| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

ドリトル先生と山椒魚

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

第四幕その七

「日章旗だよ」
「そう、白いご飯に赤い梅干しでね」
「日本の国旗になるね」
「だからその名前になったんだ」
「面白いね」
「ちなみにこの日の丸弁当はね」
 梅干しが中に入ったそのお握りを食べつつお話します。
「乃木大将がはじめたんだ」
「ああ、あの人がなんだ」
「日本の軍人さんだったね」
「あの人も凄い人だよ」
 王子は心からこう言いました。
「堅固な要塞を陥落させたし」
「難攻不落と言われた旅順要塞をね」
「たった五ヶ月でね」
「確かに児玉さんの助けは借りたけれど」
 一時期指揮権をこの人が預かってです。
「それでも堅固で有名な要塞を陥落させて」
「その後の奉天の戦いでは大活躍したね」
「あの戦いの勝利は乃木大将あってだよ」
「そう、しかもね」
 先生はさらに言いました。
「軍人として物凄く高潔で」
「水師営の会見だね」
「降伏した敵の将軍を礼を以て迎えたね」
「帯剣まで許して」
「ロシア皇帝に寛大な処置も求めて」
「しかも軍に悪いことを許さない」
「日本軍自体がそうだったけれどね」
 乃木大将だけでないというのです、先生は今は日本の歴史について目を輝かせてお話するのでした。
「軍律がとても厳しくて」
「悪いことはさせなくて」
「乃木大将自身もだよ」
「そんなことはしなかったね」
「武器を持たない相手に銃剣を向けるとか」
 そうしたことはというのです。
「何があってもだよ」
「しなかったね」
「そんな立派な人だったんだ」
「何か日本じゃ最近まで評判がよくなかったそうだね」
「旅順が堅固でね」
 この要塞がというのです。
「当時の日本人、最近までもね」
「中々陥落しなくて」
「それでね」
 そうした状況でというのです。
「色々言われて」
「批判されていたんだね」
「多くの損害を出したのは事実だしね」 
 このことはというのです。
「それでだよ」
「最近まで評判が悪かったんだね」
「そうだったんだ」
 実際にというのです。
「無能とか散々言われてたんだよ」
「無能じゃないよね」
「他の国の人から見たらね」
「当時の日本軍で東郷さんと並ぶ偉大な人だよ」
「そうだよ」
 まさにというのです。
「僕もそう思うよ」
「それがだね」
「日本ではそうだったんだ、あの戦争自体もね」
「日露戦争もだね」
「否定されていたしね」
「僕にとっては、いや僕に国でもだよ」
 王子は強い声で言いました。
「あの戦争があって」
「誰でもやろうと思って必死にやればね」
「出来るとわかったね」
「そうした戦争だから」
「凄くね」 
 実際にというのです。 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