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やはり俺がink!な彼?と転生するのは間違っているのだろうか

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パラディ島編 第12話 トロスト区襲撃② ~ソウルの覚醒~

トロスト区中衛部では・・・。

 エレン「なぁ、アルミン。
     これはいい機会だと思わないか?
     調査兵団に入団する前によ。この初陣で活躍しとけば、
     俺たちは新兵にして・・・、スピード昇格間違いなしだ!」

 アルミン「!ああ・・・。間違いない。」

 ヒョウ(なんてこと言っているんだろうなぁ。)

 少し、現実逃避している兵士がいた。

 ハチマン「おい、ヒョウ。ぼーっとするな。命取りになるぞ。」

 ヒョウ「・・・そうだな。さて、俺らは、この班で生き残れるかねぇ・・・。」

 コニー「おい、お前!もう一回言ってみろよ!」

 ユミル「馬鹿と一緒でツイてないって言ったんだよ、私は。」

 コニー「な、なんだとぉ!?」

 クリスタ「もう、今はケンカしてる場合じゃないよ!」

 ヒョウ「そうだぞ。ケンカしている暇があれば、自身らに任された責務を果たせ。
     そうじゃなけりゃ、生き残れねぇぞ。」

 ユミル「・・・ハァ。はいはい、分かった分かった。
     私のクリスタに免じて、今回は仲良くしてやってやるよ。」

 コニー「まぁ、こんなときにいがみ合ってもな・・・。」

 ハチマン「ふぅ、なら、さっさと移動するぞ。」

 4人「うん。(((ああ。)))」

 俺はそういい、外門側が見えるところに行き、兵士に支給される単眼鏡で
 門の方を見た。

 すると、

 ハチマン「!?・・・こりゃ、えらいことになってんな・・・。」

 門の方には、今も大量の巨人が入り続けていた。

 ハチマン「俺の殺した巨人の数を超える量だな、こりゃ・・・。」

 ヒョウ「なら、20体以上ってことか・・・。やばいな・・・。」

 コニー「!?20体以上!?どんだけ入ってきてんだよ・・・。」

 ユミル「注目するところはそっちか?バカ。」

 コニー「なんだとぉー!?」

 ユミル「ハチマンの野郎が言ったことを思い出してみろ。
     俺の殺した巨人の数って言ったんだぞ。
     つまり、こいつは既に20体以上巨人を殺してんだよ。」

