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ハッピークローバー

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第八十二話 阪神圧勝その四

「そればかりで」
「学ばなくて」
「助っ人だって」
 彼等の獲得もというのだ。
「まともなスカウトいないからね」
「海外担当の」
「そちらのことも怠ってきたしね」
 しっかりしたスカウトの育成もというのだ。
「それで情報網ね」
「ないから」
「助っ人も変な人ばかりで」
「打たないしエラーばかりの助っ人とか」
「ピッチャーだと一瞬で炎上する」
 そうしたというのだ。
「碌でもない人ばかりだよ」
「来るのね」
「ドラフトの方も駄目だし」
 尚巨人はかつて、昭和五十年代は結構以上にドラフトで有望な選手を獲得していた。そのうえで戦力にしていた。
「碌でもない人ばかりね」
「獲得してるわね」
「そちらのスカウトも」
「いないのね」
「そうだよ、全くね」
 それこそというのだ。
「駄目過ぎて」
「まともな選手の獲得も出来てない」
「そこで育成も駄目だから」
「余計に弱くなるのね」
「そうだよ、だからこんなね」
「最弱チームなのね」
「一ヶ月に五勝出来たら凄い様な」
 そうしたというのだ。
「そんなチームになったんだよ」
「他チームから選手掠め取ることばかり考えて」
「他のことを一切怠ったからね」
「今の巨人があるのね」
「そうだよ、もうこのチームはね」
 達川は阪神の連打で三点取られマウンドを降りる巨人のピッチャーのすごすことした背中を観つつ一華に話した。
「駄目だよ」
「これからもずっとよね」
「うん、それで巨人が弱いと」
 達川は明るい笑顔で言った。
「最高だよね」
「ええ、巨人が弱いと」 
 一華も笑顔で言った。
「気分がいいわね」
「巨人の負ける姿ってね」
「絵になるのよね」
「無様な巨人恰好悪い巨人」 
 笑顔でだ、達川はこうも言った。
「情けない巨人恥ずかしい巨人」
「いいわよね」
「最高だよ」
「巨人が負けたらご飯が美味しいわ」
「そうそう、こんないいことはないよ」
「元気が出るのよね」
「巨人は悪いことばかりしてるからね」
 こうしたチームだからだというのだ。
「昔からずっとそうで」
「今もね」
「選手もフロントもね」
「スキャンダルとかトラブルとか」
「もうゴシップのコーナーになっているから」
 巨人関係者が常に問題を起こすからである、だから誰も巨人が球界の紳士とは思わなくなっている。
「そんなチームが負けたら」
「皆気持ちいいわね」
「巨人が負けるなら」
 それならというのだ。
「こんないいことはないよ」
「観て元気が出来る」
「そうよね、しかし本当に打たれるわね」
 一華は交代したピッチャーも打たれたのを観て言った。 
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