ソードアート・オンライン 〜槍剣使いの能力共有〜
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ALO編ーフェアリィ・ダンス編ー
18.ルグルー回路
前書き
第18話投稿!!!
世界樹へと着々と近づくキリト、シュウ、リーファ.........
だが、そこに立ちはだかる........赤い軍団!!
アルヴヘイム・中立域・ルグール回路 二〇二五年一月二十一日
灯り一つない暗い洞窟の中にカタコトの呪文が響く。
「おおー、視界が明るくなった。暗視能力付加魔法か。スプリガンも捨てたもんじゃないわね」
「あっ、その言い方なんかきずつく」
「いいじゃねぇか、俺なんかほとんど魔法使えないんだぞ」
闇妖精のインプの魔法は主に暗中飛行や暗視魔法だ。だが、俺の魔力が少なくすぎるのか、SAOのデータのバグなのかわからないが、俺が使える魔法はリストを見ても2つしかない。
「でも、使える魔法ぐらいは暗記しといた方がいいわよ。得意なのは幻惑魔法くらいだけど」
「.......幻惑?」
「幻を見せるの。実戦ではあんま使えないけどね。まぁ、スプリガンのしょぼい魔法が生死をわける状況だってないとも限らないし」
「.......うわー、さらにきずつく」
キリトはその後も機械のような棒読みで呪文のリストを見ながら唱える。
「うええーと.......アール・デナ・レ.........レイ......」
「機械的の暗記するんじゃなくて、力の言葉の意味を覚えて魔法の効果と関連を付けて暗記するのよ」
リーファの言葉にキリトは、深いため息とともにがっくりとうな垂れる。
「まさかゲームの中で英語の勉強みたいな真似事するとは......」
「言っとくけど上級スペルなんて20ワードくらいあるんだからね」
「うへぇ.......。俺もうピュアファイターでいいよ......」
心の底からこの時、魔法を使えなくて良かったと思った。
「泣き言言わない!」
ルルル、という電話のような呼び出し音がなる。
「あ、メッセージ入った。ごめん、ちょっと待って」
「ああ」
立ち止まり胸の前に浮かぶメッセージアイコンを押す。
「また、レコンか?どうせ対したことじゃないんだろうけど」
リーファがレコンからのメッセージを読み上げる。
「やっぱり、思ったとおりだった。気をつけて、エス。何だこりゃ?エス.......さ......し......す......うーん」
「どうかしたのか?」
リーファの言葉が気になりメッセージを見ようと近づくとキリトの胸ポケットからユイが顔を出す。
「パパ、接近する反応があります」
「モンスターか?」
「いえ、プレーヤーです。多いです.........十二人」
「じゅうに.......!?」
リーファが大きな声を出す。しかし、十二人ってSAOなら小さなギルド一つが襲ってきたようなものだ。
「ちょっと嫌な予感がするの。隠れてやり過ごそう」
「でも.......どこに?」
「ま、そこはオマカセよん」
リーファが俺とキリトを手近な窪みに引っ張ると、左手を上げてスペル詠唱し始める。すると目の前に壁が出現する。リーファがすぐ傍らから小声で囁いた。
「喋るときは最低のボリュームでね。あんまり大きい声出すと魔法が解けちゃうから」
「了解」
「おう」
「もうすぐ視界に入ります」
もうすぐでプレーヤーが来ることをユイが知らせる。
(何だこの違和感は?誰かに見られてるような)
違和感の感じる方向.......ひょいと首を伸ばし、不明な集団が接近してくる方向を睨む。
「あれは.......何だ?」
「まだ見えてないでしょ?」
「プレーヤーじゃない..........コウモリ........赤い.......小さな......」
俺が見ている方向に目を凝らす、リーファ。すると何かに気づいたのか、急に外へと飛び出す。
「お、おい、どういたんだよ」
「あれは、高位魔法のトレーシング・サーチャーよ!!潰さないと!!」