 コニー「はっ!?やべぇな・・・。」

 ハチマン「たまたまな。たまたま上手くいったんだよ。」

 ヒョウ「さて、おしゃべりは一時中断。巨人どもを屠りに行くぞ。」パシュッ

シュゥゥー

 コニー「おう!って、はえぇ!」パシュッ

 ハチマン「速くいかねぇと、置いてかれちまうぞ。」パシュッ

 クリスタ「あっ、まってよみんな-!」パシュッ

 ユミル「ちっ、めんどくせぇ。」パシュッ

 全員が立体機動に移り、巨人を倒していく。

 この班には、成績上位10名が2人。そして、成績上位に入っていても
 おかしくない兵士が1人。主席であるミカサを超える力を持つ2人がいる。

 すぐに付近にいる巨人をほとんど倒し、他より高いところで少し休憩をしていた。

 コニー「なんか・・・、ヒョウとハチマンがいると、すぐ巨人を倒せちまうな。」

 ユミル「ああ。上手く私たちに合わせてんだろう。やけに連携が取りやすい。」

 クリスタ「すごいね!ハチマン!」

 ハチマン「ヒョウのおかげでもあるがな。」

 そんな会話をしていると、遠くから、緑の煙弾が上がった。

 ヒョウ「!救援要請だ。行くぞ!」

 ユミル「ハッ、放っとけよ。あっちは私らの持ち場じゃねぇだろ。」

 ヒョウ「陣形が崩れたら、ここにいる時間も長くなる。
     クリスタが危険な状況になるぞ。それでもいいのか?」

 ユミル「ちっ、わかったよ。行きゃぁいいんだろ。」

 ヒョウ「全員!煙弾のほうに向かうぞ!」

 クリスタ「うん!」

 ハチマン「状況を今よりマシにするには、良い手じゃないか。」

 コニー「?」

 班員全員が煙弾のほうへ向かう。

 彼らの飛んだ後には、多くの巨人の死体が転がっていた。



 彼らが煙弾の方へ向かうと、1人の訓練兵が大型の巨人と戦っていた。

 ・・・否、訓練兵は逃げ回っていた。周りには他の訓練兵の死体。

 おそらく逃げている訓練兵が巨人の気を引き、他の訓練兵が
 止めを刺すつもりだったのだろう。

 しかし、その訓練兵が死んだ今、逃げ回ることしかできない。

 訓練兵1「!いいところに!」

 ヒョウ「!あの兵士を助けるぞ!コニー!陽動を頼む!」

 コニー「おう!」

 ヒョウ「クリスタは、他の巨人がこないかを確認。ユミルは隙を見て、
     止めを刺せ!」

 クリユミ「「うん!(ああ。)」」

 ヒョウ「ハチマンは、クリスタが襲われない様に近くにいてやってくれ。」

 ハチマン「つまり、作戦どうりと。」

 ヒョウ「ああ。」

 コニー「おい!こっちみやがれ!」

 コニーがそういうと逃げ回っていた訓練兵を追いかけるのを止め、
 コニーを追いかけ始めた。

 コニー「おらおら!どうした!この木偶の坊!」

 コニーは、さらに巨人の注意を惹く。

 そして、一度建物の横に立体機動でぶら下がった。

 巨人はそこ目掛けて手を伸ばす。

 その時、

 ユミル「っりゃ!」

 ユミルが巨人の項を削ぎ、巨人を絶命させた。

 ヒョウ「あんた、大丈夫か?」

 訓練兵1「!う、うん。ありがとう。助かった・・・。」

 ヒョウ「そうか。あんたの班はほとんど全滅しただろ?一度撤退しとけ。」

 訓練兵1「うん。そうさせてもらうよ。」

 クリスタ「!10m級が3体、こっちに向かってきてるよ!」

 ヒョウ「方角は!」

 クリスタ「えっと・・・、私から11時の方向から2体、2時の方向から1体だよ!」

 ヒョウ「・・・ユミルとコニーは、クリスタと2時の方向にいる巨人を討伐しろ。
     ハチマンは俺と11時の方向から来る巨人の相手をするぞ。」

 ハチマン「はいはい。」

 ユミルとコニーは指示された通り、クリスタと合流、巨人を殺しに行った。

 ヒョウとハチマンも11時の方から来る巨人を殺すためにそちらに向かう。

 巨人達に近づいていくと、巨人達はこちらを見つけたのか、こちらに向かってくる。

 俺たちは、その様子を見ていた。

 巨人達は、一瞬で距離を詰めてきて、こちらを喰おうと手を伸ばしてくる。

 それをハチマンは避け、立体機動で地面すれすれを移動し、
 一気に巨人の項を削いだ。

 それを見たヒョウは、巨人の伸ばしてくる手を自身の両手に持っている刃で
 切り刻み、ハチマンに合図を送った。

 ヒョウ「やるぞ。」

 ハチマン「!・・・。」コク

 ハチマンとヒョウは、それぞれ巨人の右後ろと左後ろに回りこみ、
 反対側の立体物にアンカーを刺し、ワイヤーを巻いて、2人で巨人の項を削いだ。

 俗に言うバディアクションである。

 ハチマン「よし。成功だな。」

 ヒョウ「ああ。次は腕を攻撃できるように練習しないとな。」

 彼らの向上心は、止まることを知らない。この技を習得しても、まだ他の技を
 習得しようとしているのだから。

 ヒョウ「よし、ユミルたちと合流するぞ。」

 ハチマン「ああ。にしても、まだ練習するのか・・・。結構きついんだが。」

 ヒョウ「まぁ、その立体機動装置じゃなぁ・・・。一度上官に言って、
     立体機動装置の改造を許可してもらったらどうだ?」

 ハチマン「はっ!?立体機動装置を改造?」

 ハチマン(なんか、中二心をくすぐられる言葉・・・。)

