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本物の出来損ない

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第一章

               本物の出来損ない
 小学生三年生の柳田美海は学校で三つ上の姉の茉祐とよく比べられる、茉祐は成績はいつも満点かそれに近くスポーツ優秀でしかも美人だ。
 だが美海はどれも普通だ、それで時折出来損ないと言われるが。
 二人の母の玲は家に帰ってそのことを言った美海に強い声で言った。
「あんたは出来底ないじゃないわ」
「そうなの?」
「お姉ちゃんと比べることが間違いなのよ」
 丸顔で大きな垂れ目に奇麗な黒髪と可愛らしい感じの唇の次女に話した。玲は細面で大きなはっきりした目に整った鼻と赤い唇を持っている。黒髪はロングヘアで一五九程の背ですらりとしたスタイルである。
「あんたはあんたよ」
「そうなの」
「あのね、出来損ないはそういうので決まらないの」
「どういうことで決まるの?」
「その時になったら教えてあげるわ」
 今はこう言うだけだった。
 だがある日だ、玲は
 美海と茉祐、すらりとした長身に黒く長い綺麗な髪の毛に胸はないが小学生離れしたスタイルに細面で色白で大きな切れ長の感じの目に小さな赤い唇と高い鼻を持つ誰もが目を引く外見の彼女を連れてだ。
 買いものに出ている時にだった。
 鋭く嫌な光を放ち睨んだ感じの目にパーマをリーゼントの様にさせて首や手首にアクセサリーを多く付け腕や胸元に色々な模様のタトゥーを入れた若い男がだ。
 店員に殴りかからんばかりに怒鳴ってクレームをつけているのを見た、その彼を見てからであった。
 玲は買いものを終えて娘達を車に乗せて運転をはじめてから言った。
「あれが出来損ないよ」
「ああした人が?」
「そうよ」
 こう美海に答えた。
「お母さん前に言ったわね」
「うん、出来損ないって何か」
 美海は考える顔で応えた。
「そうだったわね」
「ああした人よ」
 嫌そうな声で下の娘に話した。
「さっきお店の中で店員さんに怒鳴ってた」
「刺青の人ね」
「ああしたマナーも何もない人がね」
 まさにという口調で言うのだった。
「出来損ないよ」
「そうなの」
「あんたが出来損ないの筈ないでしょ」
 母の言葉は真剣なものだった。
「ああした暴力的でマナーのなってないよ」
「そうした人が出来損ないなのね」
「あの人確かクラスメイトのお父さんよ」
 ここで茉祐、美海の隣の席にいる姉が言ってきた。二人で後部座席にシートベルトをして座っている。 
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