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ドリトル先生と山椒魚

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第一幕その十二

「そうです、しかしです」
「しかし?」
「日笠さんとメールのやり取りは毎日ですか」
「うん、日笠さんの方からね」
 先生は受付の人に素直に答えました。
「毎日送ってきてくれるよ」
「それは有り難いですね」
「だから僕もね」
 先生もというのです。
「喜んでお返事をね」
「送っておられますか」
「そうしているんだ、毎日ね」
「日笠さんも頑張ってますね」
 受付の人はこのことがわかって余計に笑顔になりました。
「それは何よりです」
「日笠さんは素敵なお友達だよ」
 先生は純粋な笑顔でこうも言いました。
「本当にね」
「先生、それはないから」
「全く」
「何でそこでそう言うのかしら」
「先生はそこがね」
「最大の欠点だよ」
 動物の皆は純粋な笑顔になった先生に困ったお顔で言いました。
「こうしたことに気付かない」
「どうしてもね」
「何でいつも気付かないのかな」
「こうしたことに」
「絶対に」
「気付いてない?」
 そう言われてもでした、先生は。
 首を傾げさせてです、こう言うのでした。
「僕が何にかな」
「いや、皆気付いてるよ」
「というかはっきりわかってるから」
「先生の周りの誰もが」
「それこそね」
「それで僕だけが気付いていないとなると」
 先生はまた首を傾げさせて言うのでした。
「何かな」
「まあもうそれは置いておいてね」
「先生がわからないことはいつもだし」
「それじゃあね」
「もういいよ」
「いいんだ、何かわからないままだけれどそれならいいよ」
 皆がそうならと応える先生でした。
「それじゃあ僕はね」
「うん、行こう」
「そうしよう」
「今からね」
「動物園の中にね」
「そうしようね、じゃあ日笠さんに今から入るってね」
 その様にというのです。
「連絡するよ」
「早くそうしてね」
「というまだしてないんだ」
「普通もうしてるよ」
「こうしたこと本当に駄目だから」
「やれやれよ」
「いつも思うことにしても」 
 呆れて言う皆でした。
「本当にね」
「まあ連絡するならいいよ」
「しなかったら今頃僕達が言ってるよ」
「早くしてってね」
「そうね」
「そうなんだね、まあ兎に角ね」
 先生はご自身のスマートフォンを手に応えました。
「今からだよ」
「動物園に入ろうね」
「楽しみにしていたし」
「日笠さんと一緒にね」
「そうしよう」
 皆はやれやれと思いつつです。
 動物園の門が開くのを見ました、そうしてその先生と一緒に開かれた門を潜って中に入ったのでした。 
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