 ヒョウ「ああ。材料と技術、それと立体機動装置自体を買う費用があれば、
     改造できるぞ。」

 ハチマン「!そうなのか・・・。結構金も貯めてあるし、
      やってみるかねぇ・・・。」

 ヒョウ「ちなみに費用は合計30金貨。銅貨で言うなら、3000銅貨だな。」

 ハチマン「たけぇ・・・。」

 ヒョウ「まぁ、兵士の月給は45銅貨だし、ボーナスもあるから、節約しとけば
     足りるぞ。てか、足りた。改造して巻き取り速度とガス圧上げたし。」

 ハチマン「まじか・・・。どうりで追いつけないわけだ・・・。」

 2人は、クリスタ達が向かったであろう方向に向かって、立体機動で移動する。

 ヒョウ「ん?いたぞ。あそこだ。」

 ハチマン「おっ、本当だ。お前ら!」

 クリスタ「?・・・!ハチマン!」

 コニー「ん?ハチマン、ヒョウ!倒せたのか!」

 ユミル「そうみたいだな。」

 ヒョウ「よし、全員いるな。一度、本部の方へ向かうぞ。」

 全員「うん。((ああ。)おう!)」

 そうしようとした時、

パシュッ

 また煙弾が上がった。

 ハチマン「黄色い煙弾・・・。緊急救援要請か!」

 クリスタ「えっ!?すぐに行かなきゃ!」

 ヒョウ「!全員!立体機動に移り、煙弾の元に向かうぞ!」

 ユミル「ちっ、しゃぁねぇな。」

 コニー「おう!了解だ!」

 全員が煙弾の元へ向かう。

 途中で襲ってくる巨人どもを皆殺しながら煙弾のところに向かうと、
 巨人に囲まれ逃げ回っている、エレンやアルミンと同じ班であり
 アニの友人であるミーナ・カロライナがいた。

 ミーナ「!みんな!いいところに!エレン達とはぐれちゃって、
     それに加えて、立体機動装置の調子が悪くなっちゃって、
     撤退しようとしたら巨人に囲まれて、撤退できなくなっちゃったの!」

 ヒョウ「分かった。さっきのメンバーでミーナの撤退を支援しろ!
     巨人どもは、俺たちで片付ける!」

 ユミル「おいおい、できるのか?」

 ヒョウ「なんだ?疑ってんのか?ハチマンと一緒なら、巨人が50体以上いても
     勝てるぞ。」

 ユミル「!?・・・そうか。なら、安心だな。クリスタ!行くぞ!」

 クリスタ「う、うん!2人とも!・・・死なないで。」

 コニー「頼んだぞ!」

 そう言い、3人は、ミーナを連れて、ここから離れていった。

 ヒョウ「よし、久しぶりに、本気を出すか!」

 ハチマン「俺は、超大型に壁を壊された時に本気を出したがな。」

 ヒョウ「そうだろうけどな。ははは・・・。」

 ハチマン「くくく・・・。」

 ヒョウ「さぁ、やるか。」

 ハチマン「あぁ。そうだな。」

 そういう二人の瞳は、星の形が浮かんでいたり、青と黄色に点滅していたり、
 紫色に輝いていた。

 そんな彼らに、巨人達は関係ないとばかりに手を伸ばす。

 しかし、彼らは伸びてきた大量の手を一瞬のうちに切り刻み、
 大量に居る巨人のうちの1体の項まで一気に移動し、刃で削いだ。

 そこからも、大虐殺は進む。

 手を伸ばして来ようが、口をあけて喰おうとして来ようが
 一瞬で避けられ、項を削がれる。

 そんなことが繰り返され、初めは大量に居た巨人も、
 もう4体ほどしかいなかった。

 まぁ、すぐその4体の巨人も死んでしまったのだが。

スタッ

 ハチマン「ふぅ、こんなもんかねぇ。」

 ヒョウ「あぁ!久しぶりに全力をだせてすっきりしたぁ!」

 ハチマン「そうか・・・。俺は、あんまり全力を出したくないんだがなぁ。」

 ヒョウ「そういうなよ。
     全力を出さないと、必要な時に自分が現時点で
     どれだけ力を持っていて、
     それを何処まで引き出せるか分からないじゃないか。」