両手を前に掲げ、スペル詠唱。エメラルド色の光る矢が無数に発射され、赤い影目掛けて殺到していく。コウモリに矢が直撃し消える。
「走るよ、シュウくん、キリトくん!!」
リーファが急に走り出す。それを追って俺たちも走り出す。
「え.......また隠れるのはダメなのか?」
「トレーサーを潰したのは敵にもばれてる。とても誤魔化しきれないよ。それにさっきのは火属性の使い魔なの。ってことは今、接近してるパーティーは......」
「また、サラマンダーか!」
暗い洞窟を抜けると湖が周りを囲む橋の上につく。
「でも、どうしてこんなところにサラマンダーの集団が?」
「お、湖だ」
後方を確認するがサラマンダーは追ってこない。
「どうやら逃げられそうだな」
「油断して落っこちないでよ」
すると頭上を二本の光が高速で通過し、向おうとしている扉の前に巨大な壁が出現する。
「やば!」
背中の片手剣を抜き、壁に向かって斬りつける。だが、壁は硬く、一瞬で弾かれる。キリトも壁を切りつけるが同様に弾かれる。
「.........無駄よ」
「もっと早く言ってくれよ」
「反動がいてぇな」
「君たちがせっかちすぎるんだよ。これは土魔法の障壁だから物理攻撃じゃ破れない」
「湖に飛び込むのはあり?」
「なし。ここには超高レベルの水竜型モンスターが住んでるらしいわ。ウンディーネの援護なしで水中戦するのは自殺行為よ」
「それじゃあ......」
「......戦うしかない訳か」
俺とキリトは武器をサラマンダーが向かってくる方向に向ける。
「それしかないんだけど。.......ちょっとやばいかもよ。サラマンダーがこんな高位な土魔法を使えるってことは、よっぽど手練れのメイジが混ざってるんだわ.......」
リーファも剣を抜く。
「リーファ、君の剣の腕を信用してないわけじゃないんだけど........ここはサポートに回ってもらえないか」
「え?」
「俺たちの後ろで回復役に徹しってほしいんだ。その方が俺とシュウも思いっきり戦えるし」
リーファが後ろに飛び下がる。
前方から赤い鎧を着たサラマンダー軍団が現れ、三人の盾を持った兵士が接近してくる。
「いくぞ、キリト!」
「おう!」
俺とキリトは一斉に駆ける。キリトが大剣を振るい、敵を斬り裂く。だが、三人の盾がキリトの大剣を弾く。
「スイッチ!!」
「うりゃぁぁぁ!!」
中央の盾を持つプレーヤーに片手剣を肩に担ぎ、そこから振り下ろすように前に突き出し突進する。
片手剣基本突進技《レイジスパイク》
やはりシステムアシストがないため威力はそこまで出ない。
すると盾を持つサラマンダーの後ろに三人のサラマンダーがスペルを唱える。すると盾を持つ三人のサラマンダーのHPが回復。さらに後ろにいる残りのプレーヤーがスペルを唱える。
攻撃魔法.......炎の球が俺とキリト降り注ぐ。
(クッソ!!)
HPを半分ぐらい削られた。だが、体が光、HPが回復しする。後方のリーファが回復させてくれたおかげで体が軽くなる。
再び俺とキリトは駆ける。再びキリトが弾き、俺がスイッチ。だが、盾の三人がガード、盾を持つ三人のサラマンダー回復、その後ろから炎の球が降り注ぎ、リーファが俺たちを回復させるの繰り返しだ。
「もういいよ、シュウくん、キリトくん!殺られたらまた何時間か飛べば済むことじゃない!もう諦めようよ!」
リーファの声に俺とキリトは同時振り向き答える。
「「嫌だ!!」」
リーファが驚いた顔をする。
「俺が生きてる間は、パーティーメンバーを殺させやしない。それだけは絶対嫌だ」
「あんな思いはもう二度としたくねぇんだよ!」
目の前の炎が消えた瞬間、俺とキリトは吠えた。
「「うおおおおぉぉぉ!!!」」
再び駆ける。キリトが中央に盾を構えるサラマンダーの盾を掴み無理やりこじ開ける。
「クソッ!何なんだこいつ」
「キリト!!スイッチ!!」
俺の声にキリトが後ろに飛び下がる。
(ミサキ、力を借りるぞ!!)
