけか」
最後の一枠は予選会を通過してきた選ばれたギルド。シェリアたちの話が本当なら相当な実力者らしいけど、果たしてどんな奴らなんだ?
『皆さんお待たせしました!!最後は参加数94ギルドの予選会を見事に突破したギルドの入場です!!』
全員の視線が最後のゲートへと注がれる。予選会で圧勝してここまで勝ち進んできたという情報を多くの人が持っているからだろうか、注目度の高さでいえば俺たちよりもあるかもしれない。
『新設一年目で見事大魔闘演武進出を果たしたのは彼ら!!今大会のダークホースとなれるのか!?狩猟豹の頭!!』
第三者side
煙から現れる六人人影。全員がそれに注視していたが、違和感を覚えた。三人ずつの二列で行進してくる彼ら。先頭のうち真ん中を歩くのは胸元が大きく開いた和を思わせる服装の女性。その隣にいる女性も露出の多い格好をしており、すぐに性別を把握できる。
先頭のもう一人は仮面で顔を隠しているにも関わらずなおも顔を伏せている男性と思われる人物。その人物を見て、ギルダーツの眉がピクリと動いたが、彼はそれを誰にも悟らせないように冷静さを保っている。
後方の三人のうち、真ん中の男はとにかく大きかった。身長も横も大きく、身体が鍛え上げられているのが誰の目から見てもわかる。
向かって右側にいる人物も男と思われるが、今度は一転して細い。背も平均的なものであるが、服を着ていると虚弱に見えるほどの細い身体をしている。
そして最後の一人。その男も背は比較的高かった。線は隣の大男のせいで霞んでしまうが、決して細身なわけではない。必要なだけの筋肉をつけていることが、服の上からでも容易に想像できる。
「なんで全員仮面をつけてやがるんだ?」
「ギルドマークが入ってるからじゃねぇのか?」
彼らが感じた違和感、それは全員が素顔が見えない状態にあること。もちろん仮面を被っている魔導士などもいるため特段問題はないが、全員ともなると不自然に感じずにはいられない。
「・・・」
「ミネルバ様?大丈夫ですか?」
「・・・あぁ。大丈夫だ」
入場してきた一人の人物を見て顔が青くなっているミネルバ。前日にも同じ反応を見せていた彼女に虎の全員が心配そうな顔を見せるが、彼女は明らかに作られた笑いを見せながら答えていた。
「今日はやけに静かだな」
「・・・フッ」
ギルダーツも見覚えのある一人に声をかけるが、その人物は小さく笑うだけで何も答えない。ただ彼は一瞬どこかに視線を向けたかと思うと、再び顔を俯かせてしまった。
「なぁ、グレイ」
「なんだよ」
「・・・いや、やっぱいいや」
「なんだよ!!」
ナツは最後に入ってきた彼らの方を見て何かを感じたようだが、それに確信が持てなかったからか話題を打ち切る。話を振られてのに突然切られてしまったグレイは不満げな表情を見せていたが。
「全く・・・早く終わらせてほしいものだ」
「そう言うな。ここからすぐに競技パートに入るはずだ。その間にバレるはずがない」
「だといいーーー」
後方にいる背の高い二人の男は他者に聞こえないような小さな声でこの場から早く離れたいといった感情を漏らしていたが、腕組みをしていた男は自身に向けられる視線に気付きそちらを見る。彼のすぐ真横には、自身の方を一切視線を反らすことなく見つめ続けている水色の髪をした少年がいた。
「・・・なんだ?」
「何してーーー」
その視線を交わそうにも明らかに何かに気が付いている彼を無視することはできず問いかける人物。それに少年は何食わぬ顔で問いかけようとしたが、仮面をわずかにずらしたことではっきりと見えた彼の目に飲み込まれ、それ以上何も言えなくなる。
「・・・」クイクイ
「なんだ?」
しかしそれでも諦めきれなかった少年は男の服の裾を引っ張り彼を屈ませると、耳元で何かを囁く。それを受け、男は大きなため息をついたかと思うと、少年を肩車し始めた。
「これでいいのか?」
「うん!!いい!!すごくいい!!」
得体の知れない魔導士たちの集団。そのはずなのにそのうちの一人と戯れている少年に緊張感に包まれていた参加者たちの雰囲気が和らぐ。特に彼の所属するギルドの面々は顔を見合せていた。
「シリルの知り合いか?」
「昔のダチとか?」
「いや・・・あんな人記憶にないですけど・・・」
エルザとラクサスに問いかけられたウェンディだったが、彼女もその人物に心当たりがないようで首をかしげている。全員がその男の正体がわからずにざわついている中、一人の青年だけは、その人物をじっと見つめ、その視線に気が付いた男もまた、彼に視線を向けた。
「「・・・」」