 ハチマン「まあ、確かにそうだが・・・。」

 ヒョウ「だろ?あっ、そういえば、さっきので巨人ってどれくらい倒した?」

 ハチマン「えっとな・・・、・・・たぶん、12,3体位だな。」

 ヒョウ「おお!俺は、10体位だ。負けたな。」

 ハチマン「いや、討伐数競って何になるんだよ・・・。」

 ヒョウ「う~ん、暇つぶし?」

 ハチマン「えぇ・・・。」

 ヒョウ「とりあえず、クリスタ達と合流しよう・・・、って思ったが
     大丈夫だったようだな。」

 ハチマン「?」

 クリスタ「ハチマン!ヒョウ!無事だった?」

 ハチマン「!あぁ。何の傷もないが・・・。」

 クリスタ「良かったー!」

 ヒョウ「お前ら。ちゃんとミーナは撤退できたか?」

 ユミル「あぁ。ちゃんと立体機動装置に応急措置をして、壁を上らせたよ。」

 ヒョウ「そうか。」

 ユミル「ただ、離れる時、ミーナが巨人に足を摑まれちまって、
     骨折しちまった。
     医療班の元まで一緒に行ってやったよ。」

 ヒョウ「そうか・・・。ありがとな。」

 ユミル「あぁ?こっちは、クリスタのお願いを聞いただけだっつうの。」

 ヒョウ「フッ、そうか。」

 コニー「おい!いい加減、移動しようぜ。」

 ヒョウ「そうだな・・・。」

 アルミン「うわぁぁぁぁぁっ!」

 全員「!?」

 コニー「今の声・・・、アルミンだ!」

 ヒョウ「!全員、立体機動にうつれ!コニー!どっから声が聞こえてきた!?」

 コニー「えっと・・・、あっちだ!」

 ヒョウ「よし!向かうぞ!」

 ハチマン「・・・。」

 コニー「お、おう!って、やっぱはえぇ!」

 ユミル「あいつら・・・、あせってんな・・・。」

 クリスタ「どうしたんだろう・・・。」

 声のしたほうへ立体機動で向かうと、屋根の上にアルミンが
 放心状態で座っていた。

 コニー「おい!しっかりしろ!おい!」

 アルミン「・・・!?・・・コ、コニー・・・?」

 コニー「怪我はねぇのか?オイ!?お前の班は!?」

 アルミン「班・・・?」

 コニー「オイオイしっかりしろよ!何で一人だけなんだ!?
      何かお前の身体ぬめってるしよぉ・・・。一体何があったんだよ!?」

 コニーにそう聞かれ、アルミンは、ミーナ以外の仲間たちが喰われたことを
 思い出す。

 アルミン「うぁぁぁぁああ!」

 コニー「アルミン・・・!!」

 アルミン「この・・・役立たず・・・!!死んじまえ!!」

 コニー「オイ・・・落ち着けっアルミン! みんなは・・・。」

 いきなり発狂するアルミンに心配して声を掛けるコニー。

 ヒョウ「アルミン。」

 アルミン「!・・・ぁ。」

 ヒョウ「・・・エレンは、どうなった・・・?」

 アルミン「・・・。」

 アルミンは答えない。

 ユミル「ハァー。もういいだろコニー、ヒョウ!全滅したんだよコイツ以外は。」

 コニー「うるせぇな!アルミンは何も言ってねぇだろ!!」

 ユミル「周りを見りゃわかるよバカ!これ以上そいつに
     構ってる時間は無ぇんだ!」

 コニー「なんでアルミンだけ無事なんだよ!!」

 ユミル「さぁな、死体だと思ったんじゃねぇの?
     複数の巨人に遭遇したのは気の毒だが、劣等生のコイツだけ
     助かるとは・・・。エレンたちも報われないな・・・。」

 コニー「・・・なぁクソ女。・・・二度と喋れねぇようにしてやろうか!?」

 クリスタ「やめて2人とも!みんな気が動転してるんだよ!
      急にたくさん友達が死んでいくんだもん・・・。仕方ないよ!」

 ユミル「さすが私のクリスタ! この作戦が終わったら結婚してくれ!」

 コニー「・・・確かに、いつも以上にふざけてやがる・・・。」

 ハチマン「・・・アルミン。お前は・・・、そのままずっと
      止まっているつもりか・・・?」

 アルミン「・・・。」

 ハチマン「エレンが死んじまって、気が動転しちまってんのは分かるが・・・、
      お前は、エレンに助けられた。違うか?」

 アルミン「・・・そうだ・・・。」

 ハチマン「なら・・・、その助けられた命を使って、
      生きなきゃいけないだろ・・・。」

 アルミン「・・・!・・・うん。
      ・・・ごめん、迷惑かけた。後衛と合流する。」

 コニー「おい!アルミン!」

 ハチマン「おい、行くぞ。俺たちは、前進の命令だ。」

 ユミル「おい!ヒョウ。行くぞ。」

 ヒョウ「・・・死んじゃいねぇよ・・・。」

 ユミル「は?」

 ヒョウ「あいつは、そう簡単に死ぬやつじゃねぇ・・・。
     ユミル。お前には分からねぇかも知れねぇが、あいつは、
     ”座標”を持ってる。あいつが決着を付けるって言う運命なんだ。」

 ユミル「は・・・?」

 ヒョウ「・・・話しすぎたな・・・。前進するんだろ?行くぞ。」

 ユミル「って。オイ!?ッチ!行っちまいやがった・・・。」

 ユミル(”座標”・・・。座標って、なんか、聞いた覚えが・・・。)