片手剣を背負い直し、背負われてる槍を抜き、右手で持ちで持ち後ろへと引く。そして、後方のスペルを唱えるサラマンダーの集団に向け槍を投げる。
槍投撃技《レイヴァテイン》
槍が右端にいた2人のサラマンダーを貫く。
残りサラマンダーは少し動揺したが詠唱をやめることはない。後ろではリーファがスペルを唱えている。
火の球は俺を攻撃するのではなく、全てキリトに飛んでいく。
キリトに直撃!!!
「キリト!!!」
キリトの周りを囲んでいた炎が渦を巻き起こり、そこから黒い影が出現。その姿は巨大で優にサラマンダーの前衛の二、三倍の高さはある。
「キリトくん........なの.......?」
「........マジかよ」
黒い影.......頭部は山羊のようで、後頭部から湾曲した太い角、丸い眼は真紅に輝き、口からは牙が覗く。漆黒の肌に包まれた体、腰から鞭のようにしなる尾。その姿はまさに悪魔........いや、こいつに俺は見覚えがあった。その姿は目の色や体の色は違えど、SAOで俺たちを苦しめた青い悪魔、第七十四層のボス、ザ・グリーム・アイズに似ていた。
「うぉぉおぉぉ!!!」
グリームアイズが叫ぶと前衛にいたサラマンダーが体制を崩し逃げる。それをグリームアイズが爪で一突き。
そして姿を消す。他の二人も逃げる。
「体勢を崩すな!やつは見た目とリーチだけだ!元の作戦通り陣形を保てばダメージは通らない」
サラマンダーの指揮をとる男が叫ぶ。
「それはどうかな」
片手剣を抜き、回復にまわっていたサラマンダー切りつける。
グリームアイズも前衛にいたサラマンダーの一人を口で噛み砕き、もう一人を手で握り潰し地面に叩きつける。グリームアイズの恐怖に支配されたサラマンダーたちは一歩も動けずにいる。
「た、退却......退却!!!」
結局、グリームアイズは一人を残し、残りの全員を一瞬で壊滅させた。グリームアイズが一人を握り潰そうとするとリーファが走ってくる。
「キリトくん、そいつ生かしておいて」
「キリト!!?」
グリームアイズは手を離しサラマンダーを地面に落とす。
「さぁ、誰の命令なのか説明してもらいましょうか」
リーファが落ちたサラマンダーの剣を向ける。
「こ、殺すなら殺しやがれ!」
「この.......」
「いやあ、暴れた暴れた」
さっきまでグリームアイズがいた煙の中からキリトが姿を現す。
「よ、ナイスファイト」
「は.......?」
キリトがサラマンダーの男に向かって爽やかな口調で話す。
「いい作戦だったよ。俺一人だったら速攻殺られたな」
「ちょ、ちょっとキリトくん......」
「まあまあ」
「リーファ、無駄だよ」
「さて、物は相談なんだがキミ」
トレードウインドウを出し、男にアイテム群の見せる。
「これ、今の戦闘でゲットしたアイテムとユルドなんだけど......質問に答えてくれたら、キミにあげちゃおうかなーなんて」
男は周囲を見回し、再びキリトに向き直る。
「.......マジ?」
「......マジマジ」
二人ともにやっと笑って、リーファは思わずため息をつく。
「男って........」
「なんか、みもふたもないですよね........」
肩の上にいるユイも感心したように囁く。
「.........バカだな」
「今日の夕方かな.......ジータクスさん、あ、さっきのメイジ隊のリーダーなんだけどさ、あの人から携帯メールで呼び出されてさ、入ってみたらたった三人を十何人で狩るっつうじゃん、イジメかよって思ったんだけどさ、カゲムネさんをやった相手っていうからさ、なるほどなって」
「カゲムネってのは誰だ?」
「ランス隊の隊長だよ。シルフ狩りの名人なんだけどさ、昨日コテンパンにやられて逃げ帰ってきたんだよね。あんたがやったんだろ?」
男は俺を見てくる。リーファと視線を交わし、おそらく昨日の夜、撃退したサラマンダー部隊のリーダーのことだろう。
「で、そのジータクスさんは何であたしたちを狙ったの?」