互いに言葉は交わさなかった。しかしそれでも二人は相手が何を言いたいのかわかっているようで、口角を上げ視線を切る。
『これにて全てのギルドが出揃いました!!それでは早速!!大魔闘演武一日目!!開幕です!!』
チャパティのその声と共に地面から競り上がってくる魔水晶ビジョン。そこには日程と思われる文字が並んでいた。
「やっぱり前回と同じで競技パートとバトルパートに別れているんですね」
「でも、今回のバトルパートは運営側のマッチングじゃないから、その点は少しやりやすいわね」
初めて大魔闘演武を見る他国の視聴者たちに分かりやすく説明しているチャパティの説明には耳も傾けずルールブックで確認した内容を再確認している面々。前回と似ているところが多いため動揺は少なかった。だが、いきなり予想外の展開にそれは崩れることとなる。
シリルside
『一日目の競技パートは生存!!まずはルール説明を行っていきます』
「「「「「へ?」」」」」
競技名が発表された直後の言葉に参加者全員が顔を見合せる。ルール説明?前回は競技名だけが発表されて参加者の選出になっていたのに、まさかの先にルール説明が行われることに困惑してしまう。
『ルールは簡単!!これから各ギルドの代表者一名にはこのフィールド内でバトルを行っていただきます!!』
「バトルだと?」
競技パートなのに内容はバトル。いきなりの矛盾にますます困惑してしまうが、どうやらそれも折り込み済みのようだ。
『ただし!!ただのバトルではありません。参加者が地面に着いていて足裏のみ。手や膝などがついては行けません』
「着いたらどうなるの?」
マトー君の姿がないためルール説明をチャパティさんがやってくれているため、リズリーさんがそんな彼へと問いかけていた。それを受けた彼が指示を出すと、魔水晶ビジョンにタイマーが表示される。
『手などをついてすぐに敗戦とはなりません。代表者には制限時間30分の間にそれぞれに与えられた時間、"120秒"を消化していただきます。通常の立っている状態でこちらのタイマーはカウントダウンされていきますが、手がつくなど体勢が崩れた場合はタイマーが停止、再び立ち上がるまで動き出しません』
わかりやすい見本としてカウントダウンしていくタイマーが他者からの攻撃を受けて倒れた際に停止する映像が流れる。しばらくして起き上がるとまたタイマーは動き出すが、その間に他の参加者との差が開いてしまうのが映像には映し出されていた。
「なるほど、つまりその数字を誰よりも先に0にした奴の勝ちってことだな?」
『そういうことです!!皆さんには他のギルドの参加者のタイマーのカウントを止めるべく戦いながら、自身のタイマーをいち早く消化していただきますが、それだけではありません』
まだ何かあるのかと耳を傾けていると、俺たちがいるフィールドにいくつかの円が現れる。これが追加のルールということか?
『そのフィールドには7つの魔法陣があります!!そこにいる間は他の参加者の攻撃は一切受け付けません。が、タイマーも同時に動きませんのでご了承ください』
ひたすらバトルをしているとどこかのタイミングで体力が切れたり大きな怪我で一時的に動けなくなる場合がある。その際にこの円の中に入れば一時的に難を逃れることができるわけか。
「この円にはずっと入れるの?」
『いいえ。この魔法陣の使用時間は最大30秒。さらに一度使った魔法陣は使用時間が何秒であれ消滅します。また、同じ魔法陣に同時に二人以上入ることはできません。30秒以上出てこない場合、二人以上同時に入った場合、どちらの場合でもその選手には電気ショックが与えられるためご注意ください」
本当に一時的な退避場所って言うことなのか。しかも魔法陣は全部で7つしかないということは、参加ギルドの数からしてどこか一つのギルドは絶対に使用ができない。いや、使用しないで最短で消化することが一番いいんだけどさ。
『ルールは以上です。何かご質問はありますか?』
おおまかなルールは理解できたため俺たちは何も言わない。他のギルドも同様なようで、質問の声は入らなかった。
『それでは各ギルド参加する選手を一人選んでください!!』
チャパティさんのその声を聞いて各ギルドが選手を選ぶためへと集まるのだった。
後書き
いかがだったでしょうか。
選手の選出までやろうと思ってましたが思ったより長引きそうなのでここで切ることにします。
そしてマトー君を投下するタイミングを逃すという凡ミス・・・まぁ知らないうちに出しておけばいいでしょう←投げやり
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