 ---

 アルミン(もう駄目だ・・・。僕なんかが耐えられるわけがない・・・。
      こんな地獄では・・・。
      イヤ、違う・・・。地獄になったんじゃない・・・。
      今まで勘違いしていただけだ。元からこの世界は地獄だ。
      強いモノが弱いモノを喰らう親切なくらい分かりやすい世界・・・。
      ただ――僕の友達は、この世界で強くあろうとした。
      弱い僕を助けてくれた。手を差し伸べてくれた。
      それが堪えられなかった・・・。二人にとって僕は守られる存在なんだ。
      二人のように強く・・・。
      肩を並べてこの世界に生きていきたかった・・・。
      その結果があのざまだ。僕のせいでエレンは死んだ。
      エレンは、僕を助けてくれた。だから、生きなくちゃいけない。
      でも、こんな僕が生き残って・・・、何になるんだよ・・・。)

 立体機動で碌に移動できないほど、アルミンの心は疲弊していた。

 アンカーを刺そうとして失敗し、落下する。

 落下の痛みか、それとも心の痛みか分からないが、痛みが止まらず、涙を流す。

 そんなアルミンにまた、彼の心を疲弊させることがあった。

 アルミン「ハンナ・・・?一体、何を・・・?」

 ハンナ「あ!!アルミンッ!? 助けて! フランツが息をしていないの!
     さっきから何度も・・・、何度も蘇生術を繰り返しているのに!!」

 アルミン「ハンナ・・・。ここは危険だから、早く屋根の上に・・・。」

 ハンナ「フランツをこのままにできないでしょ!!」

 アルミン「違うんだ・・・。フランツは・・・――」

 下半身を失い、血が溢れ出して、血が抜けきったフランツの死体に
 彼の死を受け入れられないとばかりに、なんどもなんども
 必死に蘇生術を繰り返すハンナ。

 アルミン「もう・・・、やめてくれ・・・。これ以上は・・・、
      もう・・・無理だ。これ以上は・・・。」

 その光景は、疲弊したアルミンの心を、もっと疲弊させるのに十分であった。

 ---

 前線に行くと、やはり巨人との戦いが待っていた。

 しかし、この班には、主席以上の力を持つ兵士が2人もいる。

 襲ってくる巨人をバッタバッタと殺し続け、他の班ところにいた巨人も
 寄ってきて、討伐数がえらいことになった。

 そんな感じで群がってくる巨人を殺していると撤退の鐘がなった。

 ヒョウ「!撤退か・・・。」

 ハチマン「まぁ、こんなに巨人に群がられてちゃ、撤退しようにも無理だがな。」

 ヒョウ「そうだ・・・なっ!」ザシュッ

 ハチマン「にしても多い・・・なっ!」ザシュッ

 ヒョウ「ちっ、数が多くてしかたねぇ・・・。っらっ!」

 始めは終わりがないのかと疑うくらいの巨人がこちらに向かってきていたが、
 今は、もう目に見える範囲にしかいない。

 ハチマン「だが、あと12,3体くらいで終わりみたいだ。」

 クリスタ「う~、やっぱり多いよ~。」ザシュザシュッ!

 クリスタは、そういいながら、2体の巨人の項を連続で削ぐ。

 ユミル「クリスタ・・・。お前、強くなったな・・・。」

 そんなクリスタを見て、驚きと少しの恐怖を浮かべるユミル。

 ヒョウ「当たり前だろ。この俺たちが2年半鍛えたんだぞ?
     トロスト区が破壊される前日の時点で、調査兵団の熟練兵士レベルだ。
     後は実戦を積んで、経験と勘を養えば、調査兵団でも十分やっていける。
     そのレベルまで鍛え上げた上でのこの戦闘だ。
     この作戦で経験を積んでもらえば、巨人相手に遅れは
     取らないだろうよ。」

