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ドリトル先生と山椒魚

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第七幕その六

「漫画もゲームもテレビもな」
「全部ですね」
「インターネットとかもな」
「どんどんですね」
「なくなってくわ」
「まずはそこから」
「そして学問もやな」
「やはり制限を受けますね」
 戦争で余裕がなくなればです。
「何かと」
「そうなるな」
「そこからさらに余裕がなくなれば」
 先生は二度の世界大戦でのイギリスのことをお話しました。
「生活用品もお金ではなく」
「切符で買うな」
「今で言うポイントによってです」
「食べものも配給になって」
「自由に食べられなくなりますね」
「それすらもな」
「そうなって戦争が終わっても」 
 例えそうなってもというのです。
「苦しい生活がです」
「続くな」
「そうですね」
「イギリスは前の戦争では勝ったやろ」
 織田作さんは先生に焼き鳥、ねぎまのそれを食べつつ言いました。
「そやったやろ」
「いえいえ、勝ってもとても苦しい勝利で」 
 そしてとです、先生は織田作さんに答えました。
「勝っても苦しい状況が続いて」
「それでやったんか」
「戦争が終わって暫く経っても配給制でした」
「そやったか」
「はい、そして勝ちましたが」
 イギリスはというのです。
「その後のイギリスは」
「そや、えらい落ちたな」
「植民地はあらかた独立しまして」
「私も幽霊になってから見たけどな」
「凄かったですね」
「あのイギリスがな」
 織田作さんが生きていた頃は世界帝国だったのにです。
「欧州の一国になったな」
「ええ、そして日本の方がです」
「国力上になったな」
「そうなりました」
「こっちが負けたのにな」
 織田作さんはジュースが入ったグラスを片手に言いました。
「そうなったな」
「はい、まあ植民地がなくなったことも」
 先生はお話しました。
「時代の流れですし」
「しゃあないか」
「はい、それでもイギリスは頑張っていてです」
「欧州やと大国やな」
「それ位でいいかと。ただ僕にとっては故郷なので」
 生まれたお国だからだというのです。
「食べもの以外はいいことしか言わないですね」
「何や、食べものは別かいな」
「これだけはお世辞にも」
 先生は日本酒を飲んで、です。
 タレが利いたねぎまを食べてそうして言いました。
「よく言えないですね」
「イギリスの料理はまずいってな」
「織田作さんも聞かれていますね」
「カレーはあってもやろ」
「自由軒のものはないですね」
「それで善哉も関東煮もやな」
「ありません」
 こうしたものもというのです。
「そして他のものもです」
「そやな、それやとな」
「イギリス料理はですか」
「ええわ、もう大阪におってな」
 そうしてというのです。 
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