「もっと上の命令だったみたいだぜ。なんか作戦の邪魔になるとか.......」
「作戦ってのは?」
「俺みたいな下っぱには教えてくれないんだけどさ、相当デカイこと狙ってるみたいだぜ。今日入った時、スゲぇ人数の軍隊が北に向かってくのを見たぜ」
「北..........世界樹攻略に挑戦する気なの?」
「まさか!最低でも全軍にエンシェント・ウエポン級の装備が必要だって金貯めてるとこだぜ」
リーファが右手の指を唇の下に置き、考える。
「俺の知ってるのは、こんなところだ。さっきの話本当だろうな」
「ああ、取引で嘘はつかないさ」
キリトが右の拳を握りしめ、にやっと笑う。
「ねぇ、さっき大暴れした悪魔キリトくん、何だよね?」
サラマンダーの男と別れたあとリーファが確認する。
「うーん、多分ね」
「多分って?」
「俺、たまにあるんだよな。戦闘中にブチ切れて記憶が飛んだりとか」
「うわ、こわっ」
リーファが足を止める。俺はそっと彼女の肩に手を置き、小さな声で囁いた。
「.........いつものことだ」
リーファは、呆れた顔でため息をつく。
「ああ、さっきのは何となく覚えてる。ユイに言われるまま魔法使ったら、なんか自分がえらい大きくなって剣もなくなるし、仕方ないから手掴みで」
「ボリボリ齧ったりもしてましたよ」
かわいらしいトーンで怖いことをユイがいう。
「ああ、そういえば........モンスター気分が味わえてなかなか楽しい体験だったぜ」
「その......、味とか、したの?」
「焦げかけの焼肉の風味と歯ごたえが........」
「わっ、やっぱいい、言わないで!」
キリトに向かってぶんぶんと手を振る。するとキリトが振り返り、リーファの手を掴み、リーファの指先をパクリと咥えた。
「きゃあーーー!」
リーファの強烈な平手打ちがキリトの頬にクリティカルヒット
「へぇー、ここがルグルーかぁ」
あたりを見渡し女の子らしくテンションをあげるリーファ。
「いてててて」
そして痛がるキリト。
「さっきのは、パパが悪いです」
「本当だよ」
「殺伐とした空気を和ませようというウィットに満ちたジョークじゃないか.......」
「さっきのはお前が悪いぞ......キリト。それはそうと......」
俺はキリトに近づき耳元で聞く。
「どんな味だったんだ。........リーファの指は?」
「それはだな.........うーん」
「キ・リ・ト・く・ん!シュ・ウ・く・ん!何を話してるかな!?」
今にも怒りそうな、いや、もう怒った顔でリーファがこちらを見る。
「あっ!」
リーファは武器屋を見つけると武器を手に取る。
「そういえばさ、サラマンダーズに襲われる前にレコンからメッセージ来てなかった?」
「あっ!忘れてた」
リーファがフレンドウインドウを開き、レコンがログインしているかを確認する。
「何よ、レコン。寝っちゃたののかな?」
「一応、向こうで連絡とって見たら?」
「うーん、じゃあ、ちょっとだけ落ちて確認すてくるからさ、シュウくんとキリトくん、待ってて。あたしの体、よろしくユイちゃん」
リーファはキリトと俺ではなくユイに体を頼んだ。
「はい?」
「パパとシュウくんがあたしにイタズラしないように監視しててね」
「了解です」
「........あのな」
「.......俺は何もしてねぇぞ」
リーファはベンチに座るとメニューウインドウを開き、ログアウトする。
「なぁ、キリト」
「何だよ」
「さっきのサラマンダーの男が言ってた、すごい人数のサラマンダー北に向かって行った言ってたろ」
キリトは、頷きながら相づちをうつ。
「それが世界樹攻略じゃないとするなら何だと思う?」
「それは.........うーん.......」
「他にも俺たちを襲った理由だって作戦の邪魔になるとか、言ってたし単体の種族を襲うならわかるけど俺たちの種族はバラバラだ。襲う理由がわかんねぇ.......」
(この騒動.......まだ終わらない気がする)
「行かなきゃ!!」
リーファが帰っていたと思ったら、急に立ち上がり声をあげる。
