Fate/WizarDragonknight
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ライダー図鑑
マゼンタと銀の色合い。そして何より、その外見。
思わず二度見してしまいそうになるが、ディケイドがライドブッカーを撫でる音で、ウィザードは正気を取り戻す。
「はあっ!」
彼が振り下ろしてきたライドブッカーをウィザーソードガンで受け流し、ウィザードは怒鳴った。
「おい、アンタホントに意識ないのか!?」
ウィザードの叫びに、ディケイドは答えない。
何度も振り下ろされるライドブッカーを受けながら、ウィザードもまた反撃する。
だが、ディケイドはいとも簡単に防御し、やがて蹴りでウィザードを蹴り飛ばす。
バランスを建て直し、着地したウィザード。ディケイドはその間にも、龍騎へ斬りかかっている。
『ソードベント』
一方、龍騎は咄嗟に召喚したドラグセイバーでそれを防御。
ディケイドはそれでも容赦なく斬撃を加えていくが、龍騎はその全てを防御していく。
「おい! 返事ぐらいしろよ!」
龍騎も叫ぶが、ディケイドに反応はない。
「このっ!」
振り下ろされたライドブッカーをドラグセイバーで受け止めた龍騎は、急いで別のカードを取り出し、ドラグバイザーに装填。
『ストライクベント』
ドラグセイバーを左手に持ち替え、空いた右手に装着されるドラグレッダーの頭部型の籠手。
その口部分に炎を宿らせながら、龍騎はそれをディケイドの胸元に強打した。
寸でのところで、左腕で防御したものの、その打撃力は高く、ディケイドを一気に龍騎から引き離す。
「ありがとう真司!」
ウィザードは防御から体勢を戻す途中のディケイドへ、すぐさまウィザーソードガンで反撃。
だが、すぐさまディケイドはウィザーソードガンを蹴り上げた。宙を舞うウィザーソードガン。だが、すぐさまジャンプした龍騎がそれをキャッチ。そのまま着地と同時に、ドラグセイバーと合わせた二本でディケイドを斬りつけた。
火花が散ったが、それでもディケイドはさして大きなダメージも無さそうで、慣れた手つきでベルトの紋章、その一つをタッチする。
『ブレイド ファイナルカメンライド キング』
すると、ディケイドの胸に並ぶカードが、全てめくられ、同じカードに変わっていく。
そして、そのカードに描かれている、さらに雄大な姿が、ディケイドの隣にも出現した。
「何か、出てきた……」
それは、不死の怪物になってでも、親友の暴走を止めた戦士、仮面ライダー剣 黄金の王。
カテゴリーキングと呼ばれる怪物の力と、全ての不死の怪物たちをその身に融合させたもの。その力は凄まじく、変身者を人間から不死身の怪物にしてしまうほどだった。
「あれは……仮面ライダーか……?」
「真司、来るぞ!」
ウィザードは叫ぶ。
龍騎は頷き、カードを装填。
『ガードベント』
両腕にドラグシールドを構え、来る攻撃に備える。
『ファイナルアタックライド ブ ブ ブ ブレイド』
ブレイドの動きは、完全にディケイドのそれをトレースしている。
カードを右腰のディケイドライバー本体に装填し、そのまま作動させる。
両者は同じように胸元でそれぞれの剣を構える。すると、二人と龍騎の間に、五枚のカード型のエネルギーが現れた。
トランプカードのエネルギー両断するように、ディケイドとブレイドはそれぞれ剣を振り下ろす。龍騎へ進んでいく斬撃は、カードのエネルギーを通過するごとに威力をまし、それはドラグシールドを破壊。そのまま、龍騎を切り裂き、爆炎に包んでいく。
「ぐああああああああああああっ!」
「真司!」
爆炎の中から、真司の姿で投げ出されている。
ウィザードは真司を助け起こそうとするが、すでにディケイドは次の手を打っていた。
『響鬼 ファイナルカメンライド アームド』
同じように、ディケイドは別の紋章をタッチする。
すると、ブレイドは消失し、代わりに深紅の鬼が出現した。同時に彼の身体に付いているカードもまた深紅の鬼に差し変わっていく。
出現した鬼、響鬼。肉体を極限まで鍛えることで、古来より伝わる大自然の驚異とさえ渡り合うことを許された鬼が、より自らの体を鍛え抜くことで装甲声刃によって最強の力を得た姿、アームド響鬼。
「問答無用か……!」
『キャモナスラッシュシェイクハンド キャモナスラッシュシェイクハンド』
開始する詠唱。