 ユミル「マジか・・・。・・・鍛えすぎじゃね?」

 ハチマン「あぁ・・・。それは俺も思ってる・・・。」

 コニー「クリスタ・・・、すげぇな・・・。ヒョウ!俺も鍛えてくれ!」

 ヒョウ「お前が調査兵団に入るんならな、鍛えてやるよ。
     俺は、調査兵団に入るんだ。
     もし、憲兵団に入るつもりなら、あきらめてくれ。」

 コニー「そ、そうか・・・。」

 ハチマン「って、そんなこと話してるうちに、クリスタがほとんど
      殺しちゃってんだが・・・。」

 クリスタ「よ~し!倒し終わったよ!ハチマン!
      私、調査兵団でもやっていけるでしょ?」

 ハチマン「・・・そうだな。」トオイメ

 ヒョウ「あっはっはっはっ。」

 ユミル「笑い事じゃねぇ!」

 コニー「・・・やべぇな・・・。」

 クリスタ「?」

 ヒョウ「ははは、はぁ・・・。・・・てか、誰も撤退してない?」

 ハチマン「・・・!本当だな。なぜだ?」

 ユミル「たぶん、ガスがねぇからだろ。事実、私のガスは、あと1/3くらいしか
     残ってねぇしな。」

 コニー「俺はまだ残ってるけどよ・・・。」

 ヒョウ「うむ・・・。・・・一旦撤退できないやつらと合流するか。」

 ハチマン「その方がいいな・・・。クリスタ。どれぐらいガスは残ってる?」

 クリスタ「え?えーっと・・・、半分くらい!」

 ハチマン「よし、ヒョウ。移動できる分のガスはあるみたいだ。」

 ヒョウ「そうか。なら、高いところから見てこよう。」

・・・アッタゾ!

 ヒョウ「お前ら。兵士が集まっているところを見つけた。
     そこまで移動するぞ!」

 全員「「「「了解!(はいはい。)」」」」

 兵士たちが集まっているのは、前衛部より少し離れた中衛部の一角。

 付近に巨人がいないためここにいるわけだが、
 何時巨人が来てもおかしくなかった。

 ヒョウ「・・・どういう状況だ?これ。」

 コニー「!ジャンがいる!俺は聞いてくる!」

 ヒョウ「分かった。」

 コニーは、ジャンから状況を聞き、伝えてくれた。

 どうやら、ユミルの予想どうり、ガスが尽きかけの上、
 本部に巨人が群がっているため補給ができないようだ。

 コニー「おいジャン!・・・どうするんだよ!?」

 コニーが、ジャンを問いただす。

 ジャン「どうもこうもねぇよ・・・。撤退命令が出たってのに、ガスの残量も
     底が尽きそうな状況。俺たちは壁を登れねぇ・・・。
     そんで死ぬんだろうな、俺たち全員。あの腰抜けどものせいで・・・。」

 ジャン「戦意喪失したんだと・・・。気持ちはわかるけどよ。
     俺たちへの補給任務を放棄して本部に籠城は無いだろ・・・。
     案の定、巨人が群がってガスを補給しに行けねぇ・・・。」

 コニー「だから! 一か八かあそこに群がる巨人を殺るしかねぇだろ!?
     俺らがここでうだうだやってても同じだ!ここにも巨人が集まる!!
     いたずらに逃げ続けても俺たちの残り少ないガスを使い果たすだけだ。
     機動力を完全に失えば、本当に終わりだぞ!!」

 ジャン「珍しく頭を使ったなコニー。だが・・・、
     今の俺たちの兵力でそれができると思うか?前衛の先輩方はほぼ全滅だ。
     残された俺たち訓練兵の誰にそんな決死作戦の指揮が執れる?
     まぁ・・・、指揮ができたところで俺らじゃ
     巨人たちをどうにもできない・・・。
     おそらくガス補給室には3~4メートル級が入ってるぜ?
     当然そんな中での作業は不可能だ。」

 コニー「・・・ダメかな?」

 ジャン「あぁ。駄目だろうな・・・。クッソッ。俺のやろうとしてたことが
     全部無駄になっちまうのかよ・・・。」

 ヒョウ(いっそのこと、ジャンも鍛えておけば良かったな・・・。メンタル面を。)

 ヒョウの目の前には、自身と同じ、今年卒業し、明日にも所属兵科が変わる
 第104期訓練兵の姿がある。

 多くの者は頭を抱えて腰を下ろし、ある者はできるだけ巨人の脅威から逃れようと
 高台にしがみ付いていた。

 そんな中に、訓練兵団を成績上位10番以内に入り卒業した彼らも迷い込んでいた。

 彼らもまだ15歳。精神がまだ未熟であり、この状況で心が折れるのも仕方ない。

 サシャ「やりましょうよ!!皆さん!! さぁ!! 立って!!
     みんなが力を合わせればきっと成功しますよ!
     私が先陣を引き受けますから!みなさん・・・。」

 むしろ、心の折れていないクリスタやサシャがすごいのだ。

 ヒョウ(てか、サシャの声って、M〇S3のセシールや銀〇魂の
     猿飛あやめに似てるな・・・。)

 ヒョウは、この状況でそんなことを考えられるくらいに余裕がある。

 ハチマンも、

 ハチマン(どうする?このままだと巨人に喰われるし、かといって、
      ガスがねぇから、壁も上れねぇ・・・。
      本部の奪還に賭けるしかねぇが・・・、幾分、戦力が足りん・・・。
      ・・・どうする!?)