「おかえり、リーファ」
「おかえりなさい」
「キリトくん、シュウくん、ごめんなさい」
リーファが急に謝りだす。
「あたし、急いで行かなきゃ行けない用事が出来ちゃった。説明してる時間もなさそうなの。たぶん........ここにも帰ってこれないかもしれない」
「じゃあ、移動しながら話を聞こう」
「急ぎのようなら早く行こうぜ」
俺とキリトも行く準備をする。
「え?」
「どっちにしてもここから足を使って出ないといけないんだろ」
「また、あの道に行くのか........疲れるな」
「.........わかった」
俺たちは走る。
俺たちは橋に行き、走りながらリーファに事情を聞く。
「それで四十分後に蝶の谷抜けたあたりで《シルフ》と《ケットシー》の領主の会談が始まるの」
「なるほど幾つか聞いていいかな?」
「どうぞ」
「《シルフ》と《ケットシー》の領主を襲うことでサラマンダーにはどんなメリットがあるんだ?」
「まず、同盟を邪魔できるよね。シルフ側から漏れた情報から領主が打たれたら、ケットシー側は黙ってないでしょ?」
「そうだな」
「下手したらシルフとケットシーで戦争になるかもしれない。あとは領主を打つと領主間に蓄積されてる資金の三割を入手出来て十日間、街を占領して税金を自由にかけられる」
「そんなことができるのか?」
「結構ムチャクチャだな」
「だからね、シュウくん、キリトくん、これはシルフ族の問題だから、これ以上君たちが付き合ってくれる理由はないよ。多分、会談上に行ったら生きて帰れないからまた、スイルベーンから出直しだろうしね。ううん、もっと言えば........」
リーファが足を止める。
「世界樹の上に行きたいなら君たちはサラマンダーに協力するのが最善かもしれない」
俺たちも足を止める。
「サラマンダーはこの作戦に成功すれば、万全の体勢で世界樹攻略に挑むと思う。スプリガンとインプの君たちなら傭兵として雇ってくれるかも。だから......今、あたしをここで斬っても文句は言わないわ」
リーファは目を瞑る。
「........所詮ゲームなんだからなんでもありだ。殺したければ殺すし、奪いたければ奪う、そんな風に言うやつには嫌ってほど出くわしたよ。一面ではそれも事実だ。俺も昔はそう思っていた」
キリトがリーファに近づく。俺も一緒にリーファに近づく。
「でもそうじゃないんだよ」
キリトの言葉に続けるように俺が言葉を出す。
「仮想世界だからこそ、守らなきゃならないものがある。俺はそれを大切な人から教わった。本当は辛いのにずっと笑って過ごしてた嘘つきの少女から」
背中に背負われる《月音の槍》を俺は少し見る。
「俺、リーファのこと好きだよ。友達になりたいと、例えどんな理由があっても、自分の利益のために俺は相手を斬ったりはしない」
「シュウくん.......キリトくん......」
リーファがゆっくりと眼を開けるとその眼には涙が。
「.........ありがとう」
「ごめん、偉そうなこと言って。悪いくせなんだ。俺もキリトの癖が移ったかも」
「ううん、嬉しかった」
「時間がないんだろ、ユイ走るからナビゲーションよろしく」
キリトの胸ポケットからユイが現れる。
「了解です」
「シュウ、リーファを頼むぜ」
「おう、ちょっと手を拝借」
俺はリーファの手を掴む。
「えっ、あのーーー」
「行くぞ!!」
「しっかりつかまってろよ」
地面を強く蹴っ飛ばし走り出す。
今までの速度とは比べものにならないくらいの速度で俺とキリトは駆ける。
「わああああ!?」
リーファの叫び声が洞窟に響く。
「あの、あの、モンスターが」
前方にモンスターの群れが現れるが、俺とキリトはスピードを落とさない。
「わああああ!?」
モンスターの合間をすり抜け、モンスターの群れを超える。
「出口だ!」
キリトの声に前をみると眩しい光が差し込んでくる出口だ。
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