ウィザードはそのルビーの指輪をウィザーソードガンに当てる。
すると、ルビーの指輪から伝う魔法が、ウィザーソードガン本体の刃に移っていく。
『フレイム スラッシュストライク ヒーヒーヒーヒー』
幾度となくウィザードの戦況を覆してきた、ウィザードの主力技の一つ。
十字を描いた炎の刃は、そのままディケイドと響鬼へ向かっていく。
だが。
『ファイナルアタックライド ヒ ヒ ヒ 響鬼』
ディケイドが間髪入れずに、響鬼のクレストマークが描かれた腰のディケイドライバーに装填される。
すると、ウィザードの火以上の炎が、鬼の刃に宿る。ディケイドの剣にも同等の炎が走り、やがて二つの刃は、全く同じ動きでウィザードへ振るわれる。
ウィザードは一本。ディケイドは二本。
質と量、ともにディケイドが上。
あっさりとウィザードのスラッシュストライクは切り消され、その刃はウィザードへも降り注がれていく。
火の魔法よりも強い質量を持つ刃が、そのままウィザードの体を徹底的に切り刻んでいく。ルビーの装甲は剥がれ、生身となったハルトは地面を転がった。
「がっ……!」
全身が痛みで鈍る。
消滅していく響鬼に目をやることなく、ディケイドはハルトたちへ近づいてきた。
それこそが、世界の破壊者、ディケイド。銀色のディケイドは、ハルトの首元にライドブッカーの刃先を突き付けた。
「その意気じゃディケイド! これでトドメじゃ」
その声は、ディケイドの背後から聞こえてくる。
いつの間にやって来たのだろうか。黒いローブに身を包んだアマダムが、興奮気味に歩んできていた。
あれはどこの言葉だ、とハルトが思うのも束の間。
ディケイドは一瞬だけ横目でアマダムを見て、ライドブッカーからカードを取り出す。
ディケイドのクレストマークが描かれたそれ。それを見た途端、ハルトは息を呑んだ。
『ファイナルアタックライド ディ ディ ディ ディケイド』
「……っ!」
強く息を吸い、はっきりと目を開けるハルト。
ライドブッカーに宿る、十枚のカードエネルギー。それが切れ味を増し、生身のハルトに振り下ろされる___直前でディケイドは足を翻し、振り下ろされた剣。その刃の軌跡はまっすぐ、観戦を決め込んでいたアマダムへ飛んで行く。
アマダムは右手を真っすぐ伸ばす。それはディケイドの刃に対して十分な防御となり、刃は爆発とともに霧散する。
「何の真似じゃ? ディケイド……」
ゆっくりと手を下ろしながら、アマダムは問いただす。
ディケイドは肩を回しながら答えた。
「最初からお前の洗脳なんて受けていない。この聖杯戦争の運営側を、少し見てみたかっただけだ」
「何じゃ? サーヴァントが、令呪に逆らうんか!」
「生憎、ディケイドの力はそんなものに縛られることはない。それに俺は、もとより召喚されたサーヴァントでもないしな」
ディケイドは首を回した。
「お前らの聖杯が勝手に俺の手に令呪を刻んだからこうなった。結果、俺がプリテンダーのサーヴァント兼マスターなったが」
『ファイナルカメンライド クウガ アルティメット』
言いながら、ディケイドはケータッチの別の紋章を押す。
すると、ディケイドの胸に付くカードがめくられ、カードと同じ戦士の幻影が出現する。
黒の凄まじき戦士、クウガ アルティメットフォーム。
黒い体には、金色の血管が全身に走っており、凶悪そうな外見。まさに太陽を覆い隠す、究極の闇を思わせる体だが、皆の笑顔と青空を守るために、涙を隠すために被った仮面の目だけは、理性を保っているかのように、人間の温かい血と同じ色をしていた。
「もう十分だろう? 借りは返すぜ」
『ファイナルアタックライド ク ク ク クウガ』
ディケイドはそのまま、右腰のディケイドライバーにカードを装填する。
すると、ディケイドとクウガの右手に、赤く燃え上がる炎が発生する。いや、炎などというありふれた自然現象ではない。それは、分子そのものの構成を変形させ、結果として燃焼が残る、プラズマ化の現象である。
「いけん!」
クウガの危険性を察知したアマダム。
だが、そんな彼の抵抗を許すはずもなく、クウガの自然着火能力は、アマダムごと周囲の荒野に炎を巻き起こす。
爆発に次ぐ爆発。やがてそれは、ハルトたちの視界一面を焼き尽くし、焼土としていった。
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