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ドリトル先生と山椒魚

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第五幕その六

「本当にね、だから結婚のことは」
「アドバイス出来ないんだ」
「自分の経験としてはね、けれどね」
「それでもなんだ」
「アドバイス自体はね」
 それはというのです。
「出来るよ、知識はあるからね」
「じゃあ何かと聞いて」
「お話させてもらうよ」
「そうするね、いやどんな人が来るか」
 結婚相手はです。
「僕は今そのことが気になってるんだ」
「物凄くだね」
「そうなんだ」 
 先生にお水の中からお話します。
「どうもね」
「成程ね」
「だからね」
 それでというのです。
「先生がそれでいいって言ってくれて嬉しいよ」
「それは何よりだよ」
 先生もにこりと笑って応えました。
「じゃあね」
「お話させてもらうね」
「宜しくね」
「うん、それでね」
 鱒二はさらに言いました。
「どんな娘が来るか聞いてくれるかな」
「日笠さん達にだね」
「いい娘か」
「聞いておくね」
「そして僕にお話してね」
「約束するよ」
「それじゃあね、それでね」
 鱒二は一呼吸置いてでした、先生に言いました。
「日笠さんだけれど」
「今回も何かとよくしてもらっているよ」
「どう思ってるかな、先生は」
「いい人だね」
 先生は笑顔で答えました。
「とても」
「それだけ?」
「それだけっていうと」
「だからそれだけ?」
 先生を見て尋ねます。
「先生は」
「どういうことかな」
「ううん、こうしたことは全く駄目と聞いたけれど」 
 鱒二はお水の中で困ったお顔になって言いました。
「これはね」
「どうしたのかな」
「どうしたもこうしたもじゃないよ」
 それこそというのでした。
「先生本当に駄目だね」
「ええと、何が駄目なのかな」
「それがわからないことが駄目なんだよ」
 戸惑う先生に言いました。
「僕でもわかるのに」
「そうなんだね」
「そうだよ、僕も日本の生きものだから言うけれど」
「何をかな」
「先生和歌とか古典読んでるよね」
「日本のだね」
「それもかなりね」
 鱒二は先生が大変な勉強家であることも聞いています、兎角学問のことなら万能と言っていい位だとです。
「源氏物語とか伊勢物語も読んだね」
「原文でね」
「外国の人でそれは凄いよ」
 このことは手放しで賞賛しました。 
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