 ・・・いや、ハチマンには、あまり余裕がないようだが・・・。

 2人は、他の訓練兵と違って、精神年齢は上であり、生きてきた年数で言えば、
 どちらも23歳である。

 それに加え、2人は魂だけで”界渡り”をしており、心核ココロが鍛えられている。

 片方は若干焦っているが、この2人は唯一この状況で指揮が取れる人間であろう。

 そんな中、この状況を覆すものが来た。

 訓練兵1「ミカサ!? お前、後衛のはずじゃ・・・!!」

 そう、ミカサ・アッカーマンである。訓練兵でその実力が認められ、
 駐屯兵団の精鋭部隊と作戦行動を共にした少女が訓練兵のピンチにやってきた。

 ミカサはすぐに近くにいたアニに声をかけた。

 ミカサ「アニ! 何となく状況はわかってる・・・。
     その上で、私情を挟んで申し訳ないけど・・・、
     ・・・ハチマン達とエレンの班を見かけなかった?」

 声はいつもと同じように聞こえるが、表情と行動から彼女が焦っているのは、
 感じられる。

 アニ「ハチマン達は見たけど・・・、エレンは見てないよ、
    壁を登れた班も・・・。」

 ライナー「そういやあっちにアルミンがいたぞ。」

 アニの言葉を遮る様にライナーがミカサの横を指さす。

 ミカサ「そう・・・、よかった・・・。・・・アルミン!」

 ミカサはアルミンの名を呼ぶ。その瞬間、僅かだがアルミンの身体が
 怯えたようにビクッ、と震えた。

 ミカサ「アルミン・・・、怪我は無い?大丈夫なの?」

 アルミン「」コク

 ミカサ「エレンはどこ?」

 刹那、アルミンの両目からはダムが決壊したかのような大量の涙を流す。

 ミカサは、アルミンの表情に驚き、最悪を考えてしまい固まってしまう。

 アルミンは顔面蒼白にしながら、悔し、憎しみ、恨み、失望、自分を責める
 自責の念と共に抑えきれない涙とともに、掠れた声を辺りに響かせた。

 アルミン「僕たち・・・、訓練兵・・・34班―――
      トーマス・ワグナー、ナック・ティアス、ミリウス・ゼルムスキー、
      エレン・イェーガー以上4名は自分の使命を全うし・・・、
      壮絶な戦死を遂げました・・・!」

 アルミンの悲痛な声が、生きることを諦めていた彼らの耳に入る。
 誰もがアルミンの一言一句に聞き入り静まり返る。

 訓練兵2「そんな・・・。」

 訓練兵3「34班はほぼ全滅か・・・。」

 訓練兵4「俺たちもまともに巨人とぶつかればそうなる・・・。」

 巨人に対する恐怖が、伝染する。

 アルミン「ごめんミカサ・・・。エレンは・・・、僕の身代わりに・・・。
      僕は・・・、何も・・・できなかった・・・。すまない・・・。」

 震えた声帯、身体、アルミンは自分の不甲斐なさを痛感し、
 唯一の友を見殺しにしたことの後悔で一杯だ。
 嘆くことしかできないアルミンの耳に届いたのは、恐ろしく冷たい声だった。

 ミカサ「アルミン落ち着いて。今は感傷的になっている場合じゃない。」

 アルミン「えっ?」

 感情がまったくこもっていない声。そんな声を出したミカサにアルミンは驚いた。

 ミカサ「さぁ立って。」

 ミカサ「マルコ! 本部に群がる巨人を排除すれば、ガスの補給ができて
     みんなは壁を登れる。違わない?」

 マルコ「あ、あぁそうだ・・・。し、しかし、いくらお前がいても・・・、
     あれだけの数は・・・、ミカサ「できる!!」

 マルコ「え・・・!?」

 ミカサ「私は・・・強い。あなた達より・・・、強い。すごく強い!
     ・・・ので私は、あそこの巨人共を蹴散らす事ができる・・・。
     例えば・・・、一人でも・・・。」

 ミカサは刀身を天にかかげ、億劫に沈む彼らを鼓舞するように声をあげる。

 ミカサ「あなた達は・・・、腕が立たないばかりか・・・、臆病で腰抜けだ。
     とても残念だ・・・。ここで、指をくわえたりしてればいい・・・。
     くわえて見てろ。」

