強いアメリカ
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第三章
「国力、経済力でだ」
「アメリカより強い国はですね」
「あるか、ソ連の経済力はだ」
それはというと。
「国土は巨大で資源も豊富だが」
「それでもですね」
「そうだ」
まさにというのだ。
「あの国は実はだ」
「経済的には脆いです」
「実は国土が遥かに狭い西ドイツや日本よりもだ」
西側のこうした国々よりもというのだ。
「低い」
「左様ですね」
「彼等は発表していないがな」
それでもというのだ。
「東側全体が経済的に停滞していてだ」
「それは我々と比べますと」
「お話にもならない」
「ソ連ですら」
「その彼等が我々に勝てるだけの軍事力を持とうとすればな」
「経済的に破綻します」
「そうなる、強さというものはだ」
それはというと。
「備えるだけでだ」
「大きな力ですね」
「戦って必ず勝つ」
「その勝つことをですね」
「敵に見せることがな」
まさにそのことがというのだ。
「最もいいことだ」
「それで屈服するならよし」
「そうせずにな」
それでというのだ。
「自分達もだ」
「我が国に勝とうと軍事力を強化する」
「そして経済的に破綻すればな」
「国家として崩壊につながりかねません」
「そうでなくとも大きなダメージを受ける」
経済破綻を起こせばというのだ。
「そうなるからな」
「だからですね」
「無闇に戦争をすることはない」
事実レーガンは軍事行動を大統領になってからこの時点までほぼ起こしていない、しきりに強気の発言を出してもだ。
「その強さを見せる」
「それだけでもいいですね」
「そうだ、百戦百勝はな」
自然とだ、レーガンは孫子の言葉も出した。
「やはり最善ではない」
「強さとは戦わずして勝つ力を備える」
「その為のものだ、ではこれからもな」
「強いアメリカをですね」
「政策として続けていく」
側近に自信に満ちた顔で話した、そうしてだった。
彼の在任中にソ連が彼の読み通りに経済破綻を起こしたことは歴史に残った、強いアメリカは戦わずしてその目的を達したと言うべきだろうか。彼等の最大の敵はこうして倒れたのであるから。
強いアメリカ 完
2022・10・12
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