 訓練兵5「ちょっとミカサ?いきなり何を言いだすの!?」

 訓練兵6「あの数の巨人を一人で相手する気か?そんなことできるわけが・・・。」

 ミカサ「できなければ・・・死ぬだけ。でも・・・、勝てば生きる。
     ・・・戦わなければ勝てない・・・。」

 そう言うとミカサは単独で飛びだした。昔ミカサを助け出したあの少年達の言葉。
 かつて励まされた言葉。ミカサは振り返ることなくガスを無駄に多く蒸かすと、
 すぐに彼らとの距離が離れる。

 ジャン「・・・残念なのはお前の言語力だ。
     あれで発破かけたつもりでいやがる・・・。」

 ミカサが放った言葉は、ジャンの闘志に火をつけた。

 ジャン「てめぇらのせいだぞ・・・、エレン、ハチマン・・・。」

 ジャン「っ!オイ!!俺たちは仲間一人に戦わせろと学んだか!?お前ら!!
     本当に腰抜けになっちまうぞ!!」

 そう言い、他の兵士に発破をかけるジャン。

 ライナー「そいつは心外だな・・・。」

 その発破に乗ったライナーたち。

 サシャ「や、やい腰抜けー。弱虫―。ア、アホー。」

 サシャが弱弱しく暴言を放つ。

 その発破に触発された訓練兵たちが続々と立体機動に移る。

 訓練兵7「あいつら・・・。ちくしょう・・・、やってやるよ・・・。」

 ヒョウ「・・・俺たちも、本気にならなきゃいけないみたいだな・・・。」

 ヒョウは、そういう。

 ハチマン「フッ、そうみたいだな。」

 ハチマン(そうだ。考えても仕方ない。
      あいつらは、生きるために自らを犠牲にしようとしている。
      なら、俺たちにできるのは、その死にそうな兵士を助けることだ。)

 ハチマン(・・・やってやる・・・。絶対生き残ってやる!この残酷な世界で!)

 《確認しました。条件を達成しました。
  ユニークスキル『決意イキルモノ』を獲得・・・成功しました。》

 《続いて、条件を達成したため、ユニークスキル『渇望ノゾムモノ』、『親切ヤサシキココロ』、 
  『誠実セイジツ』、『勇気フミダスココロ』、『不屈オレヌイシ』、『正義ユルサヌココロ』、『忍耐タエルイシ』、『決意イキルモノ』が
  変異進化します・・・。
  ・・・成功しました。ユニークスキル『渇望のソウルクレイヴィング』、『親切のソウルやさしさ』、
  『誠実のソウルせいじつ』、『勇気のソウルゆうき』、『不屈のソウルふくつ』、『正義のソウルせいぎ』、
  『忍耐のソウルにんたい』、『決意のソウルケツイ』に変異進化しました。》

 ハチマン「!?・・・変異進化・・・?てか、ケツイ!?」

 異常者オカシナモノ『どうやら、君が持っていたスキルが、今獲得したユニークスキルの
      影響で、多くのスキルに進化したようだ。まぁ、ここでは説明しない。
      壁を上った時に説明しよう。』

 ハチマン(!ああ。頼んだぞ。)

 ヒョウ「にしても、援護するにしてもなぁ・・・。」

 ヒョウ(AU達を呼び出すか・・・。でも、数がたりねぇ・・・。
     もっと、力が・・・。)

 《確認しました。強い思念を確認。スキルを獲得しています・・・成功しました。
  ユニークスキル『想像力とAUの守護者インク!サンズ』に権能『AU世界』が追加されます。》

 ヒョウ「!?・・・AU世界・・・。」

 ハチマン「?AU世界?」

 ヒョウ「何故かは分からんが、新しいスキル?をゲットしたみたいでな。
     使ってみるか・・・。」

 ヒョウ『AU召喚。』

 ヒョウがその力を使うと、今まで出てこなかったアンダインや
 メタトンたちが出てきた。

 ヒョウ「!?」

 ハチマン「ア、アンダインにメタトン・・・!?」

 他にも多くのAU達が現れた。

 ヒョウ「・・・良く分からんけど、戦力が増えるのはありがたい。
     全員!あの訓練兵の援護を!」

 ヒョウがそういうと、呼び出されたAU達は、そちらに向かった。

 ハチマン「・・・いけたみたいだな。」

 ヒョウ「ああ。さて・・・。」

 ハチヒョウ「「いくか。」」

  
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